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クリエイター


白を主体とした空間に映像が映し出される。

幸せそうに寄り添う仲睦まじい夫婦の映像。

誰にも干渉されずに愛し合う夫婦の映像。

2人共、笑顔に満ちている…。


でも…。

神木は知っていた。

この映像は、哀しい愛の結末なのだと…。


白い無機質な世界は有機質な世界へ変換していく。


神木は意識を取り戻し、現実世界を見せ付けられる。

血の海で寄り添い泳ぐ、哀しい男と哀しい人魚。

神木の内に、この状況を創り上げた者への憤怒が込み上げてくるのを感じた。


スマホを手にして、警察に電話をしようとした矢先…。

スマホが着信の表示を画面に映し出した。

神木は震える指先で画面をタップする。

スマホを耳にあてると…。神木様。ですよね?と声が聞こえた。耳障りの良い声ではあった。


「そうですが…。」


「初めまして…。【℃Яё△†θЯ】と申します。」


【℃Яё△†θЯ】…。神木は困惑する。

ソレは都市伝説の様に語り継がれている連続猟奇殺人事件を引き起こしている犯罪集団なのである。


「水族館で近藤夫婦が死にかかっているのではないですか?若しくは既にお亡くなりに…。」


何を言っている?


「そうですよね?神木様…。」


【℃Яё△†θЯ】が?…。


「貴方達が近藤さんを?」


「そうです。人魚。綺麗でしたか?」


抑えられない激情が湧き上がる。

「貴方達は…何がしたいの?」


「神木様…。この世界は間違っているとは思いませんか?神木様も、生きていて苦しくは無いですか?ですから、少しでも皆様に笑顔になって頂きたくて、あの様な作品を定期的に創らさせてもらっています。どうです?楽しんで頂けましたか?」


「巫山戯ないで…。」


スマホ越しに笑い声が聴こえる。


「近々、晩餐会を開きますので、是非、御参加下さいませ。あぁ…。そうだ。忘れるところでした。神木様…。天乃あまの様に、此処で起こった総てをお伝え下さい。」


‐天乃?


「神木様。後の事は、我々が処理致しますので、御心配なさらずに…。では、ユックリとお眠り下さい。」


ドゴッ…

神木は後頭部に衝撃を受け…。

泡沫うたかたの様に意識は泡となり消えた。


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