↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【180K pv突破!!】《 堕胎告知 -Abortion Annunciation- 》「オマエみたいなゴミ、産むんじゃなかった。」「テメェが勝手に産んだんだろ、ころすぞ。」【★全話挿絵あり!!】  作者: ADPh.D.
第一章 愛と家族

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
39/350

13-②. 妻と母 the Child Hater and Lover

「――なんで、自分の子どもにそんなことができるの……?」


 ここにいるはずのない者の声。とっくに逃げたはずの、ひまりの声。エレクトラの後ろに、ひまりが立っていた。


「アァ?!テメェなんでまだここにいやがる?!娘と一緒にビクビク逃げ回ってりゃあいいのによぉ!!娘はどこだ?!吐きやがれ!!」


「私の娘なら、安全な所に隠してきたわ。絶対に見つからないよう私の心(ヘルツ)でね。今は私一人。貴女の目的は私の娘でしょう?だったら私が娘の居場所を、貴女に言うわけがないでしょう?私は(・)母親なんだから。あの子の親なんだから。決して傷つけたりしない。この命に代えても守りきってみせる。」


 ひまりが、アイには見せたことのないような、鋭い眼光でエレクトラを睨(にら)む。


「オイオイオイ!これはお笑いだ!!大事な娘を独り置いて、ノコノコとこんなとこに来た奴がよく言えたなぁ!!よくいい母親ヅラできるなぁ?!ギャハハ!!」


 エレクトラが頭に手をやり、ひまりを嘲笑(あざわら)う。


「……たしかに私はいい母親じゃないかもしれない。夫に『娘を守ることだけを考えろ』って言われたのに。ここに来ちゃったんだもの……。

 

 ……でも、貴方は。自分の子どもを笑いながら殴るような貴方は。自分の子どもに平気で怒りをぶつけるような貴女は。自分の子どもに『産むんじゃなかった』なんて言葉を言えるような貴女は。母親じゃない!!母親ですらないわ!!!」


 最後の言葉に、ぴくっと反応し、笑みを止めるエレクトラ。


「テメェ……今なんつった……?おれが母親じゃねぇだと……?劣等種(アニマ)の糞女が。ガキを産むだけの劣等種(れっとうしゅ)が。このおれに、獣神体(アニムス)のおれに、母親じゃねぇだと……?テメェはおれのことを何も知らねぇだろうが!!」


 ひまりを力任せに蹴り飛ばすエレクトラ。


 ◇◆◇


挿絵(By みてみん)


「黙れ!!うるせぇんだよ!!おれだって母親になんかなりたくなかったよ!!おれが望んでなったと思うか!?こんな塵屑(ゴミクズ)の母親によぉ!!こんな何の役にもたたねぇガキのよぉ?!あの腐れ糞売女のガキなんかの母親によぉ!!


 オイディプスのガキじゃあなけりゃ産まれたときにぶっ殺してる!!オイディプスとのガキじゃなけりゃ、おれがわざわざ母(・)親(・)な(・)ん(・)て(・)、貧(・)乏(・)く(・)じ(・)引くわけねぇだろうが!!母(・)親(・)な(・)ん(・)て(・)糞(・)の(・)恩(・)恵(・)も(・)ね(・)ぇ(・)、損(・)ば(・)か(・)り(・)す(・)る(・)役(・)割(・)によぉ!?何してやっても感謝もされねぇ苦行をよぉ!?

 

 こっちは飯も住む場所だってやってるんだ!!糞餓鬼(くそがき)1人育てるのに馬鹿みてぇに金がかかってるんだ!!その分ガキが親の役に立たなきゃあ割に合わねぇだろうが!!わざわざ産(・)ん(・)で(・)や(・)っ(・)て(・)、飯もやって、金までやってんだ!!じゃあ子は親のモンだろうが!!ガキは産(・)ん(・)で(・)も(・)ら(・)っ(・)て(・)る(・)分際なんだから、育(・)て(・)て(・)も(・)ら(・)っ(・)て(・)る(・)身分なんだからなぁ!!」


 ひまりは立ち上がり、自分より遥かに強い性別の、ずっと心(ヘルツ)の強大な相手に、一切怯まず言葉を返す。


「確かに私は、貴女の事情は知らないわ。でも貴女も私のことを知らないでしょう?


『母親になんかなりたくなかった』て言うけど、自(・)分(・)で(・)選(・)ん(・)だ(・)んでしょう?子(・)を(・)持(・)つ(・)と(・)い(・)う(・)こ(・)と(・)が(・)ど(・)う(・)い(・)う(・)こ(・)と(・)か(・)、よ(・)く(・)分(・)か(・)っ(・)た(・)上(・)で(・)、“自(・)分(・)で(・)”決(・)め(・)た(・)ん(・)で(・)し(・)ょ(・)う(・)?だったら自分の決断に責任を持ちなさいよ。自分の不満で子どもに当たり散らかすぐらいなら、最初から母親になる資格なんかない!母(・)親(・)に(・)な(・)ん(・)か(・)な(・)ら(・)な(・)け(・)れ(・)ば(・)よ(・)か(・)っ(・)た(・)じゃない!

 

 親になるっていうのは、自(・)分(・)の(・)人(・)生(・)の(・)主(・)役(・)を(・)子(・)ど(・)も(・)に(・)す(・)る(・)ってことなの。自分よりも先に子どものことを考えるってこと。命を次に繋いでいくってことなの。何時までも“女(・)の(・)子(・)”として、甘やかされていたいんなら、自分ことばかり考えていたいんなら、母親になんかなるんじゃないわよ!!子どもが可哀想よ!!

 

 貴女はなんでもあ(・)げ(・)た(・)あ(・)げ(・)た(・)、し(・)て(・)あ(・)げ(・)た(・)って言うけど。それは親の言う台詞じゃない。子どもがいつか大きくなって自(・)分(・)か(・)ら(・)そう思って、親にたくさんのことをしてもらったって気づくことなの。それは子どもが自分の手で気づくことで、親が押しつけることじゃない!!

 

 それに親だって子どもにたくさんのものをもらってる。親(・)は(・)子(・)ど(・)も(・)が(・)い(・)て(・)、は(・)じ(・)め(・)て(・)親(・)に(・)な(・)れ(・)る(・)の(・)。子どもに親(・)に(・)し(・)て(・)も(・)ら(・)う(・)の(・)。親が1人で親になれるわけじゃない!子どもの成長を見守るだけじゃなくて、親だって子どものおかげで成長させてもらえるんだから。親(・)に(・)な(・)っ(・)た(・)ら(・)い(・)き(・)な(・)り(・)急(・)に(・)立(・)派(・)な(・)人(・)間(・)に(・)な(・)れ(・)る(・)わ(・)け(・)じ(・)ゃ(・)な(・)い(・)。親だって人間なんだから、親だって親(・)に(・)な(・)る(・)の(・)は(・)産(・)ま(・)れ(・)て(・)は(・)じ(・)め(・)て(・)、分からないことばかりだから子どもと一緒に成長するの。

 

 でも、子どもに怒りにまかせて暴力を振るったり、子どもがいちばん傷つくことをわざわざ伝えるのは、絶対に間違ってる!!親になったばかりでも、みんな知ってる。だってみ(・)ん(・)な(・)は(・)じ(・)め(・)は(・)誰(・)か(・)の(・)子(・)ど(・)も(・)だ(・)っ(・)た(・)ん(・)だ(・)か(・)ら(・)。親に言われたら、されたら嫌なことなんて、自(・)分(・)が(・)親(・)に(・)さ(・)れ(・)て(・)嫌(・)だ(・)っ(・)た(・)こ(・)と(・)なんて、知り尽くしてる。だから、アイちゃんにそんなことをするのはもうやめて。」


 ◇◆◇


 エレクトラは黙って聞いていた。俯(うつむ)いているから髪に顔が隠れて表情は闇の中だ。アイは最初はひまりが自分なんぞを庇ってくれることに、やさしくしてくれることに、わざわざ戻ってきてくれたことに、涙を流したい気持ちになった。アイには涙は流せないが。

 

 しかし、ひまりの言(げん)を聞いているうちに、おかあさまが黙ってそれを聞いている姿をみるうちに、お(・)か(・)あ(・)さ(・)ま(・)を(・)助(・)け(・)な(・)い(・)と(・)、という気持ちのほうが大きくなっていった。どんな仕打ちをされてもアイは、アイはどうしょうもなく母を愛してしまうのだった。それは決してやめられないのだ。理由なんかない、条件なんかない、ただこの人が自分のおかあさまだから、愛するのだった。


 喉が潰れていたがそんなことは関係ない、おかあさまのために、首がもげようが、喉を掻っ切られようが、話さなければならなかった。万力(まんりき)の力を込めて、最後の……最(・)期(・)の(・)心(ヘルツ)を振り絞って言葉を伝えるのだった。


 ◇◆◇


「……ひ、ひまり、さん。ありがとうございます。わたくしのなんぞのために。はるひちゃんを傷つけたわたくしなんかのために、戻ってきて頂いて……。やさしい心を砕いて下さって。わたくしにはそんな資格なんかないのに……。で(・)も(・)、違(・)う(・)ん(・)で(・)す(・)。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。