第二次攻撃の要あり
午前6:30友永飛龍飛行隊長より入電
「ト連送」
ミッドウェー島は二つの小島から成っていてイースタン島には飛行場及び格納庫、サンド島には戦闘司令所、水上飛行艇基地がありどちらも日本側の予想を大きく上回る対空火器で守られていた。
特に戦闘司令部のあるサンド島の対空陣地は強力でその濃密な対空射撃は真珠湾攻撃時以上だったと両攻撃に参加した古参搭乗員は回想している。
この時米軍は日本軍の攻撃を予想し同島の防御工事を強化し対空火器を増設、航空兵力も増強され士気も上がり真珠湾、ウエーキ島の様には行かないことを日本軍に教えてやると守備隊将兵達は息巻いていた。
米軍は予め日本軍の攻撃を察知しており島内の航空機は敵機動部隊の攻撃若しくは迎撃、
上空退避を行い在地機は整備中などで飛行不可能なごく少数機であった。
目標上空に到達した攻撃隊は激しい対空砲火のなか予め決められている目標に向け攻撃を開始した。
艦上攻撃隊は800キロ陸用爆弾と徹甲弾を高度3400mからの水平爆撃で急降下爆撃隊は250キロ爆弾を次々と投弾し始めた。
対空火器陣地や格納庫、燃料タンクは相次ぐ命中弾で爆破炎上した。また零式戦闘機隊も赤城の制空隊以外は両島の地上の在地機及び陣地などを手あたり次第に機銃掃射を行った。
なかでも水平爆撃隊が使用した1938年に制式化され炸薬に九八式爆薬、下瀬火薬、九一式爆薬を使用し鉄筋コンクリート400mmを貫通可能な800キロ大型陸用爆弾の威力は凄まじく命中箇所は建物であれ堅固な陣地であれ跡形もなく吹き飛ばされ後には信じられない様な大きな穴が開いていた。
地上の守備隊将兵は機動部隊艦載機による精密爆撃の惨状を目のあたりにして
茫然自失に空を見上げる者や半狂乱になる者が続出した。
ミッドウェー島守備隊は自分たちが容易ならざる相手と戦争をしていることをあらためて思い知らされた。
一方日本軍も予想以上の対空砲火により撃墜・損傷機が相次ぎ爆撃成果についても島内の至る所にまだ相当数の陣地が健在であり、何よりイースタン島の飛行場の破壊が中途半端で小型機であれば爆弾孔を避けて離着陸が可能だとして爆撃効果不十分と判定していた。
午前7:00友永飛龍飛行隊長より入電
「宛 機動部隊指揮官 本文 第二次攻撃の要あり」
この報告を聞いた一航艦司令部はミッドウェー島への攻撃が強襲になった事をある程度想定していた為、
特に驚きは感じなった。
問題は敵機動部隊の存在の有無であり、いないのであれば兵装転換を行い朝の予令どうり第二次攻撃は第四編成(陸上攻撃兵装)を以って早期にミッドウェー島を無力化したいところであった。
しかしいまだ索敵機からの報告電や緊急電は受信されておらず、そもそも索敵機が発進してまだ二時間から二時間半で各機最大進出線までも達しておらず最大進出線到達後さらに扇形になる様横に変針して30浬索敵し帰路に就く為発進後三時間半程度は結果を待つ必要があった。
一航艦司令部では源田航空参謀があと一時間もすれば第一次攻撃隊が帰還してくるなか第二次攻撃隊を敵機動部隊に備えるのかミッドウェー島に向かわせるのか頭を悩ませていた。
また朝から敵哨戒機に接触されているにも関わらず敵の襲来がないことも不気味であったが現状では新しい情報が入るのを待つしかなかった。
もしもここで友永隊長からもう少しミッドウェー島攻撃の状況が入ってくれば展開は変わっていたかも知れない。
今回の作戦目的は飛行場さえ無力化出来れば後は時間を掛けて攻略していけば良いのだが第二次攻撃の要ありだけでは内容がつかめない、せめて二次攻撃目標の指示や迎撃戦闘機の有無等の報告があれば一航戦と二航戦で役割分担するとか艦艇攻撃用の艦上爆撃機隊をミッドウェー島用に艦上攻撃隊は雷撃仕様で艦艇攻撃用にと振り分けることが可能だったかもしれない。
次回は一航艦です。