改造。
神木は美咲に、再び眼を向けた。
あぁ…神木は、糸の切れた操り人形の様に…。
その場に崩れ落ちた。
美咲の髪は綺麗に整えられ、自然な化粧もされている。
だが…其の姿は…。
世界には【身体改造】と云うモノが存在する。
美咲には、ソレが施されていたのだった。
魚類の様な歯。鋭利な形になる程に削られている。舌を噛み切らせない配慮か…。口が半開きになる様に、顎をプレートで固定されているのだろう。ダラダラと涎が垂れている。
何よりも美咲を異質に見せるモノは…。
下半身に集中していた。
二本の脚を強引に縫合され、魚の様に変わり果てていた。更にタトゥーで皮膚を碧色に変色させられている。その皮膚はスカリフィケーション(医療用メス等を用い、傷で模様を施す身体装飾の方法)により格子状に模様が施され、鱗の様に凹凸が有る。インプラントにより、ビーズや金属を埋め込まれ、独特の光を発していた。背中には、生理食塩水の皮下注入による身体変形で瘤を形成し、更に皮膚の一部を延ばす事で背鰭が生えている。器官切除により、手の指は総て切り落とされていた。肩から二の腕にかけて身体に縫いつけられており、足の指は限界まで延びていた。それは、尾鰭の様だった。
美咲は…。
【身体を無理矢理に変形させられて】
人魚の姿に変わり果てていたのだ…。
近藤は神木を視る事無く話す。
「神木さん…。美咲が人魚ではないとしたら…。美咲は【何】なのですか?」
神木は返す言葉を総て失った。