10話
もうマヂ無理…いつかフルリメイクしよ
齋藤は右手に握るナイフを10本投擲する。
ナイフは正確に灰色の右手を破壊し、灰色達は剣を落とすを
「おらぁぁあ!」
齋藤は両手に巨大ノコギリを構えて飛び上がる。
一閃。
ノコギリを受けた一体の灰色が正中線で真っ二つに割れる。
「まずは一体ぃ!」
真っ二つに割れた灰色はその場に崩れ落ち灰の山となった。
それまでと違いそれが動き出すことはない。
「いいじゃねぇか、この新武器!創作意欲が湧いてくるぜ!」
齋藤は叫びながら次々に灰色達を斬り殺していく。
「おらぁぁあ!!」
最後の1体が灰の山になるまでに時間はかからなかった。
「立てるかい?安藤さん」
齋藤は屈託のない笑顔で安藤に手を差し伸べる。
安藤は無視して自力で立ち上がる。
「あなたが齋藤」
安藤が焦がれた殺人鬼は少年だった。
巷で噂にならない快楽殺人犯、デスアゴニー齋藤。
その正体はごく普通の少年のように見える。
持っている巨大なノコギリを除けばだが。
「まぁ話はここを出てからにしよう、新手が現れないとも限らないし」
先程までのテンションと打って変わって齋藤は物腰柔らかな口調だった。
戦闘中は人格でも変わるのだろうか。
「近くに僕の家があるからとりあえずそこにいこう。安藤さんとはずっと話したいって思ってたんだ」
「……私もあなたと話してみたい」
安藤が齋藤に案内されて着いたのはそこそこの豪邸だった。
「ここに住んでるの?」
「うん、齋藤の支援者は大金持ちでね。何でも用意してくれるんだよ」
「支援者?」
「齋藤が昔殺した何とかって女がその支援者の娘を誘拐していたらしくて、偶然それを助けた形になったんだよね」
齋藤は少し照れた様にも見える。
人を殺したら偶然女の子を助けたとか、意味が分からない。
「次は齋藤が質問するけどいいかな?」
安藤は頷く。
「じゃあまずは今日のこととは関係のない話から聞くけどどうして人を殺してるの?」
「……生きるため、私には人を殺す事しかできないし私が人を殺さないと家族も生きていけないから」
「なるほどなるほど、でも安藤さんに寄生するだけで何もしない家族なんて殺しちゃえばもっと生きやすくなるんじゃない?」
「家族は大切だ」
「でも、人を殺してる理由を聞いた時に最初に生きるためって答えたじゃん。自分の命の方が家族より大切でしょ?」
「それは……」
もちろん安藤は家族が大好きだったし、愛している。
家族の為に命を投げ出せる程に。
だからこそ地獄の研修も乗り越えられたし、今も殺し屋を続けられている。
安藤にとって、家族の存在は生きるモチベーションだった。
だからこその虚像。
安藤は組織に入ってから1度も弟妹に会っていない。
安藤が写真の中で見る弟妹が生きているのか死んでるいるのかも分からない。
安藤は知っていた、組織がどういう措置を2人にとったのか。
記憶の奥に封じ込めた、生きるために、真実を知っては精神を保てなかったから。
安藤の弟妹は既にこの世にはいない、とっくの昔に安藤が殺しているのだから。
「いや、私は家族のことを大切だと思っている。生きるために必要な存在だと思っている」
「そっか、大切なんだね。羨ましいや」
「じゃあ今日の話だけど灰人についてどこまで知ってる?」
この後高倉仁平太がDr.アーディーにD細胞を埋め込まれて進化した人類である進人類の5人のプロトタイプの1人であることが判明したり、進化した人類は灰人と呼ばれる化け物を産み出すことが出来ると分かったり、高倉との戦いで安藤が覚醒したり、安藤と齋藤が恋人になったり、安藤が組織を抜けたりするのだけど割愛。
高倉の死に様がグロイからあんまり思い出したくない。
それに嫌いなんだ、笑顔で人を殺せる人間が。
当然だけどね。
この後安藤が狂気にハマっていくのは見ていて辛い。
1度で十分だよあれを見るのは。
初めから狂っていた齋藤が狂わないように自分を抑えていた安藤を狂わせた。
齋藤の事は全く好きになれないけど、この世界に齋藤は必要だから仕方がない。
齋藤は根っからの快楽殺人鬼なのに彼の殺人は全て善行になる。
快楽のために人を殺しているのにそれが結果として誰かのやくにたってしまう。
そんな狂った存在だから齋藤の事が嫌いだ。
もう辞めよう語る気も必要もないのに安藤と齋藤の事について長々と説明してしまった。
それもこれも全部十二宮先輩があの2人を南極に連れて行くからだ。
あの2人の事を語るくらいなら後藤家族の話をしたい。
あの家族大好きだ、ずっと見てたい。
まぁそれよりも早く尊敬する大好きな十二宮先輩について語りたいけど。
多分そろそろ南極の物語も終わるだろうし。
物語が終われば僕は全てを把握できる。
早く十二宮先輩の南極での活躍を知りたいし、語りたい。
先輩は人類で1番凄い人だからね。
殺人ダメ絶対
次回新章開幕