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第一次攻撃隊発艦せよ

昭和十七年六月四日 ミッドウェー近海での日米両軍による激しい海戦の記録。

太平洋戦争の作戦時に残された電文記録等から読み解く真実の戦闘記録。

今回は太平洋戦争の転換点となったといわれるミッドウェー海戦での第一航空艦隊の戦闘記録を読み解いていく。


参加兵力

第一航空艦隊(一航艦)

       第一航空戦隊(一航戦) 赤城 加賀 

       第二航空戦隊(二航戦) 飛龍 蒼龍 

       第八戦隊 利根 筑摩 

       第三戦隊第二小隊 霧島 榛名 

       第十戦隊 長良

       第四駆逐隊(嵐 野分 萩風 舞風)

       第十駆逐隊(風雲 夕雲 巻雲 秋雲)

       第十七駆逐隊(磯風 浦風 浜風 谷風)


     飛行機 三〇六機(零式艦上戦闘機八四機 九七式艦上攻撃機九三機 九九式艦上爆撃機八四機 六空戦闘機隊二七機 新型二式艦上偵察機二機 水上偵察機十五機)


6月4日

午前4:30 第一航空艦隊司令部より発光信号

「第一次攻撃隊発進せよ」

  飛行機 一〇八機(艦戦闘機三六機 艦攻撃機三六機 艦爆撃機三六機)は

総指揮官友永「飛龍」飛行隊長に率いられてミッドウェー島への進撃を開始した。


 彼らは当時世界最高の技量と攻撃力を持つ機動部隊であり真珠湾攻撃以来常に勝利の立役者であった。

 そして今日も勝利は約束されており、この中の何人かは鬼籍に入ることになるだろうがそれは自分以外の誰かだと漠然と考えていた。

続いて「索敵隊発進せよ」「対潜哨戒発進せよ」の命令が下る。

索敵は7線7機23度間隔で計画され最大進出距離は300浬で最大線間は約120浬である。

午前4:30、ミッドウェー攻撃隊と共に赤城と加賀、榛名の索敵機は予定通り発進した。

筑摩も1号機が午前4:35、4号機が午前4:38に発進している。

しかし利根では1号機が午前4:42に発進したものの4号機は同時に発進作業を行っていた対潜哨戒機の発進にアクシデントが発生し索敵4号機の発進が午前5:00まで遅れてしまった。

巡航速度120ノットである索敵機の発進が30分遅れる事は索敵範囲が60浬減少することになる。

対潜哨戒計画は1直が午前4:30(利根、筑摩)、2直が午前7:30(榛名、霧島)、3直が午前10:30(利根、筑摩)、4直が午後1:30(榛名、霧島)、5直が午後4:30(筑摩、霧島)であった。


 太平洋戦争開戦から半年が過ぎ、非日常の対米英戦争が日常となりつつある中、有形無形の形で日本海軍にはおごりと気の緩みが蔓延し始めていた。

 その予兆は至る所でみられ多くの者が一瞬危機感不安感を抱いたが、勝戦に慣れてしまった組織では前線の有能な指揮官であってもその浮ついた雰囲気を完全に払拭することは難しかった。

ましてや前線を遠く離れた内地ではその傾向は更に強く

年内には日本の勝利で戦争は終わると思っている人々も少なくなかった。


午前5:40 第一航空艦隊司令部より発光信号

「本日敵機動部隊出撃の算なし 敵情特に変化なければ第二次攻撃は第四編成を以って本日実施の予定」

※第四編成→陸上基地攻撃用兵装のこと 

※連合艦隊司令部より第二次攻撃隊は艦艇用にて待機指示が事前にありこの時点では艦艇攻撃兵装を準備


ミッドウェー島への攻撃隊発艦後、一航艦司令部は何の確証もない希望的観測を起草し幹部で承認後各戦隊に伝達している。これにより各部隊は敵空母はやはり出てこなかったと演習気分で作戦にのぞむことになる。

特に各戦隊指揮官クラスはこの司令部情報により張りつめていた緊張感が一気に弛んだと振り返っている。

しかし実際には前日ミッドウェー海域にて敵空母の活動を示す無線電波を味方潜水艦が受信し連合艦隊司令部含め周知の事実としているが、最前線の一航艦司令部ではこの敵情を受信し損ねている。

まさに「臭い物には蓋をしろ」見たい物聞きたい事しか見ない聞かないでは結果は始めから出ていた様なものである。

敵空母進出については最大の関心時であり誰もがその可能性を検討すべきだと感じているのに、目の前の不確かな情報(願望)が独り歩きし誰もが望まない奇妙な状態に陥っていた。もはやこううなってしまうと、仮に敵空母出撃の可能性について議論を 再提起したとしても前述した敵空母はいないという情報を既に発信しており、いることを証明できないからいないという結論に至ったであろう。


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