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【書籍化】意味がわかると怖いお話・解説付き  作者: 絢郷水沙


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Twitter【解説】

 前回の話の解説です。

 TwitterなどのSNSでは、自分の意図しないところで自分の情報を不特定多数の人たちにばら撒いてしまっていたりいます。悪意や特殊な趣味を持って見ている人たちにとっては、格好の情報源なのです。


 さてでは一つ一つ見ていきましょう。

 まず投稿者の彼女――餅夏さんはある日、自宅アパートの玄関に豚肉が落ちていたことをTwitterで呟きました。しかし実はこれ、彼女の二つ隣の部屋に住む人間によって仕掛けられた罠だったのです。

 今どきの若い女性ならほぼ100%Twitterをやっていることでしょう。彼女に好意を持った犯人は彼女のTwitterのアカウントを特定しようと考えました。しかし直接彼女のアカウントを特定するのは難しいことです。それこそ匿名でやっている人がほとんどですし、一つ一つ精査していくのは困難を極めます。そこでまず犯人は怪しまれないように無難なアカウントを作成し、彼女に近い存在のアカウントを片っ端からフォローしていきました。ここでいう彼女に近い存在とは、例えば彼女の友人などがそうです。この話に登場する餅夏さんは大学生なのですが、例えば彼女の通う大学名やそこにあるサークル名で検索をかけます。そこに出てきたアカウントをフォローしている人などは、ある程度近しい存在と言えます。こういった彼女の身近な人物のフォロワーとなることで、彼女をフォローしている可能性が高い人をフォローしたことになります。


 さて次に、具体的に彼女のアカウントを見つける方法ですが、それは彼女の部屋の前に豚肉を落とすということです。これは別に豚肉じゃなくてもいいのですが、ようするに”これは彼女の呟きなんだなと犯人自身が特定できるような呟きを彼女にさせること”、これが重要だったのです。豚肉にしたのは意外性を狙うためです。もしこれがダイヤモンドの指輪だとしたら別に驚きはしてもツイートはしないでしょう。(豚肉ならされるという保証もありませんが)ともかく狙いは成功でした。さらにTwitterの特性上、こういった内容の呟きの方がバズりやすいのです。

 さて、この画像付きツイートは(架空のツイートですが)約2500のリツイートと一万を超える「いいね」をもらいました。そして犯人のタイムラインにもこのリツイートが流れてきました。当然犯人はそこで餅夏さんのアカウントをフォローしました。しかし犯人は用心深かった。彼女の自転車のサドルをブロッコリーに置き換えて餅夏さんの反応を見ました。そしてこれも彼女はTwitterで呟き、犯人はこのアカウントが彼女によるものだと確信したのです。

 さて、ここまでですでにかなりの恐怖なのですがいかがでしょう。もちろんこれは想像での話ですので、実際に私が試したとかいうものではありませんし、そうそう上手くいくとも思いません。ただ、全くあり得ない話とは言い難いですし、何より彼女自身に自覚がないことが怖いのです。


 ――では、別の呟きを見ていきましょう。

 さて、先ほども書いた通り、呟きの中には、本人の意図しない情報を発信していることが多々あります。

 例えば、

『毎週火曜日は近所のカフェで朝食セット。トーストがめっちゃ美味しいからおすすめ♡』

 という呟き。なんの変哲もない呟きですが、この呟きから“毎週火曜日の朝は出かけているんだな”ということが推測できます。

 さらに、

『今電車乗ってるんだけど、隣のオヤジの体臭がヤバイ臭すぎる。公害レベルで臭い。やっぱり女性専用車両は常時やるべき。』

 という呟きも“今現在留守にしている”という情報を与えてしまっています。加えて電車に乗っているという状況から、帰宅までにある程度の時間を要することが想像できてしまいます。

 そうすると、例えば泥棒や空き巣には好都合で、今回の犯人も彼女の部屋に侵入しようと考えていました。そうなるとこういった呟きがいい情報源となるのです。

 さてそこで犯人は彼女の部屋に侵入するために、とある方法を取りました。それは『蜂』です。

 ご近所ということで、ある程度彼女の生活パターンを知っていた犯人ですが、呟きにより判明した“彼女が家を空けるであろう時間”を見計らって、事前に彼女の部屋の中に蜂を送り込みました。ポストからなら蜂一匹を送り込むのはそう難しくないでしょう。またオスの蜂は毒針を持っておらず、刺されることはありません。そして蜂を見つけた彼女が取る行動は、ある程度予想できます。自ら駆除するか、あるいは窓を開けはなしておいて、勝手に逃げていくのを待つか。


『朝起きたら部屋ん中にでっかい蜂いたんだけど!!!! お前どっから入って来たんだよ。帰ってくるまでに出てってくれよ〜』


 この呟きからも分かる通り、おそらく彼女は後者を選んだのでしょう。そうするとベランダをうまく伝って彼女の部屋に行けば、中に侵入できてしまいます。猫などのペットを飼っていると戸締りの意識は高くなりますが、彼女は飼っていません。また暑い夏ですから、もとより開けっぱなしにしている可能性も充分に考えられるでしょう。今回の話でもそれは上手くいき、犯人は彼女の部屋に見事侵入できました。


 こうして匿名でやっていると思っている餅夏さんは、いろんなことを呟いていますが、そこには匿名だからこその呟きがあります。皆さんもリアルの自分なら言わないけれど、匿名だから言った言葉なんてものがありませんか? 例えばラジオのコーナーで恥ずかしい体験談を語った葉書を送った、とか、匿名の社内アンケートで愚痴を書いたとか、それこそTwitter上で呟いた、とかです。誰かの誹謗中傷などは特に注意が必要で、匿名だと思っていたものが当の本人のもとに届いていたとしたらどうでしょうか。


『この間隣の隣に越してきたオタク。今朝部屋出る時にいたから挨拶したら、めっちゃきょどっててキモかった。』


『ねぇ何なのあいつ。人の郵便受けの中勝手に覗いてたんだけど。キモ過ぎて吐き気する。今度やってたら通報する。』


 ――果たしてこれらを見た犯人はどのような行動を取ったのでしょうか?




 以上まとめ。

 今回の話はあくまでも筆者の想像による犯罪なので、これが上手くいくかはわかりませんし、そういう意図を持って近づいてくる人はほとんどいないでしょう。『そんなことありえねぇーだろ。怖くもなんともねぇーよ』というツッコミは思われたかもしれませんが、あくまで想像で、現実的ではないという指摘はもっともです。むしろそうであって欲しいです。ただ、そういう可能性もあるかもしれないと心の隅に置いてもらえれば幸いです。



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― 新着の感想 ―
[良い点]  うわあ、怖い。  Twitter要注意ですね。みだりに情報開示したら、ストーカーに狙われそうです。  最悪、望月那月さんのように殺されてしまうかも……?
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