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捜しモノ

 深夜に目が醒めるなんてことはどんな人でも一度はあるのではないだろうか? ましてやそのタイミングで電話なんてかかってきたら尚さらのことだ。かく言う僕も、今まさにその状況に置かれていて、電話の主は同級生であり親友の木村だった。当然のことながら僕は木村に何の用かと聞いた。


『ちょっと外に出てきてくれるか?』


 木村のその弱々しく掠れた声に僕は違和感を覚えた。電話では話せない内容なのか、理由を聞いても返事は無く、どうやら木村は僕の家の前にいるらしいので仕方なく僕は家の外に出ることにした。


 家の前にいた木村は『ついてきてくれ』と言うと、一人夜道を歩き出した。突然の事で言われるがままに僕は木村についていった。道中、木村に何処へ行くのか、これから何をするのか訊いてみた。しかし木村は、


『見つけて欲しいものがある』


 と言うのみで、何を見つけるのか、何処へ向かうのかは言わなかった。その普段の木村と違う異様な不気味さと夜の雰囲気に、僕はそれ以上何も聞けずにいた。


 数分歩き続け、少しずつだが僕は冷静さを取り戻した。そして、それに伴って違和感が呼び起こされた。頭の隅で何かが引っかかっていた。おかしい。言ってしまえばこの状況自体が既に不可解なのだが、そうではなく、木村が何処かへ向かい出してから、何かが引っかかっている。


 しばらく歩き続けると木村は森の中へと向う細い一本道に入っていった。途中、顔に蜘蛛の巣が引っかかたりしながらも、僕は木村の姿を追った。

「なあ木村。いつまで歩くんだよ」

『もう少し、あの崖の側だ』

 前を向いたまま、木村は答える。

 と、その時、不意に気づく違和感の正体。

「あ、そうか。───静かすぎるんだ」

 直後、木村は歩みを止めた。

『あそこだ』

 木村は指を差す。

 彼が向ける視線の先、そこには何と────()()()()()


【解説】

 ↓

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 ↓

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 ↓

 ↓

 ↓

 ↓

 木村は既に死んでいる。その死体を見つけてもらうために霊体となって語り手を連れ出した。

 語り手が気づいた事は、木村の足音がしなかったという事。細い一本道で木村が前を歩いているにもかかわらず、語り手の顔に蜘蛛の巣が引っかかるのは、彼が既にこの世の者ではなかったからだろう。そして最後に指差したのは自分の死体だった。

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― 新着の感想 ―
[一言]  殺されて、どこかに埋められているのかと思いました(笑) 「さがして」ではなく「みつけて」でしたね(汗)
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