表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/12

序曲


「これは、いつかの話。漁村に一人の娘が居た。その娘は漁師の娘。漁師は人魚を捕まえ、解体した。何も知らない娘は、偶然に、其の肉を食べてしまった…。娘は16・17から年老いず、死ねなかった。彼女は悠久の時を生き、幾人の大切な人の【死】を見届けた。彼女は幾度【死にたい】と願ったのだろう…。【死】を願えど…【死ぬ事は叶わない】」


神木璃央かみきりおの対面に座る、近藤征二こんどうせいじは、そう言った。


近藤は水族館の館長である。神木は取材するべく彼の元を訪れていたのであった。


近藤には妻がいた。しかし彼の妻は20年前、新婚旅行中に失踪してしまった。海水浴を楽しんでいた最中に、忽然と姿を消したのだそうだ。近藤の妻である近藤美咲は、何の前触れもなく静かに彼の前から、居なくなってしまった。懸命な捜査も虚しく、失踪した儘、現在に至っている。


20年前、人々は様々な憶測に過ぎない噂を流した。愛人と駆け落ちした、借金に追われ雲隠れした、神隠しに遭った。そんな根も葉もない噂が、日々訪れるメディアが、彼の精神を削っていった。彼は精神を病み、表舞台から姿を消していたのだが、近藤は先週、突如として復帰した。


そんな彼にメディアは群がったのだが、メディアに嫌悪感を抱いている近藤は、記者会見もせず、取材も断り続けていた。


だが何故か、その近藤に神木は、名指しで取材の許可を得ていたのだった。


「ソレは八百比丘尼やおびくにの伝説ですよね?」

神木は問い掛ける。


「そう八百比丘尼の伝説です…。やはり貴女は、そう云った事に、お詳しいのですね。」

と、近藤は微笑んだのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ