6話
南極大陸決戦編始まりません
気に入って頂けたら嬉しくおもいます
気になる、気になってる仕方がない、授業は頭に入ってこないし、ご飯の味も薄い気がしてきた。
どうして僕は生きているんだろう。
死神が見えるという事は死が近いという事で1週間以内に死ぬ筈なのに僕は死んでいない。
気になる。
僕は授業が終わるとすぐさま十二宮先輩がいる筈の教室に駆け込む。
「今日は十二宮さん来てないよ」
教室に入った僕を見た十二宮先輩のクラスメイトの第一声。
なんという事だ、十二宮先輩は今日は欠席らしい。
なら家だ家に行こう、こうしてはいられない直ぐに行こう
十二宮先輩の家はなんて事はない少し大きめの一軒家でメイド3人と暮らしている。
何度か遊びに行った事があるので当然住所は知っている。
学校を飛び出して十二宮先輩の家に向かって自転車をこぎ始めて15分程した時、見慣れた人物が買い物袋に沢山の食材を入れて歩いているのが見えた。
「黒井さん!」
僕は自転車のスピードを落として声をかける。
人間になって10年経った黒井さん。
その姿は僕が初めて見た姿そのもので、美しい女性だ。
十二宮先輩に助けられて10年間、黒井さんはメイドの仕事を続けている。
「あ、こんにちわ。今日は暑いですね」
黒井さんはそんな挨拶をしてくれたが僕に会話を楽しんでいる余裕無かった。
「十二宮先輩はどこですか!」
息を切らしながら黒井さんに問いかける。
「お嬢様は今南極にいますよ」
「はい?」
思わず聞き返してしまった。
意味が分からないのだけど。
南極?南極って南極大陸?南極大陸ってあの北極と違って大陸の上に氷が乗ってるから地球温暖化の海面上昇に関係があるあの南極大陸?
「お嬢様は今最強探偵決定戦に出場されているんですけど今年の会場が南極なんですよー」
黒井さんは世間話感覚で言う。
流石10年間も十二宮先輩のそばに居ただけの事はある。
馴れているようだ。
僕もそこまで驚かなくなっているけれど南極か。
十二宮先輩が国外に出ることがまず珍しいのにまさかの南極は流石に驚く。
それになんだ、最強探偵決定戦って。
探偵って強さを競うものだったっけ。
それとも最強探偵っていうのは推理とかの話なのだろうか。
あの人なら戦闘でも推理でも最強だろうけれど。
「そういえばお嬢様が出国される前に伝言を預かってますよ」
「私より弱い探偵をぶちのめしてくる」
そんな事を言っていたらしい。
どうやら戦闘のようだ。
「それっていつくらいに帰って来るんですか?」
冷静を取り戻して当初の予定であった十二宮先輩のアポイントメントを取るために聞く。
「1、2週間で帰ってくると聞いてますよ」
笑顔で黒井さんは答えてくれる。
この笑顔も十二宮先輩のおかげであると思うと感謝の気持ちが溢れる。
それにしても1、2週間か、仕方ない、僕が生きている理由はお預けか。
もういっそ黒井さん本人に聞いてみようか。
いや、神としての知識も権能も失った彼女が知っているはずもないし、死神の頃の記憶を無理に呼び起こすのは良くない事だろう。
「そういえば十二宮先輩は1人で南極に行ったんですか?」
少し暗い気持ちになったので話題を逸らす。
「メイド長とお2人の助っ人の4人で行かれましたよ」
2人の助っ人?
あの人に人の助けなんていらないだろう。
「最強探偵決定戦は3人チームで戦うチーム戦なんですよ」
顔に出ていたのか、黒井さんが補足してくれる。
「確かお2人の名前は……デスアゴニー齋藤さんと安藤ロイドさんと言っていましたっけ。どう考えても偽名ですよね」
と黒井さんは笑っていたけれど。
僕にとってその名前は全く笑えない。
よく知っている2人だし、全く関わりたくない2人だ。
確かに北星高校戦闘力ランキングトップ5に入るあの2人なら戦力として申し分ないだろうけれど。
よりによって助っ人にあのカップルを選ぶんですか、十二宮先輩。
どういう神経してるんだろうあの先輩は。
一周まわって馬鹿なんじゃないか。
そう思う程に僕はあの2人が苦手だ。
出来ることなら僕の知らない所で勝手に幸せになってくれと思う。
幸せになっていいから僕には関わるなと。
本当に苦手なんだ。
嫌いじゃないけど理解もできない。
僕にとってあの2人はそういう人間だ。
本名は齋藤 柔木、現快楽殺人鬼
本名は安藤 永莉、元殺し屋
2人とも悪人ではない、ないのだけど。
危険な生き物であることに疑問の余地はない。
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続くんですかね
多分続きますね