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俺なんかとは違って皆はラブコメしてるなぁ……と思っていました  作者: 向井 夢士
第1章

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27話 借り人競争

 孝蔵さん、そして玉島先輩との話が終わり、俺はやっとのことでクラスのベンチに戻った。

 

 グラウンドの方では玉入れが行われており、彩夏ちゃんたちがカゴに向かって一生懸命に玉を投げている。素直に可愛い。


 そんな彩夏ちゃんとは対照的? な晴菜は、玉を少し投げつつ、彩夏ちゃんに多くの玉を渡していた。流石は彩夏ちゃんのサポート役だ。仕事ができる。



 またクラスのテントの方では、いつものように茜たちが明るく話しつつ、進藤さんがクラスの皆から称えられていた。


「あっ、兄貴帰ってきた! 一位おめでとー!」

「おっ、ありがとう茜。それに他の皆も」


 茜の声がきっかけとなり、俺にも「よくやった」や「一位なら許す」といった色々な声がかけられる。

 俺、一位じゃなかったらどうなってたの? 処刑されてた?



「お疲れ様です拓海君。一位になった事は私としても嬉しいですが、ちょっと嫉妬しちゃいました」

「松家さんが嫉妬する要素ある? まぁ……ありがとう」

「進藤さんもクラスメイトの皆から褒め称えられていますし、拓海君も色々と褒めてあげたいところですが……もうすぐで借り人競争が始まるので、また後でですね」

「そうだな」


 松家さんが俺に近寄ってきて、いたずらっぽく笑いながら話しかけてくる。


 どこに嫉妬する要素があったのかは分からないが、俺はとりあえず松家さんの気持ちを受け取る事にした。


 それに色々と話したい気持ちはあるが、とりあえずは借り人競争の準備をしないとな。もうすぐしたら、入場門の方に行かないといけないし。


「……よし。借り人競争頑張るかぁ」

「拓海君、何か作戦とかあるんですか?」

「あるよ。今回は松家さんのサポートとかがなくても大丈夫。何かトラブルが起きたら、その時は色々と頼む」

「分かりました。色々と頑張ってきてくださいね。サポートがなくてもいい、と言われるとそこは少し寂しくなりますが」

「そこは寂しくなるんかい」


 全く……松家さんの言っている事はいつもいまいち分からない。思わずツッコんじゃったよ!



 ——もしかして、松家さんは俺の本質に気付いているのだろうか。



 まぁ進藤さんは協力関係なので別として、俺の本当の姿や本質を知っている人はいないはずだ。

 俺が自分から話す事なんてなかなかないし、進藤さんも俺の気持ちを汲んで誰かに話したりはしていないはず。


 ただ松家さんは知っているというか、何か気づいてそうで少し怖い。何か狙ってそうなんだよなぁ……。頭も良いしなぁ。怖いなぁ。


「拓海君? どうかしましたか?」

「いや、何でもない」


 松家さんにしろ、他の皆にしろ……自分以外の人が何を考えているかなんて、完全には分からない。


 学校生活も上手くいっているわけだし、直接的に俺に何かを言ってきたわけでもないので、今はまだ考えなくてもいいか。進藤さんの問題が先だしな。


「そうですか? ならよかったです」

「そういや誠一は? あいつの姿がまた見当たらないけど」

「誠一君なら、妹の彩夏さんの応援に行きましたよ。声を出すのは恥ずかしいみたいですけど」


 その松家さんの言葉を受け、俺は再びグラウンドの方を見る。


 グラウンドの方をよーく見ると、頑張っている彩夏ちゃんと晴菜の近くで、神に何かを祈るように手を握りしめながら応援している誠一が目に入った。


 相変わらずいいお兄ちゃんだな。



「じゃあ俺は、そろそろ入場門の方に行っておくよ。松家さんも注目してて」

「もちろんです。それに拓海君がどのような事をするのか、私も興味があるので」

「そんな大がかりのものでもないぞ? 俺のは反則技だから」



 俺は松家さんにそう言って、入場門の方へと向かった——



◇◇◇



「さぁさぁさぁ! 体育祭はここでいったんブレイクタイム! ただぁ~!? ここで更に盛り上がるのがぁ……生徒会種目なんだぜぇぇええええ!」


 放送部の力の入った実況というか前振りのようなものが入り、俺は更に気合を入れてスタートの準備をする。

 玉島先輩の配慮というかエンジョイ心もあって、俺が走るのは一番最初のグループになっている。


 縄跳び、平均台、グルグルバット、ネットくぐり、サッカーのドリブル……そして最後に書かれたお題に合った人を探すという流れだ。


 えっ、本当にうまく行くのかって?


 それは大丈夫。そこら辺は玉島先輩率いる生徒会が、何とか上手くやってくれるはずだ。


「それでは一組目のグループの皆さん、準備はいいですか!? 肉よ躍れ、心よ湧け、身体を覚醒させろ」


 何か無駄にカッコいいこの実況なに? 絶対に放送部で誰かマニアックな奴いるだろ。



「それじゃ、よーいスタートぉぉぉおおおおおお!」



 そしてその放送部の大きい実況の声とピストルの音で、俺たちは揃ってスタートする。



 まずは縄跳びの前跳びを50回。運動不足の俺にとっては、この程度の運動でもかなりきつい。


「会長から話は聞いてます。数回なら誤魔化しても大丈夫です。会長万歳、青春万歳」


 お、ほんとに有利になってる。事前に競技を教えてもらって少し練習することもできたし、これなら上手くいきそうだ。


 何か最後の変な掛け声みたいなのは少し怖いけども! 

 会長、生徒会メンバーに何教えてるんですか?



 そして俺はサポートもあり、八人中で二位といった、最高のスタートを切る事ができた。


 その後の平均台やグルグルバット、ネットくぐりでは順位を二つ落として四位になったが、ドリブルが奇跡的に上手くいって三位になり、いよいよラストの書かれたお題に合う人探しへ。

 お題を渡しているのは玉島会長なので、ここはいくらでも調整し放題だ。



「はっ? 社会の時代区分で弥生時代が好きな人?」

「超絶ウルトラめちゃんこパーフェクトスペシャル面白い一発ギャグがある人って……そんなの出にくいに決まってるだろ……」


 俺の前を走っていた二人が、玉島先輩から渡されたお題を見て絶望していた。先輩めちゃくちゃ暴れてんなぁ。これなら一位になれそうでありがたいけど。


「あっ、たっくんお疲れ。あとはたっくん次第だよ」

「玉島先輩ありがとうございます。この恩はいつか返します」


 俺は少し玉島先輩と会話をした後、お題が書かれている紙を見る。


「なかなか言えない秘密がある人……ですか。上手くやりましたね」

「でしょ? じゃあ、いってらっしゃい!」


 俺は改めて玉島先輩に感謝しつつ、一目散に自分のクラスのテントに向かう。


「主食がイモ派の人……?」 

「すべらない話を五本以上即興で話せる人~?」

「恋人にしたい数式トップテンを話せる人!?」


 何か他の出場者から色々な声が聞こえてくるんだけど? 先輩、流石にふざけすぎでは?

 そもそも主食がイモ派の人なんて、ご飯もパンもある日本にいるわけがないでしょ。いたとしても、一人か二人でしょたぶん。


「進藤さん、来て!」

「えっ私?」


 そんな中で俺が進藤さんを呼びに行くと、進藤さんは少し戸惑いながらも席を立って、俺と一緒にゴールまで走る。少しばかり、黄色い歓声も上がっていたような気がした。


 「ねぇ。私、一発ギャグもすべらない話も持ってないよ?」

「大丈夫大丈夫。でも気持ちだけは覚悟しといて」

「……? ま、まぁいいけど」



 俺と進藤さんはそう話しながら無事に一着でゴールし、放送部と生徒会の生徒が俺たちのもとに近寄ってくる。

 

 ここまでは完全に俺の計画通り。あとは……進藤さん次第だ。



 

 いよいよ、俺と進藤さんの反抗が始まる——


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