桜の花びら
桜の木から歌声が聞こえてくる。
綺麗な透き通る声。
気の周りを回っても誰もいない。
「誰かいるの?」
上から声がした。
上を見上げる。
あ。白のレース。
彼女は名前をサクラといった。
桜の木のサクラ。
妖精みたいだ。
「小さい頃からあそこによくいるの」
サクラにとってあの桜は秘密基地のようなものらしい。
サクラは体についているごみをはたいた。
桜の花びらが数枚落ちる。
おかしい。
もう季節は夏。なんで枯れてない花びらがついているのだろう。
「来年ね、私死ぬの。」
どう見てもまだまだ若い。
病気してるようにも見えない。
「だからその花びらは君が持っていて」
目の前でさくらは消えた。
その翌年、桜の木は切られた。