表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
メンヘラと変態の百合  作者: 紅輪
1/6

始まりのキス

こんにちは!メンヘラ書きたいな〜と思っていましたので、ここで発散させていただきます〜!!

 その日、賀月巴(かづきともえ)は、泣いていた。

 地元にある年季の入ったカラオケボックスで、私こと橋田梢(はしだこずえ)は、彼女と一緒にいた。

 私は、カジュアルな服装だ。対して、巴はヒラヒラフリフリの、地雷系とか言うやつ。顔も可愛いし、インスタのフォロワーもすごい数いる。そんな彼女が、何をこんなに病んでいるのかと言うと。

 「まじあり得ん。浮気とか。重いとか。死ねよ」

 「まじらぶ♪きみだけ♪永遠フォーエバー♪」

 やばい。選曲間違えてるなこれ。

 案の定、巴は怒りだす。

 「なによこの曲!」

 「……」

 私は気まずい顔をして、演奏停止のボタンを押す。

 歌の歌詞を表示していた液晶は、広告を流しだした。

 「なんか、もっと殺意高いやつにする」

 「分かってんじゃん」

 私は曲の検索画面に、「people = shit」と入力する。人々はうんこ、という意味だ。これで満足だろう。

 私は人々はうんこ、を、激しく熱唱した。それが終わる頃、巴は泣き止んでいた。人々はうんこが効いたようだ。

 「相変わらずどういう喉してんの?」

 「慣れたら簡単だよ」

 「こんなのばっか歌ってるから彼氏できないのよ」

 「いいもん。別れが辛いだけだもん」

 「………」

 だめなところを突いてしまった。巴は黙って虚空を見つめ、そして、左腕の袖をまくった。

 春の可愛らしいファッションの下から、刃物でつけた大量の傷跡が出てくる。私はそれを見てドキッとしつつも、知らん顔をした。

 「…気持ち悪いって言われた」

 「そりゃ最低だね」

 「でしょ?」

 「うん」

 「最初は優しかったんだよ。これもさ、大丈夫って言ったのに」

 巴の声に、涙が混ざる。

 「ホントは気持ち悪いし重いし浮気とか!ほんと無理!もう男嫌い!」

 「おー。だろ?彼氏なんかいらんだろ?」

 私はわざと軽く、彼女の話を聞く。これがいつものやり方だ。

 いつも巴の気が済むまで、私は彼女と一緒にいた。今日もそう。今日はどれだけ時間がかかるかな、なんて思っていた。

 「もう彼氏はいらない。彼女が欲しい」

 「やっと私の良さに気づいた?」

 私はふざけ半分にかっこつけて見せた。長い黒髪を後ろに払いのけ、足を組み、ソファの背に腕を乗せる。

 巴は思ったより笑ってくれない。

 「梢さ、あたしのことどう思ってんの?」

 「え?友達」

 「一回キスしよ」

 「え?どゆこと?まじ?」

 「まじ」

 私は姿勢を戻し、巴を見た。

 可愛い顔で、数々の男を落とし、すぐにセックスをする尻軽。今回はフラれたが、飽きたとか言っていきなりブロックするところも見た。

 無理だ。そんな人と付き合えない。

 いや、待て。巴はキスすると言っただけだ。本当にキスをするだけかもしれない。女とキスしてみて、女と付き合えるか試したいだけなのかもしれない。

 受け入れてみようではないか。

 「分かった」

 「じゃ、じゃあ、するよ」

 言い出した巴が、何故か緊張している。それを見た私も、心臓がバクバク鳴りだした。

 巴の綺麗な顔が近づいてくる。私はたまらず、ぎゅっと目を閉じる。

 相手の吐息がかかったと思ったその一瞬後、自分の唇に、柔らかいものが触れた。それは2秒そこにあって、そして、離れていった。

 目を開けると、巴がいた。それは当たり前なのだが、その友達が、いつもと違って見えた。

 なんか、エロい。

 私は頭に浮かんだそれを、慌てて振り払った。

 巴はそれを見抜いたように、ニヤリと笑う。

 「キスできるなら、付き合えるよね」

 私は首をぶんぶんと横に振る。

 「いや、無理!私、女は女でもメンヘラじゃない女がいい」

 「ひどぉ!いいもん、okしてくれないならもう死ぬから」

 「めっちゃメンヘラぁ」

 「そういうところが好きなの」

 巴が、キラキラした目でこちらを見てくる。私は驚いて、言う。

 「もしかして本気?」

 「うん。よく考えたら、梢のこと好きすぎて他の男と付き合ってたのかも」

 「…どゆこと?」

 「いやだからさ、梢のこと好きじゃん?」

 「うん」

 「でも、梢ってあたしのこと好きじゃないじゃん?」

 「まぁ、性的には」

 「それって辛くない?」

 「うーん、分からん」

 そもそも私、恋愛したことないし。

 キスだって、今のが初めてだ。21歳にしてファーストキスを、友達の女に奪われるとは、思ってもいなかった。

 巴は綺麗な顔に、満面の笑みを浮かべる。

 「まぁつまり、男は梢の代替品だったってこと!」

 「そんなひどいことある?」

 巴とお付き合いした哀れな男たちよ、安らかに眠ってくれ。

 「あるよぉ。だってあたし、メンヘラだもん」

 「メンヘラを言い訳にすな」

 私は巴の頭に、軽くチョップをかました。巴はえへへと笑い、自分の両手を、私の手に重ねてきた。

 また傷跡が目に入り、胸がドキッと鳴る。痛いようなその感覚に、私はただ、罪悪感だけを覚えた。

 巴は私を、上目遣いで見てくる。

 「あたし、叱ってくれる人が好きなのかも」

 「なんそれ」

 「何度も死ぬなって叱ってね」

 「いつも通りじゃん」

 「あはは、確かに」

 私は巴と向き合い、彼女の顔をまじまじと見つめた。

 これからこの女と付き合うのか、なんて、考えながら。

ここまでお読みいただきありがとうございました!!!携帯小説っぽく書こうと思って、だめでした…諦めちゃいました。けっこう難しいんですね…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ