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僕が見た人達  作者: 真咲
2章 死神さん(まえふり)
3/37

3話

まさかまさかの第3話驚きです

ぼくが物心ついたころから十二宮さんはぼくの人生に登場していた。


長い付き合いの彼女だけどぼくは彼女と話をした事があまりなかった。


出会っていただけで知り合ってはいなかった。


でも彼女についてある程度の知識は持っていた。


彼女のことは街中の噂になって何だって流れていたからだ。


「十二宮さんのところの娘さんが殺人事件を解決した」とか、「十二宮さんのところの娘さんは朝に米よりもパンが好き」だとか「十二宮さんのところの娘さんがツチノコの死骸を見つけた」だったり、本当に色んな噂が街中を駆け回っていた。


中でも当時のぼくがお気に入りだったのは「世界征服を企む組織を壊滅させた」という噂だった。


そんなフィクション丸出しの噂を疑う事なく信じていたし、ぼくの中で十二宮さんはヒーローだった。


そんな彼女がぼくの目の前に現れた。


当然話しをした事はないし、こんなに近くで見たのは初めてだった。


だから彼女から話しかけられた時の興奮は黒くて綺麗なお姉さんをぼくの記憶から消すには十分だった。


「こんにちは、何をしているの?」


ぼくはまるで子供がテレビの中に見たヒーローと出会った様に興奮して、言葉は出てこなかった。


「!!!!!」


どうしてぼくなんかに話かけているのか分からないし、どうしてこんな庶民の遊び場である公園にいるのかも分からないし、どうしてこんなに気品が溢れているのかも分からない。


少なくとも学校で見る女の子達とは生き物としてのレベルが段違いの人間だった。


「ああ、砂でお城を作っているのは分かっているのよ?君見たいな子供が公園で1人でいるのは少し不思議だけどそれも今はどうでもいい事よ。私が聞いているのはそういう事じゃなくて……ごめんなさい、私にもまだよく分からないのだけど、何かが引っかかっているの。……何をしているの?」


ぼくは興奮鳴り止まない状態ではあったけれど彼女が何やら困っている様子である事は十分に十二分に伝わったし、彼女の言葉の中に気になる台詞にも気付く事が出来た。


ぼくの視線の先、数歩先には変わらず泣き崩れている黒いお姉さんがいるのにも関わらず彼女はぼくの事を1人と表現していたし、声を出して泣いているお姉さんを見向きもしない。


ぼくはお姉さんに触れないし、十二宮さんは見えてもいないし、聞こえてもいない、ここから導かれる結論はそう、彼女は幽霊だったのです。


「それは違うわ、何の事か分からないけどどういう推理を辿ったのかも分からないけれど、その結論は違うわ」


どうやら声が漏れていたようでぼくの結論はあっさり十二宮さんに否定されてしまった。


「ところで一体どういう思考をしていたのかしら?」


十二宮さんは不思議な事を言う、否定しておいて何を否定したのか分かっていないような不思議な事を言う。


とりあえずぼくの声が漏れていた訳では無いらしい。


この頃には興奮も困惑で相殺されて落ち着き取り戻してきた。


一呼吸いれて十二宮さんに話かける。


「そこにいるお姉さんが幽霊なんじゃないかなって考えてた」


痛恨のミス、タメ口を使ってしまった。


が、特に気にする様子もなく十二宮さんは考え込んでいた。


少し沈黙が続くがその間、幽霊なんてものを信じている変人みたいな事を言ってしまった事を恥じていた。


もう7歳だ、幽霊がいない事はわかっていた、それはそれでおかしな話だ。


ヒーローみたいな十二宮さんの事は信じていたのに。


「彼女は幽霊じゃないわ、死神ね」


十二宮さんは少し考えてそんな事を口にした。


何をどう推理してそうなったのか分からないけれど彼女はそんな事を口にした、紛れもない真実を口にしてた。

まだ続く予定

感想、指摘まってます!

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