日常の開幕
3部まで投稿してましたが大きく編集しました!
内容が薄いと感じたのでちゃんとキャラに特徴掴んでから描き直しました!
またお時間ある時読んでみてください^ - ^
人類を壊すことなんてどうにでもなる
自分が狭間にいたら誰も興味なんか示さない
興味を示すような物好きがいる?
存在価値とはなんだろうか
考えたことなんかない
仲間に出会わなければ、この家族がいなかったら私は今ここにいなかった
―253年前―
燃え上がっている
どこもかしこも、見渡す限り燃え上がってる
少女は動かない
ただずっと座って壊れた窓ガラスの向こうを見ている
だが瞳の奥に感情はない。
無。
後悔はない。悲しみもない。苦しみも、痛みもない。
早く―――――
終わりの時
(死ぬのはまだ早いよ、我が愛しき宝石よ)
・
・
・
・
・
・
夢から覚めた
(何時だ…?)
寝ぼけた頭でぼやけた天井を見上げたまま
(早く起きなければ…)
そう思った少女はベッドからゆっくりと起き上がり、服を着替え始めた。
・
・
・
・
朝の音がする。
調理しているフライパンの音。
音楽。
テレビの音。
人の会話。
今日も1日がはじー
ガシャーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!
(はぁ?)
「だから言ったじゃない!危ないからやめなさいって!もう!1人分のご飯が台無しよ!」
(全く朝から騒々しい…なんなんだ…。)
声の聞こえる方向へ向かうと、双子の姉“ミルフィー“と“エルフィー”がいる。
床には炒めていたであろう具材とフライパンが落ちている。
「悪かったって…お姉ちゃん…」
「今回もエルフィー無しだからね!これで何百回目よ!」
「そ、そんなにしてないだろ!」
「…なぁにぃ?反抗するのかぁ?私の記憶なめんな、弟。」
「うぅう…ご、ごめんなさい…。」
この二人は二卵性の双子だ。
見た目はまだ小さく、誰もが小学生くらいの年齢と思うだろう。だがこう見えて成人は超えている。まだ生きていたら19歳くらいだっただろう。
今日は二人が朝食当番か…。
「…はぁ。まあいいわ、私はいらないからエルフィーが食べなさい。」
「え!?!?そ、そんな…!!いいよ!」
この双子はバランス悪いのかいいのか…。
お互いを譲らない会話がまた始まってる。
姉のミルフィーはお姉ちゃんだからと言って自己犠牲精神が強い。
対して弟エルフィーは弱い男の子に見えるが本当は芯が強い。
だからバランスがいいのか悪いのかわからない。
様子を見ていた私は、頃合いを見て2人に声をかけた。
「騒々しい、何があった。」
私の声を聞いて双子はゆっくり顔をこちらへ向ける。
「る……るか…り…あ姉さん…??」
(何故エルフィーは私の顔を見て怯えるんだ…?)
「ルカリア姉さん!おはようございます!」
「おはよう、ミルフィー、エルフィー。それで、何があったんだ?」
私の質問に対して、エルフィーが申し訳なさそうに答えた。
「実は‥僕が朝食を作ってる最中にフライパンを落としてしまって…。申し訳ありません…。」
「カッコよくフライパンを返そうとしたんだな。」
ミルフィーはしばらく私を黙って見ている。
「エルフィー、エルフィー!大丈夫だって!ルカリア姉さん凄く怒ってないよ!ただ理由が知りたいだけなの!!朝から怪我でもしたら団長に報告とかいろいろしないとだから!」
(こいつまたか……まあ仕方ない能力か…。)
ミルフィーは、相手の“嘘、真実”を見破られる能力がある。
ここ、モノクロサーカス団はそれぞれ“能力”を持っている。
そして皆人間じゃない。
能力発動する時必ず目の色が変わるか、元からあった色が濃くなるのだが、この双子の場合子供の時に死んだので自分の意思関係なく無意識に発動しているらしい。団長曰く“子供は純粋だから能力が勝手に発動するのは仕方がない”と言っていた。
「え?そうなの???でもお姉ちゃん、ルカリア姉さんは嘘ついてるよ??大して興味なさそうだし。」
(正解、全く興味ない。理由が知りたいんだ。)
エルフィーはミルフィーと違って相手の“嘘”しか見破られる能力しか持っていない。
だけどミルフィーと違って嘘が正確に99.9%読み取ってくれる。
ミルフィーは、嘘と真実を見極められるが正確には読み取れない。ざっと80%くらいだ。
「エルフィー、さすがだな。確かに興味はないがどうしてかっこよくわざわざやったのか理解ができない。成長できない体だ。仕方ない。だから何百回も失敗してしまうんだ。一度団長と話して少し成長させてもらったらどうだ?」
「僕は男の子。それに何もできない子供でいられない。これくらい何回も…。1人分なくなったって僕の分抜けば良いんだ…。」
「待て待て、大体こんなことしてるのもおかしい話だ。人間と合わせろという命令でやっているわけだ。本来食べなくても生きていけるんだぞ?」
エルフィーは黙ってしまった。
黙るのも仕方ない、色々思うことあるだろう。
この双子は交通事故で7歳で成長が止まってしまった。
純粋な心のまま成長が止まったんだ。
(まあ、全て団長とあの男のせいだ…)
「もう!そんなにしょげないでよ!何回もやることはいいこと!私でもできないんだから!エルフィーは凄いね!…でも危ないことして欲しくないなぁ。団長にお願いして軽いフライパン買ってもらお?」
「うん!…ありがとうお姉ちゃん、あとお騒がせしました、ルカリア姉さん」
そうエルフィーは私に謝り私は自分の支度するためにキッチンから離れそうとしたがー
「ちょっと〜、何よ騒々しいわね〜」
(チッ…)
よりによって面倒くさいやつに絡まれた。
(道を塞ぐな、クソババア…。いつも通り目の色ピンクか…)
内心はそう思いつつも、私は違う言葉を口にする。
「邪魔だ、フィレーナ。道を塞ぐな。」
「朝から騒々しいから様子を見に来ただけじゃない?その獲物を狩るような目付きで見られて困るのは私なんですけど〜?…今から大学行くの?」
私の目の前で終始笑顔で淡々と話しているのはフィレーナという。
皮肉な喋り方するが団員の中では3番目年長者である。
見た目はとても若々しく見えるが、こう見えても古株だ。
しかも能力を発動している。
フィレーナの目の色がピンクの時は“印象操作”が発動する。
自分の意思で相手にどう印象を与えるかを操作できる。
フィレーナが印象を決めたらそのまま実現できる力がある。これがとても厄介で解く方法は全てフィレーナが握っている。
普段からピンクで元々は茶色の瞳をしている。
「これから準備して向かうところだよ。」
「そう、大学行くなら先生によろしく〜。これを渡してもらえるかしら?」
そう言って差し出されたのは真っ黒な封筒だった。
大学の書類関係は全て提出し終わっているはず。
(ということは…)
だから私はすぐ察した。
「わかった、渡しておこう。」
「せいぜいバレないようにね、バレたら家族が崩壊、場合によっては私達はこの場所を去らなければいけないかも〜。だ・か・ら?」
フィレーナは笑顔を携えながらも、全く笑っていない瞳で私に注意を促す。
私は無言のまま、フィレーナの瞳を見つめ返す。
「……………。」
「……………。」
沈黙ーーーーーー。
冷たい空気が流れている。
「今日はどう印象与えようとしてる?」
私はフィレーナに質問した。
「意地悪なお姉さん印象。てね?本心言いなさい、このガキ。どうせクソババアと思ってたでしょ。」
私は目を逸らす事もなく、何事もなく平然と答える。
「遊んでいるのか、私を。」
「ウフフフフッ、だあって貴女可愛げないから〜。これくらいでもしないと面白い反応見せてくれないじゃない〜、何百年経つのよ〜。」
「そんな経っていない、私はもう出るぞ。」
初めから遊ばれた、いつからいたんだかー
(朝から面倒な…。)
そう思いながら台所を後にしようとすると、たった今思い出したかのようにフィレーナは私に呼びかけた。
「そういえば団長が〜。」
「……………………………。」
私は足を止め、次の言葉を待つ。
「団長からメッセージ“学校が終わったら必ずまっすぐ、私の元へ来るように”だぁって…。」
「面倒くさい、急ぎならメッセージでいいだろ。」
「団長様の言伝なぁんだから〜?黙って聞きなさいよ〜。」
「じゃあお前が言え。」
言い争っている中エルフィーが私に声をかけてきた。
とっくに片付けは終わらせたらしい。
エルフィーは私に小声で話した。
「姉さん姉さん、フィレーナ姉さん嘘ついてますよ?」
どう言うことなのか、ミルフィーは真実を教えてくれた。
「フィレーナさんは団長に言われたことだけど、フィレーナさんも言ってたみたいですよ。“メッセージでいいじゃん”って」
ほお?とフィレーナに向けると目の色が変わり元の目の色に戻り私に言い放つ。
「なっーーーー!!!!余計なこと言うな!!双子の姉弟!!!!ふんっ!!!!別にかばったわけじゃないんだから!!!私も思ったから言っただけだわ!!!!早く元の当番に戻りな!そしてルカリアは早く大学行け!!」
「ははぁん?お前は私の代わりに言ってくれたんだなぁ?それでも自分を犠牲にしてまで皮肉って私に報告してくれてたなんて、可愛げないのはどっちなんだろうな?わかったわかった、大学終わったらまぁ〜すぐ帰るよ、フィレーナ姉さん?」
私は意地悪く返し、フィレーナはプンプンと腕を組んで目を逸らした。
大学の準備の為、自室に戻ろうとしたらまたフィレーナに声を掛けられた。
「待ちなさい。…眼帯、また歪んでる。その格好で行くの?整えてあげるからじっとして。」
こうされるといつも思い出される。
私が団長に連れられてモノクロサーカス団に入った時、フィレーナはいた。
“ルカリアのお世話係”ということで私をこういつまでも子供扱いしていた。今もフィレーナにとって私は子供に見えるのだろうか…そこだけフィレーナの本心がわからない。聞いたことがあるが、答えは「だからぁ?」と返された。…意味がわからない。
「よし、終わり!…なあに??ボーッとして〜?早く行って届けて!」
色んなことを考えてしまった。
私はお前と違ってーー
「ルカリア。不安ならまたにしてって団長に伝えるけど?」
「……いや、いい。」
「行ってきます。」
私が大学へと向かった後、双子達は順調に朝食を用意した。
フィレーナは見送った後、サーカス団の手伝いに行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私達の家、モノクロサーカスから学校との距離はそんなに遠くない。
30分くらいだ。
ここノーントライスシティは賑やかな都会。
多数のショップ。
その手前には小さくはあるが、小洒落た屋台が並んでいる。
喫茶店では女子が楽しそうに話している。
カップル同士、服を選んでいるのだろうか。微笑ましい光景だ。
夫婦は店頭に並べられている小物を見ているだろうか。
日常の平和そのものだ。
「ねえねえ!ママ!!パパ!!これ見て!!」
子供が大きな声を上げて指を指す。
そこにあったのはーーーー
「なになに?あぁ!モノクロサーカス団ね!今度こそいい席確保しないとね!」
「本当に凄いよな、さすが世界に注目されるくらいのサーカス団だな。」
「この前行った時は見惚れてしまったわよね…今度は近くで見られたらいいわね。」
「うん!!!」
そこにあったのはモノクロサーカス団のポスターだった。
ポスターをみて子供がはしゃいでいたのか。
子供連れのご夫婦は賑やかな会話をしながら去っていった。
子供の頃か…。
気付いたら私はすでにモノクロサーカス団にいた。
いや、連れてかれたんだ。
後悔はしてない、後悔は。
割れた窓ガラスの向こうをずっとみていた。
燃え上がってただずっと窓ガラスの向こうを見ていた。
後悔はしてない。
後悔は。
『コウカイシテナイ。』
「姉様?」
「っ!!!!!!!!!!!!」
呼ばれてハッとなった。
私の前には若い男性と女性がこちらを見て立っていた。
周りから見たらカップルと間違われるくらいお互いに顔が整っている美男美女ーーげっ………。
私は目の前の男女を見て一気に現実へと戻された。
とくに…
「ルカリア姉様?どうかされたのですか?」
(レア!!!!)
「姉様?うふふ、何かお困りでしたか?お手伝いしますが?」
レアーー
この女は生前モノクロサーカス団を知っていた女だ。
お客は沢山いるから顔まで覚えていなかったが、どうやらルークから話を聞いたら“だいぶストーカーじみた事していたけど?”と言っていた。
言葉の意味が分からなくて聞いた時、あぁこいつーと思った。
そもそも、相手が私を復讐で狙ってきた瞬間に横から飛び出して庇ってきたんだ、当時は内心“どこから湧いてきた!?”と理解できない行動に驚いた。死に方も死に方で無残だな…。
「ルカリア、どうした?今から学校行くんだろう?」
私をルカリアと呼んだこの男は“ルーク”
こいつも学校へ一時期一緒に行ったが…その前に私はルークに小声で話しかけた。
「どういう事だ!?なぜレアが外にいる!!出してはいけないんじゃないか!?」
「はぁ!?聞くな、これでも必死に止めたんだ!手を貸せ、“情報共有”してやる。」
そう、ルークは私の手を取って“記憶共有”始めた。
ルークの目が濃くなっている。
能力発動している最中の目だ。
メモリー・シェア《記憶共有》
ルークの能力の一つであり、仲間にルーク自身が見た記憶を提供、共有することができる。
手を掴まれた後、ルークが見た記憶が鮮明に映像がルカリアの頭の中へ流れていく。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
“今日は私が掃除当番…ルークお兄様?私よろしければ買い物御一緒しますわ。”
“いや、いい。1人で行ける。早く掃除を済ませてくれれば皆れんしゅ” “終わらせました。お姉様の部屋だけ。”
“待て、外へ出るなと言われているだろう。自分の持ち場ーーーー”
“Cansell《取り消し》”
“お兄様?ボーッとして何されてますか?今日は私と買い出し行くって言ったじゃないですか?先に行きますよ?”
“あ、あぁ。すまない。待たせてしまったな。行こう。”
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
見せられた映像はここまでになった。
なるほど、レアの能力に惑わされたんだな。
記憶にあったレアの能力Cansell《取り消し》は、その場の言葉を撤回させることができる能力。だけど当日しかできないみたいだ。
(過去に何回か自分でやって失敗した結果で分かった事だけどな…失敗した後なんて……はぁ……。)
「そういうことだよ。」
「また惑わされたのか、迷惑な事だな。」
ルークはチラッとレアの方を見てまた私を見て話しかけた。
「あと、大学なんだけど単位は取れている。上手くサボっているだけだ。それに兄貴の元で学んでいないから問題ないさ。学部違うしな、必須になったら行くよ。心配しなくていい。」
ルークは上手くサボってテストでは満点を取る、要領の良い男だ。
流石に先生方も何も言えないらしい。
本当に点数だけはいいが、授業態度は良くないと聞く。
(点数満点なんて“能力”というセコい手を使っているだろう………。)
悠長にルークと話した後、レアに声をかけられてしまった。
「お姉様?」
「レア、買い物お疲れ様。手伝えなくて申し訳ない。」
「いえ、心配することではございません。これくらいーー」
「だが外出は許可されてないはずだ。何故セコい手を使ってまで外に出ようとした?」
「外の空気をーー」
「ふざけるな、いくら嫌でも能力を使ってまで仲間を騙すのはダメだ」
「っ!キャンセーーーー」
「能力をまた今ここで使ってみろ。リーダーとしてルークにお願いして“記憶消滅”してもらうぞ。」
ルカリアはチラッとルークを見る。
「ん、なんだ?」
「団長に見つからないうちに戻れ。フィレーナ姉さんはもうとっくに起きていた。」
「……そういうことか、団長はまだ起きていないんだな。フィレーナ姉さんか…フィレーナなら大丈夫だと思うけど…まあ、わかったよ。」
ルカリアはルークに「頼んだ」と言って大学へ向かった。
ルークはレアを早く連れて家へ帰ろうとしたが、レアは黙ってルカリアの方をずっと見送っていた。
「レア、早くするんだ。フィレーナ姉さんは融通効くけど他上2人に見つかったら大変だ。」
「そんなに怖いの?…ただの古株でしょ?」
「レア、一応言うが能力は桁違いな方々だぞ?」
そうだ、俺はあの3人が読めない。
フィレーナはまだ色々と話が通じる。まだ人間らしい部分がある方だ。でも怒ったら何されるか分からない、能力も詳しく見たことない。
そしてモノクロサーカス団初代入団者“ヴァレッサ”という男がいる。団長の次の立場にあたる。
前リーダーでもあったがルカリアに譲った。
(そして、俺の過去の遺物…)
団長ーーーー
昔能力手に入れて記憶を覗こうと思った。
やったら“無効化”されて見せてくれなかった。
見せられたのは俺のトラウマを見せられた。最悪だ。
団長はレアの定期検診だけは見逃せないと言っている。
仕方ない、レアだけ急に“狂人化”してしまったら困る。
団員にも迷惑かかる。
「お兄様?、考えたことないのですか?私達モノクロサーカス団はルカリアお姉様を筆頭に6人のチームで動いています。ここまで能力持てたら怖いものはないと思いますが?」
「冗談言うな、さっきも言ったように桁違ー」
「やってみないと分からないですよ?」
俺だってーーー
過去に何回か団長を殺ろうとしたことある。
団長は悪くない…けど…何か許せなかった
どうしようもなかった…ヴァレッサが一番の原因だった…でも俺はーーーー
「お兄様?」
レアは笑ってルークに声をかける
ルークは過去のことを思い出してしまって困っている。
「……行くぞ。ここにいたらどこに見られてしまうか分からない。」
ルークはレアに早くと言って先に家へ1人で向かって歩いてしまった。
レアはため息をして買い物した荷物を持ってルークについて行く。
俺は昔、病気で死んだ。
元々生まれつき病弱だった俺は、出来る事は勉強しかなかった。
病弱だったけど、勉強があるなら救いだと思ってた。
周りと違って走ったら呼吸が上手くできなかった。
体力も1日持たず、学校行っても大体昼過ぎには体調が悪くなることが多かった。
その時でも俺の側にいて勉強を教えて貰ったのはーー
「あっーーー」
俺はボーッとしてしまった。
相手とぶつかってしまったんだ。
身長高そう…
俺はすぐに顔見て謝ろうとした。
「あ、すいません!俺ーーーーーーーえ…」
「やぁ、こんなところで会えるなんて偶然だね、ルーク?」
やばい、見つかったーーーー
レアのことなんとか誤魔化そう。
「おや?…レア。何故ここに?」
「…っ!!…どうして?……朝、ちゃんと先に……ルカリアお姉様より前に出たじゃない……!!なんで貴方がいるのよ!!」
「君達が何を言っているのかわからないが、レア。君は外出禁止と団長に言われているはずだ。破ったのはこれで何回目だ?」
ヴァレッサーーーー
団長に次ぐ、モノクロサーカス団で2番目の古株ーーーー。
クソーーーーー。
記憶を変えたら兄さんに確実にバレる。
「あ、すまない。兄さん。レアがルカリアの忘れ物に気づいたんだ。それで今届けたところなんだ。俺は買い物しててたまたまさっき会ったんだ。もちろん外出禁止なのは重々承知してる。すぐ帰るつもりだったんだ。」
ヴァレッサは顔一つ変えない。
何かを考えている。いや、疑われているずっと俺じゃなくてレアを見ている。
俺の話なんか聞く気なかったんだ。
俺はヴァレッサの前に行きまた話をした。
「兄さん!今から帰るんだ、本当に…たまたま出会ったんだ。」
お願いだから今ここで“Cansell《取り消し》”しないでくれ。
全責任リーダーのルカリアに負うことになる。
お前もわかるだろ、レア。
「忘れ物はなんだ、レア。」
「えっ……が、学生IDパスポート…。あれが無いと入れないと伺ってます…。」
「そんな大事な物を?何故?」
「それは、わかりませんが…。今日は掃除当番なので急いで持って出たんです…。」
いいようにまとまった、今回だけは褒めてやるレア。
俺は安心してヴァレッサに声をかけた。
「そう言うわけだから、俺ら行くよ。行くぞ、レア」
「はい。」
そう言って、俺はすぐヴァレッサの目の前からさった。
後ろを振り向きたく無い。
よりによってなんであいつが……
あいつはーーーーーー
生前俺が体が弱い時、1日体持たなくてそれでもマンツーマンで勉強教えてくれた人が“ヴァレッサ”なんだ。
その時「きゃっ!」とレアの声が小さく聞こえた。
俺が振り向いた瞬間、ヴァレッサはレアの右肩に手を置き冷徹な目をしていた。
レアをじっと見ている。
「レア、君そういえば先程“ルカリアお姉様より前に出てたじゃない!”と言ってたね?少し気になることがあるんだが聞いてもいいかな?」
レアは振り向いて“何でしょう?”と恐怖を感じながら聞いた。
「私は思うんだが、そもそもIDパスポート忘れていたなら先に君なら感情的に“忘れ物届けただけ!”と答えるはずなんだ?だが君は“ルカリアお姉様より前に出てたじゃない!”と言った、つまりーーー。君は嘘をついた。」
バレたーーーー。
こういう細かいところをすぐに見破る。
だから嫌なんだ。
ヴァレッサは能力使わなくても生きている経験が違うのはすぐに物事を把握できてしまう。
元々賢かったのかもわからない。
やはり手強い、俺の言った通り桁違いな能力があるのは確信できる。
「………にい…痛っ!!!」
レアは掴まれた右肩を痛めている。
ヴァレッサが力を入れている。
「ルーク」
俺はヴァレッサを見た。今レアを心配することができない。
もう仕方ないーーーーー
ルークは目の色を濃くして能力を発動する。
メモリー・インフォメーション《記憶情報》
ルークはヴァレッサの記憶を覗いた。
メモリー・インフォメーション《記憶情報》は、ルークだけの能力であり、相手の記憶を正確に読み取る事が出来る。
“レアを記憶消滅する。”
「っ!!!!!!!(記憶消滅を頼む気だな!!!!…メモリー・ファブリケーション《記憶捏造》)」
ルークが能力を発動しようとした時、額に何か固いものが当たって目を閉じてしまった。その結果、能力を発動できなかった。
(書類?クソ!!こんな時に紙を撒き散らすなよ!!)
「お兄様!!」
「大丈夫だよ、レア。人通りも少ないし、ルークが拾ってくれるよ。それよりこっち向いて欲しい。」
「何ですか!?」
ルークは散らばった書類を手で払いながらヴァレッサを見た。
だがしかしーーーー
(なっーーーー!?!?能力発動!?いつから!!??)
ヴァレッサの目はオレンジと黄色が混ざったような色を濃くして能力を発動していた。
素早くルークの所へ行き話しかけた。
〈このままレアを連れて、団長に正直に報告するんだ。“外出禁止をまた破ったので記憶消滅します。次の御命令をお待ちしてます。”とね。その後レアの記憶消滅を頼んだ。レアには部屋で待機してもらうんだ。記憶消滅するまで暗示は解けなくなっている。レアの記憶消滅が終わった後、ルカリアに“夜、寝る前にレアの部屋へ行くように”と伝えておくように。それで君の仕事は終わりだよ。〉
俺はヴァレッサの能力にかけられ、言われた通りその指示に従った。
レアも黙ってルークについて行く。
「さて、私は業務に勤めるとしよう。」
ヴァレッサはやることやり終えた後、バラバラにした書類はそのままにして学校へ行った。
(あれは3年前の問題用紙…、誰かに拾って燃やしてもらおう。)
ヴァレッサは、使えそうな人物を探しながら学校へ向かった。
〈すまない……。あそこにある書類を全て集めて燃やして欲しいんだ、頼めるかな…?いつも掃除してもらっているのに増やして申し訳ない……〉
ここまで読んで頂きありがとうございます!
私はシエラと申します。
レイさんの方は私が考えた原本を編集してくださってます。
本当にありがとうございます!
なのでシエラ・レイで投稿しています。
今回の登場人物と能力を紹介します。
・ルカリア…現在モノクロサーカス団のリーダーであり、大学へ通っています。モノクロサーカス団の為に勉強していますがこれは団長の命令です。
右目眼帯してますが、怪我をした理由は別の話で出す予定です。
・ミルフィー…二卵性の双子の姉です。弟エルフィーがいます。生前色々とありましたが、変わらず弟想いで、勉強熱心な子です。本文にもありましたが生きていたら19歳です。
賢かったかもしれません。
能力ですが、まだ子供なので無意識に発動してしまいます。
ミルフィーは、“嘘、真実”しか能力持ってません。
戦闘能力はそんなに高くないですね。
・エルフィー…二卵性の双子の弟です。姉ミルフィーがいます。生前は姉と違って内向的な子でした。今もあまり変わりませんが、少しずつ前向きになってきてます。
能力は“嘘”しかもってません。ミルフィーと違って双子でも同じ能力を持てるわけではありません。
エルフィーはとても臆病者なので“嘘”を見抜ける能力は1番高い子です。常に無意識に能力発動をしています。
ミルフィーと同じで戦闘能力高くはないです。
・フィレーナ…3番目にモノクロサーカス団に入団した古株です。基本意地悪ですが、ほぼモノクロサーカス団の面倒を見ています。団長よりです。
今回出てきた“印象操作”ですが、これからもピンクの目をして“印象操作”を発動していきます。出かける時も普段しています。相手を自由自在に“印象操作”を与えるなんてすごい能力だなと思っています。これからも能力が出てきますのでお楽しみに!
ですが基本古株は働きません…。
・レア…外出禁止令出てますが、今回何故出たかというとルカリアを追いかける為に出ていきました。
理由はこれから書いていきますが、過去に何回か外出禁止令を破ってます。レアは基本約束を守らない子です。
今回は能力“Cansell《取り消し》”が出ました。
Cansellは、その場で会話した内容を取り消しできる能力です。ルカリアが説明してましたが当日しか使えません。次の日、昨日では能力は発動できません。
レアが会話の場にいない場合でもCansellできるのか?とレイさんに言われましたが、できません!
レアがその場にいて、会話を聞いていないとCansellはできないです!と説明しました。
・ルーク…現在モノクロサーカス団では副リーダーの立場になります。基本好青年と思ってください。とても良い人です!
モノクロサーカス団の中ではまだマシな方だと思います。
本文にありました能力説明します。
まず、メモリー・シェア《記憶共有》
ルークが見た記憶、相手から得た記憶を共有したい相手に映像として直接共有する事ができます。
手を貸せと言ってましたがすぐ流したい為に手を取って共有しました。手じゃなくても相手の目を見れば共有できます。
これは死後復活した時に、ルークが作った能力です。
メモリー・インフォメーション《記憶情報》
これもルーク特有です。
目的の人物を対象に狙いを定めた相手の記憶を抜き取ります。記憶を抜き取った相手ですが、抜き取った記憶が欠落する事はありません。ただルークは相手の記憶を読み取り、記憶を覗くだけです。隠したいことたくさん人間はありますよね?なら引き出すように色々と言葉を操って引き出す。そんな感じに近いと思ってください^ - ^
メモリー・ファブリケーション《記憶捏造》
後から説明しますが、これはルーク特有ではありません。
ヴァレッサも使えます。
自分の作った記憶に相手の記憶を書き換える。もしくは作った記憶を刷り込む事ができます。記憶の上書き保存と新規保存といった感じでしょうか。
相手を思い通りにすることができます。
ルークが発動しようとしましたが、先にヴァレッサが発動しちゃいましたね…。
作中の様に正確に内容を相手に伝えて暗示をかけることもできます。
・ヴァレッサ…モノクロサーカス団へ2番目に入団した古株でルークの過去の遺物。初代モノクロサーカス団リーダーです。
団長、ヴァレッサ、フィレーナこれが古株の御三方です。
ルークが言った上3人はこの方々です。
ヴァレッサはルークと同じ“記憶系”の能力が使えます。
今回はルークと同じ能力を使っていました。
ルークとは過去に何かありそうですが、別の話で書くかもしれません。
ルークは特有能力が出ていましたが、ヴァレッサ特有能力もいつか出てくるかもしれませんね…。
以上が登場人物紹介と能力紹介でした!
これからも自分の作品を大事にして小説を投稿していこうと思いますのでよろしくお願いします!
ありがとうございました!