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見習い死霊使いと死んでる勇者  作者: あかしー
第0章
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独り暮らし、片付けられない女、神の部屋

読んでいただきありがとうございます!

初めて投稿しています。

不慣れな部分は広い心で見ていただけると助かります。

また当方、鬼のようにタイピングが固い古めのキーボードを使用しております。

誤字や変換ミスがちょいちょいあるかと思いますが、ご指摘いただけると幸いです。

でも最近ブラインドタッチできるようになりました。えっへん。

 あ、いらっしゃい~…ああ、ちょっと待っててね、そのへんすぐ片付けるから。

 いや、異世界転生なんて良く聞くじゃん?でも実際に転生する人なんて滅多にいなくてさ、ここにお客さんくるのも久しぶりでね~。

 

 前回は…何百年、いや何千年前だったかな、あははは、覚えてないや。そもそもいたっけ、転生者?

 まあおかげで暇で暇で。暇すぎて片付けする気力も湧かなくてさ、散らかっててゴメンね~。

 ささ、ここ空いたから座って。

 ふむ、まだ状況が理解できてませんって顔をしているね。

 具体的に言うと、見開いた目が泳いでて口が半開き。なかなかのアホ面だね。

 

 まあまあ、落ち着きなよ。何か飲む?

 ところで今日はどちらから?

 えー!日本から!?日本って、あの地球のジャパンだよね?…って私が呼んだから知ってるけどね!

 とりあえず日本人なら緑茶がいいかな。それとも日本酒にしとく?

 ジャパニーズ・サケ。

 あれは良いよね、私も昔飲んだ事がある。良い物だよね、あれは。

 うん?

 了解、緑茶ね、はいどうぞ。

 

 …ああ、ごめん、突然何も無い空間から湯呑が出てきたら驚くよね。

 まあ「ここ」はそういう場所って事でね、毒は入ってないから安心して飲んでいいよ。

 いや~、しかし君も災難だったね。

 本当は今頃、安らかに輪廻転生して次の人生に望めた所だったのにね、こんな事は滅多に無いんだよ、ホント。

 それだけ、この世界の子達も焦ってるって事みたいだね。

 私も急に叩き起こされてさ、慌てて適合しそうな魂探して、で、君に来てもらったってわけ。

 あ、お茶熱いから気をつけてね。

 

 …そろそろ理解してきたかな?

 うん、そうだね、残念…って言って良いのかな?

 魂のある存在はいつか必ず肉体を手放すわけで、森羅万象の理ってやつだし。

 しかし君たち側の価値観に寄り添うとすれば、お亡くなりになるというのは、大抵の場合、無念な事柄なのだろうね、いやホント、ご愁傷様。

 まあまあ、そう落ち込まないで。

 

 確かに君は、お世辞にも波乱万丈とは言えない、その凡庸で退屈な人生を自ら諦めたフリをして、半死半生の生ける屍のように、自宅と仕事場を延々と往復する毎日。一生モノと呼べるような人間関係もなく、常に唯々諾々と何かに流され、何も与えず、何も産み出さず、自分の身に起きる事柄すべてを、ダラダラと垂れ流されるコンテンツのように感じながら、苛立ちや怒り、羞恥心を押し込めた虚無感に自分らしさすら感じて、大事に大事にしてる間に、何をするにも手遅れな年齢になってしまったと言い訳をして、さらに自分を見限って、でも本当は愛して止まない自分自身を諦める勇気なんて無いくせに、またかっこつけて諦めたようなフリをして、なけなしのチンケなプライドを守りながら…。

 

 宙を舞う枯れ葉が濡れた地面にへばりつくように、あっさりと何の感動もなく、そして死んだ。

 

 ちなみに心筋梗塞だったそうだよ、不摂生が祟ったみたいだね。

 健康には気をつけなきゃダメだよ~…おっと、失礼。

 その目、初めて戸惑い以外の感情を見せてくれたね。

 それは怒りの感情かな?それとも悲しみ?もしくは両方かな?

 まあまあ、本当の事を言われると誰しも狼狽えるものさ。

 

 …ん?何が目的だって?

 そうだね、確かに。

 ただ君を罵倒したかった訳ではないよ。

 さっき、呼び出されたって言っただろ?

 とある世界線に、とても困っている人達がいるんだ。

 その人達は滅びの危機に瀕していて、助けを必要としている。

 これから君に、その世界の住人として第二の人生を歩んでもらおうと思うんだ。

 もちろん断る権利もあるよ。

 君はこんなは利己的ではた迷惑な転生などせず、ごく普通に輪廻に戻る事もできる。

 

 …世界を救えばいいかって?

 

 そうだね、人々は君にそれを期待するだろうね。

 ただ、こう言っては何だけど、君に彼らを救ってあげる義務はあるのかな?

 私は困ってる人達に乞われて、ただ君を送り出すだけさ。

 別に人間が滅んでも、その後別の生き物が支配者ヅラをするだけだろう?

 

 人は滅んでも世界は滅んだりしないさ。

 

 君は責任なんか負わずに、自分で考え、行動し、喜んだり苦しんだりしながら、そして楽しむといい。そもそも君は、たまたま偶然に魂が適合して選ばれただけなんだから。君じゃなくても他の誰かが、そのうち選ばれていたさ。

 宝くじに当たったようなものだよ。

 もし転生してくれるなら、君は君が生前に成し得なかった生き方をすれば良い。

 …で、どうする?

 

 …そう、分かった。

 

 君の次の命に、幸多からんことを願うよ。

 …って人間からしたら私が願いを叶える立場か。

 

 …え?私の名前?


 教えてもいいけど、たぶん転生後は生前の記憶は酷く曖昧な状態になると思うよ。

 ここでの会話も覚えてるかどうか…。

 前世の記憶を持ったままチート特盛?

 いや、ないない。そんな都合の良い事。多少断片的に記憶が残る程度でしょ。

 まあでも、覚えててくれたら、正直ちょっと嬉しいかな。

 

 私は…私の名前はフランドリア。

 暇で暇で仕方ない、部屋の片付けもできない、ただの女神さ。

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