9話
こんにちは、単位取れないですね、人生難しいですね、面白いの書きたいですね
安藤永莉が高倉仁平太の暗殺に行ったが、既に高倉は何者かに殺害され芸術的に仕上がっていた。
安藤の所属する組織の死体処理班が高倉の死体を回収したが、いつの間にか死体は消えてしまっていた。
以上前回までのあらすじ
消えた死体の捜索を組織は安藤と坂本に命じた。
坂本は組織に所属する殺し屋の1人で、顔に特徴の無い男だ。
死体に関する謎は2つ誰が隠したのか、どうやって隠したのかだ。
処理班の車に積まれていた死体が突然消えていた。
「死体探せって言われても手がかりもないですもんねー」
「……手がかりならある」
「まじすか?」
「齋藤を探す」
2人は高倉を殺した疑いのある齋藤を追うことにした。
殺したのが齋藤なら隠したのも齋藤なのではという考えだ。
「齋藤ってデスアゴニーのことっすか?」
「その齋藤が高倉を殺したんだ。だからそいつを探す」
「でも齋藤の素性って全くの謎なんですよね、方法はあるんすか?」
「……メッセージだ」
そう、あの場所に残されていたのだ、高倉の死体があった場所に齋藤から安藤に向けたメッセージが
2人がたどり着いたのは高倉の死体があった場所だ。
「本当にここに齋藤がくるんすか?」
「……」
2人が着いてから3時間が経過したが誰も現れない。
さらに数分後。
「囲まれてますね」
10人ほどの人影が姿をみせずに2人を囲んでいた。
「齋藤の仲間ですかね?」
「いや、これは……」
10人の人影の気配が明らかにおかしい事に安藤が気づいた。
10人からは全く呼吸音も、 心音も無い。
ただ無造作に隠す気のない足音だけが響いている。
そして彼らは一切に姿を現した。
やはり10人。
安藤と坂本の2人を取り囲むようにして立っている。
立っているがその立ち姿がまず異常だ。
不安定な足場に立っている様に身体を揺らし、バランス取っている様に見える。
そして顔には一切の凹凸がない。
若干の楕円を描いたその輪郭には本来あるべき目、鼻、口、耳、顔を構成するパーツが欠けていた。
全身が灰色のそれは一見するだけで人間ではない何かということを認識することができた。
「安藤さん、下がっていてください、あなたじゃ分が悪い。あれには心臓も脳みそも無さそうです!」
「私だって多少の格闘技術は持っている!私のことよりも敵に集中!」
「ヴヴバヴヴヴ!!!」
灰色のそれらが歪な雄叫びをると、彼らの左腕がボロボロと音をたてて崩れ落ち、彼らの足元には左腕を構成していた灰によって小さな山が出来た。
山はすぐさま形を変化させ、1本の剣となった。
それを残った右腕で引き抜き、10人が一斉に2人へと斬り掛かる。
安藤は足に身につけていたホルスターから拳銃を抜き、姿勢を低く構えて1番近くにいた灰色の顎下から脳幹目掛けて引き金を引いた。
本来なら、人間ならばそれで活動を停止するが、灰色の頭に小さな空いただけでダメージを与えられていない。
「ヴヴバヴヴヴ!!!」
振り下ろされた剣は安藤の髪を掠める。
安藤の回避行動がギリギリ間に合ったが、ほとんど重さの無い髪の毛を切断する程の斬れ味を灰色の剣が持っていることがわかる。
「安藤さん!ダメです!頭を丸々破壊しても動きが止まりません!」
安藤の背後で戦っていた坂本が安藤に呼びかけるが、安藤は自身の戦闘に意識の大部分を割かれて返事を返すこともできない。
「くっう!」
坂本が8体を相手しているのに対して安藤はたったの2体、それでも安藤は坂本よりも余裕がない。
本来安藤が得意としているのは殺人であって戦闘ではない。
安藤の戦闘力は一般人よりも多少高い程度しかないのだ。
坂本もいくら身体を破壊しても再生し、動きを止めることなく襲いかかる灰色達に徐々に体力を削られ、追い詰められていく。
戦闘が始まって約20分、まだ坂本が耐えているのは彼の戦闘センスあってこそだろう。
剣を弾き飛ばし、脚を破壊し、時には胴体ごと吹き飛ばし、8体の猛攻をなんとか凌いできた。
それでも灰色は休まることなく坂本に斬りかかる。
不意の一撃だった。
「ぐっううぅ!?」
坂本が剣を弾き飛ばした次の瞬間、宙を待ったのはそれまでの灰色の物体ではない。
赤い鮮血を撒き散らし、人間の腕が地面へ静かに落ちる。
腕の痛みに怯んだ一瞬の隙に数多の剣が坂本の身体へと突き付けられる。
「がっあああ!!」
坂本の力ない体は彼を刺すために密集した8体の赤く染まった灰色に支えられ、静かに立っている。
灰色達が剣を抜きその場を離れた時、坂本の死体は力なく倒れた。
安藤も限界だ。
既に拳銃の弾は撃ち尽くし、ナイフによる肉弾戦に入っている。
特に身体能力の高い訳でもない安藤が灰色10体に勝てる見込みはない。
とっくに体力も尽きて全身で息をしている。
安藤はもう戦う事を辞めた。
無駄な事はするなと叩き込まれてきた彼女がとった合理的な判断だ。
ナイフを下ろし、死を受け入れた。
「おかしいなぁ、メッセージには1人で来てくださいって書いたはずなのに、10人も変なのを連れて来るなんて。もしかして俺の事嫌い?」
次に現れた男は人間だ。
身体は灰色ではなく、普通。
身長から察するに中学生くらいだろうか。
私服を着ているのでそれは断定できないが、ごくごく普通の少年だった。
異様なのはその持ち物。
右手に握っているのは少し小さめのナイフ。
左手には人間大のノコギリを引き摺っている。
「……お前が齋藤?」
「デスアゴニー齋藤参上ぅ!」
ネタバレ大丈夫な人?
うんうん俺は昔は平気だったけど今はちょっと苦手なんよなー
じゃあネタバレするけどこの作品の主人公的なポジションの僕君って人間じゃないらしいよ