第34話 戦の理由2
もう少し詳しくきっかけを聞く
結果として戦は終わった。僕達が勝ったのか負けたのかで言えば、どっちとも言える。僕にスコルにエリス、そして雇ったディド、コルガ、イソルダ。みんな五体満足で無事に生きている。生きてるだけで丸儲けって言葉もあるくらいだから、そう考えると僕達は勝ったと言えるんじゃないだろうか。ノーザのオークに酒代を払ってしまったという点では僕達は負けたと言えるだろう。でも、そのおかげで戦が終わったんだから、感謝されてもいいと思う。
話が飛んじゃったけど、僕達が戦の理由を聞いた時の会話はだいたい以下のような感じ。
「酒代だぁ?」
スコルは目を丸くして口を開けた。オークは頷いて戦の理由について話し始める。
「そうさ。ノーザの村にガラテアが来て、飲み会が開かれたんだ。その席で負けた方が酒代を払うって飲み比べをしたんだ。ところがみんな飲み過ぎで前後不覚になっちまって、どっちが勝ったんだかわかりゃしない。お互いに自分が勝ったって譲ろうとしないから、戦で決着をつけようって事になったんだ」
「戦のきっかけとしてはくだらない理由よね」
「わたしもこんな事で戦になるなんて初めて聞きました」
「理由なんてなんでもいいんじゃないの?」
みんな理由を聞いて口を開く。僕としてはそんな事で戦をしようというのが馬鹿馬鹿しくてしょうがない気分。
スコルは驚きから覚めたのか、口を閉じて腕を組んでいる。かなり機嫌が悪そうだ。
「で、酒代ってのはいくらなんだ?」
低い声でスコルがオークに尋ねた。
「えぇっと、金貨五十枚程……」
「わかった!その金額を払うから戦はこれっきりって事で手を打たないか?」
金額を耳にしたスコルが即座に言った。金貨五十枚なんてガラテア達にしてみればたいした事ないはずなのに、払い渋って戦をするなんて。僕は呆れて言葉も出ない。
「そう言われても俺の一存じゃ……」
そう言うオークの言葉を遮ってスコルが口を開く。
「じゃあ、村に戻って相談するなりしてきてくれ。俺達はここで待ってるからよ」
「わかったよ」
という具合の話があった。
そのオークがどこかに駆けていって、しばらく待っていると戻ってきた。酒代を払ってくれれば戦は止めるという事で手を打つと言う。スコルはどこからともなく持ち出してきた金貨五十枚をオークに手渡す。これであっさりと戦は終り。ノーザの村の戦士達はぞろぞろと引き上げていく。戦場に残された僕達六人はしばらく無言だった。
「それじゃあ、俺達も戻るか」
ようやくスコルが口を開く。彼はみんなの顔を一瞥すると、タセンの村に向かって歩き始めた。僕達は互いに顔を見合わせると肩を竦めて、スコルの後を追いかけた。
村に戻ると入口に立っていた例の門番が戦の結果を尋ねてきた。なんとも勤勉なオークだ。スコルが戦は終りだと告げると族長の家に駆けていく。
「親父達に事の顛末を教えるのも面倒だな。まぁ、戦が終わったって事で良しとしてもらおうじゃないか。エリス、エルフの次元に移動してくれ」
「いいわよ」
スコルに声をかけられたエリスが意識を集中させる為に目を閉じる。僕はガラテア達に面と向かって文句の一つも言ってやりたい気分だけど、仕方ない。オークの次元に一人取り残されるなんて御免だ。エリスの次元移動の術を邪魔しないようにおとなしくしていよう。と思っている間にも周りの風景が溶けて、あっと言う間にエルフの次元のマーケットに移動していた。
マーケットは相変わらずにぎやかなところだ。僕達みたいな異種族の寄せ集めでもあまり気にならない。まぁ、目立つ事には変わりないけど、タセンの村程じゃない。
「適当なところで一杯飲んでいくか」
スコルはそう言って酒場の方へ歩いていく。戦を終えた記念って事だろう。みんな反対しなかった。
酒場に入ってお酒を注文。みんな席についてお酒が運ばれてくるのを待った。何とはなしにみんな無言だった。酒場の店員がお酒を運んできて、みんなの分が行き渡ると、
「乾杯!」
スコルの乾杯の合図で一同は一斉にお酒を呷った。今回ばかりは僕も一緒に飲んだ。
あっさりと終り




