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予告 始まりがなければ終わりもない
「どうして……誰も殺してなかったのに……なんで」
よごれた夜色の街。
「信用できない。殺していたかもしれないし、これから殺すかもしれない」
少女は電車の鉄塔の上を楽しげにスキップする。
「君は可能性の話で罪の無い人間を斬れるんだね」
道路の真ん中で頭を抱えて震えるのは少年。
「能力者は生きていること自体が罪だから」
影を放つ化け物は空へと叫ぶ。
「ははっ、じゃあ、あきらめるよ」
もう。
「そんなこと言わないでくださいよ……さびしくなっちゃいます」
刀を抜かないといけない。
「お前がやっていることは復讐じゃないな。ただの八つ当たりだ」
それでも。
「いつか砂浜で抱き締めてくれたとき、本当にうれしかったんですよ」
足元に、くしゃくしゃのラブレター。
「能力者を全員殺したら……そしたら……そのときは」
あなたのことが。
「そういえば、まだ聞いてませんでしたけど……早瀬さんは私のこと好きですか?」
大好きでした。