闇の浸食
今回は茉莉達の視点です
撫子達が戦ってる間、ようやくカラスムギは目を覚ました
ここはどこだろう・・・?確か幻妖族に襲われて・・・
あ!皆は!?私は咄嗟に起き上がり周りを確認する
周りは何か戦ったような跡が一杯残っており
色んな所から黒い煙が一杯見える
まるで戦争でも起きたみたい・・・とにかく皆を探さないと
すると空から何かが私の前まで落ちてくる
かなりボロボロだ、一体何なんだろうと覗くと
なんと、茉莉ちゃんじゃないか
「茉莉ちゃん!!!どうしたの!?大丈夫!?」
「問題・・・・ありません・・・・」
茉莉ちゃんはまたすぐに立ち上がりゆっくりと歩み寄る
そんな体で動くこと自体あり得ないのに
一体誰と戦っているの?
「ようやくお目覚めか。魚人族の新たな王女よ」
紫色の長い髪、高校生のような学生服
右目に灯る紫色の炎、左目から走る紫色の稲妻
両手には大きな剣と鎌。もしかして・・・
「あの英雄・・・・蓮椿だとでも言うの?」
「ほう?下等な魚人族にも知られているとは、私も偉くなったものだ」
「どうして?なんで茉莉ちゃんを襲っているの!?茉莉ちゃん達はそもそも貴方を探すために!」
「探す?どうして?意味は分からないが、私は私のすきのようにやる。そして人外でこの世界を埋め尽くすための進歩の一つとして、君もその一人になってもらいたかったのだが・・・・こいつが邪魔をしてくるものでね」
もしかして、私が気を失ってる間
茉莉ちゃんはずっとこの人から私を守ってくれていたの?
なんて私は馬鹿なんだ!これじゃただの足手まといじゃない!
「茉莉ちゃん!もう大丈夫!隙を狙って逃げなきゃ、今の私達じゃ勝てない!」
「わかっています・・・ですがそんな隙・・・・」
「絶対に撫子ちゃんの元に帰らなきゃ・・・そしてあの人の目を覚ませなくちゃ!もう私は迷わないって決めたんだから!」
「貴様らに何が出来る?まあいい、そのような希望、この私が直々に葬ってやろう。漆黒 開闢」
蓮椿はそう言って片手から大きい球状の魔法を出すと
その魔法はゆっくりと近づいていき、その辺の煙や瓦礫を吸収していく
本来あの漆黒魔法を打ち消せるのは聖神魔法だけだ
それでも、私の魔力で相打ちには出来るはず!
私は頭についてる貝殻を出して
ソラシドの音色にのせて笛のように吹くと
大きなシャボン玉の中に大量の稲妻が走る
「吹っ飛んじゃえ〜〜!水龍 蒼玉!」
私が出したシャボン玉はゆっくりと蓮椿の魔法にぶつかり合い
私の魔法が少しずつ押されていくのが分かる
うぅ、やっぱり私の力だけじゃ
「私はもう撫子さんの元に戻れることは出来ないかもしれません・・・・でも他の仲間達を無事に帰すことが私の使命です・・・光焔 閃光!」
茉莉ちゃんは何かを呟いてから両手からエネルギー波を出す
なんか強そう!と思った私は見様見真似で同じ魔法を出す
二つの魔法は私の魔法を後押しする形で一気に漆黒魔法を弾き返し蓮椿にそのまま直撃する
しばらくして魔法が収まるとその場に蓮椿の姿はいなかった
「やった!追い払ったよ茉莉ちゃん!!」
「はあ・・・はあ・・・・えぇ、素晴らしい勇気でした。流石ですね」
「茉莉ちゃん?その左腕・・・・」
紫色に染まった左腕をつかみながら
足を引きずるように歩き出す茉莉ちゃん
「ちょ、ちょっと待ってよ茉莉ちゃん!そんなボロボロの状態で!」
「いいですかカラスムギさん。ここで起きたことは全て内密にし、私達は気絶してる間に襲われていたということにしておくんです。いいですね?」
「で、でも」
「いいから話を聞いて!!!!」
茉莉ちゃんの圧に押され私は思わず頷いてしまう
大丈夫・・・・なのかな・・・?
なんとか追い払ったカラスムギだが
茉莉の闇の浸食は思った以上に進んでいる?
一体彼女はどうなってしまうのか?




