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キノコ

(ゆう)ちゃんには、お兄ちゃんがいたんだよ。お風呂に入るのを嫌がったからキノコになっちゃったんだ」


 そう言って父はよく、幼かった私にアルバムを見せていた。アルバムのあるページからはキノコの写真が何枚か入っていた。

 今思えば、お風呂に入る事を嫌がっていた私を入れさせるためについていた嘘だったのだけれど、幼い頃の私はその事を本気にしていた。

「ねぇ、おにいちゃんは今どこにいるの?」あるとき父にそう聞くと、父は、「お庭だよ」と答えていた。

 当時の私はその事が怖くて怖くてたまらなかった。何故あんなにも信じていたのか、今となってはよく思い出せない。

 私は久しぶりにアルバムを開いて、その訳を知った。


【解説】

 実は本当に兄はいた。「アルバムの()()ページからはキノコの写真が入っていた」とあるが、その前のページまでには人間の姿の兄が写った写真が入っていた。だから彼女は本当にキノコになるのだと信じてしまっていた。兄が庭にいるとは「キノコ」としてではなく「死体」が埋まっているのではないか? 或いは、死体を埋めた所から生えたキノコを「兄の生まれ変わり」としたのかもしれない。その兄は風呂に入らなかったことで殺されたのだろうか。

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― 新着の感想 ―
[一言]  律儀に、キノコの写真を撮り続けていたことに。  冷静に考えると、クスッとしてしまいました。
[良い点] 写真に殺した我が子を残し、普通に娘を諭す猟奇的な方向に振り切った父親が良い感じに逝っている。 [一言] この手の話はヒロインが大事にしていたお兄ちゃん人形(洗濯しなかったので汚くなって茸が…
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