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かなり控えめに言って最高の姉と同居中の僕

作者: 武正幸

 質問です。この部屋は、誰の部屋でしょうか?・・・そうだよねぇ。アタシの部屋だよねぇ。じゃあ、次の質問。アタシの部屋で、なぜ弟のアナタが、ベッドの上で寛いでいるのでしょうか??

 

 うん。・・・まあ、別にいいけどね。この部屋を好きに使っても。シャンプーとかも別にアタシの使ってもいいよ。あぁ、前に使った時、彼女の髪の香りと同じって友達に言われたんだっけ。そうかそうか。じゃあ、こうしよう。今日はベッドに寝ててもいいけど、私の話を聞いて貰える?・・・いい??ああ、スマホイジりながらで良いよ。あっ、そうだ、私も手持無沙汰だから耳かきしてあげるよ。この間新しい耳かき買ったんだ。・・・え?前と違うヤツ買ったんだよ。もう、無駄遣いとか言うな。今度のヤツは、先が光るんだよ。うわ~、見て見て~。耳の中が丸見えだよ~ってアナタは見えないか。すっごい奥まで見えますよ~。・・・恥ずかしい?うわ~奥まで丸見えだ~。うそうそ。・・・もう言わないから、怒らないで。

 ああ、・・・そんなに耳垢貯まってないですなぁ。そうか最近掃除したばっかりか。アナタ結構マメだもんね。性格的に。鼻毛もしょっちゅう切ってるもんね。・・・え?鼻毛出てるの誰かに見られたら死にたくなる?・・・そんなことで死んじゃダメよ。お父さんなんか耳の穴から長ーい毛が飛び出てたのよ。しかも1本じゃないの。何本もよ。アタシそれ初めて見たとき、「殺すしかない」って思ったわ。ああ、殺しちゃだめよね。分かってる。

 

 じゃあ、左の耳からやるわね。え?こっち右耳?あっそうか。・・・ああ、そうそうおっちょこちょいの人って居るじゃない?前に言ったかもしれないけど、私の職場に仕出し弁当を運んでくるお姉さんがいるのね。小柄で可愛いんだけど。彼女がスッゴイおっちょこちょいなのよ。例えると、県内のおっちょこちょいを一堂に集めて大会をやったら、ベスト10に入って、たぶん県代表ぐらいにはなれるんじゃないかっていう位のレベルなのよ。え?どんな競技が行われるかって?それは・・・自分で考えて。そんな大会無いから。それでさ、箸を置いてくの忘れたり、味噌汁持って来たのに味噌汁用のお椀を持ってくるの忘れたりするのは日常茶飯事なわけ。で、この間は、とうとうお弁当のおかずを置いていくの忘れたのね。そう、ご飯だけ置いて行ったのよ。信じられる?おっちょこちょいのレベルが違うわ、彼女。ああ、でも小学生の時ランドセル忘れて通学路の途中まで行った私も、なかなかのおっちょこちょいだけどね。でも、あれは誰かが気付くべきよ。小学生がランドセルしょってなかったら、立体機動装置なしで巨人に立ち向かう兵士みたいじゃない?ああ、アナタ「進撃の巨人」読んでないんだっけ。じゃあ、今のなし。


 話は変わるけどさぁ、腸活って知ってる?そうそう、腸の調子を整えて、ダイエットにもなるってやつ。「ちょうのちょうし」って、シャレになってるじゃない。なんだか恥ずかしい・・・。

 少し前からヨーグルトとか、サプリメントとかを積極的に摂ったり、運動したりしてるのね。腸活始める前は、アナタも知ってるかもしれないけど、2日に1回くらいだったわけ。調子悪いと3日とか音沙汰無いのも普通だったの。え?何がって??それアタシに言わせたいの??うんこよ、う・ん・こ!!なに笑ってんのよ。アンタが言わせたんだからねっ。

 それでさ、腸が超調子良いからさぁ、あっ、これダジャレね。すっごいのよ。毎日出るのよ。ヤツが。え?うんこよ・・・。何回アタシにうんこって言わせるのよ。でね、やっぱり、オナラの方も出るわけよ。なんかごめんね。下ネタばっかりで。今日も仕事中にね、放ちたくなっちゃったのよ。オナラを。でもさぁ、事務所の中は静かだし、匂っちゃうから出来ないじゃない?だから、そういう時は別の棟の作業フロアに行くわけよ。あそこは機械の音がうるさいからオナラをしても聞こえないの。だからオナラがしたい時は、いつも用事がある振りをして、作業フロアで放出するわけよ。あれよ、ラガコ村の住民みたいに巨人化しないから安心して。ああ、「進撃の巨人」読んでないか。今度読めっ。

 でね、いつも通り、作業フロアでオナラをしようと思ったんだけど、どんなに力を入れても出ないのよ。おかしいなぁと思って、その後トイレに行ったの。そうしたら、死ぬほどうんこ出たわ。危なかった~。アタシ仕事中にうんこ漏らすところだったわ。え?だってこんな話、弟のアンタ意外に話せる人いないって~。あ~すっきりした。誰かにこの話したくて仕方なかったのよ。あ、反対向いて。こんど左耳の耳かきするから。


 ・・・そういえば、冷蔵庫に入ってるアイス、あれ、アンタのだからね。食べないならアタシ食べちゃうから。最近どんどん暑くなってきたじゃない?気候が。アイスの美味しい季節がやってきたじゃない。え?あたしは冬でも食べてる?そういえばそうね・・・。それでね、会社でも、そういう話題になったのね。アイス食べたいねって。そうしたら私はスーパーカップが好きとか、ガリガリ君が好きとか、みんなが言うわけよ。その時にさ、私がハーゲンダッツ食べたいって言ったのよ。そうしたらね、向こうに座ってる部長の体が、ビクッてなったのよ。ビクッって。その時はどうしてなったのか理由が分からなかったんだけど、あとで気付いたの。部長は、ハーゲンダッツの「ハーゲ」に反応したんじゃないかって。ハゲよハゲ。気にし過ぎ~って。あれ?アナタに言ったっけ。部長のカツラのこと。そう、カツラなのよ~。アナタ知ってた?カツラってメンテナンスが大変なんだって。ほら、地毛が伸びてくるじゃない?そうしたら伸びた毛を上手いこと切ってまたカツラと自然に融合させなくちゃいけない。そのメンテナンスが大変らしいのよ。私の想像なんだけど、部長は暫くそのメンテナンスを怠ってるのね。うーん、分かりやすく言うと、新築の家の周りが草ボーボーな感じ。分かるでしょ?なんとなくは。


 アナタ、耳かきが気持ち良くて大分眠くなってきたでしょ。・・・分かるわよ。目がトロ~ンとしてきてるもん。トロ~ンって。アナタ明日は大学?え?午後から?いいわね。会社務めはそういうのないから羨ましいわ。アナタも卒業して就職したら、そんな地獄の勤め人の仲間入りよ。早くコッチへいらっしゃ~い。いやだって?いずれコッチに側に来るのよ。覚悟しておきなさい。というか働かなかったら、ココでの生活も続けられないからね。親だっていつまで元気か分からないし、アナタも早く働いて家計を楽にして欲しいわ。え?結婚して出て行くって?・・・それは私だって一緒よ。良い人が出来たらあなたにココを出て行ってもらってここにその人と私で住むことになるかも知れないし、私が出てってその人のところで暮らすかも知れないし。未来はどう転ぶか分からないわ。そうでしょ?


 でもさ、私たち二人はこれから先どこまで行っても二人きりの姉弟だから、一生仲良くしようね。約束だよ。・・・返事がない。アナタ寝たの?寝たか・・・。仕様がない、今夜はアナタのベッドで寝るか。相変らず可愛い寝顔しちゃって・・・。


 オ・ヤ・ス・ミ。愛しいアタシの弟君よ・・・。




 



 



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