2.授業中の姿
読書好きの元気系、というちょっと珍しいキャラの佐莉亜さん。
数学の授業中、高校とはいえ最初の授業は特に難しいものではなかったけど、新しい知識を得るのはつまらないものではない。
それでも、初日から居眠りに耽るクラスメートが2,3人…。
ふと佐莉亜さんが、適切な意味で気になった。
視界に映る彼女がさっきから、全く黒板に顔を向けていないから。
横目で見てみると、寝てる様子はない…教科書の影で何かしている。
手に持っているのは…カッターの刃…?
と、消しゴム……その傍らにはシャーペンの芯のケースとマジックペン。
何をしているのかとしばらく見ていると、佐莉亜さんは消しゴムを削ってシュールな人形を作っていた…。
授業を真面目に受けるタイプじゃないのか…そう思ってたその時、佐莉亜さんは先生に指名された。
黒板に書かれるちょっと長めの計算式。
しばらく黒板を見てなくて、ノートにすら手をつけてない佐莉亜さんが分かるはずはない…
「えー…っと、30です!」
それなのに何故!?
式を見た一瞬で計算した!?
授業は真面目に受けない、でも頭はいいと…。
単純にそのキャラは羨ましい…!
椅子に座ったところで、僕の目線に気づいたのか佐莉亜さんはこっちを向いた…僕はすぐ前を向き直してノートを取る。
見ていたのが気づかれるのは気まずいし流石に恥ずかしい…。
少しすると、隣の席から手が伸びてきて、机の上に何かが置かれた。
佐莉亜さんの方に顔を向けると、小さい笑顔で「あげる...!」と…
その時、僕の机に置かれた消しゴム人形は今でもたまに、机の上に置いている。
消しゴム人形、リアルでは僕がめっちゃ作ってたやつです。