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さぁ、ステキなご臨終の話をしよう  作者: カジセイ
第七章 天罰覿面ってヤツよね

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4.ただいま、の話

「じゃぁ、やっぱり気持ちは変わらないってこと?」


「うん。少なくとも距離は置いたほうがいいと思ってる。今のわたし達じゃ、うまくいかないよ。一度離れて独りになって、ゆっくり考えたいの」


「考えて、いい方向へ答え出るかな?」


「それはわからないけど、独りにならなきゃできないこともあると思う。とにかく色々あり過ぎて疲れちゃった。少し頭の中を整理したいの」


「じゃぁ……お別れ、ですかね」


「……そう……なるかな」



 ちょちょちょ、ちょっと!

 めっちゃ別れ話してるじゃない。



《あんた達! 何バカなこと言ってんの。別れちゃダメよ》


「ぎぇぁ……ッ!? ヤナギさんッ!!?」


 タダクニと千明は同時に奇声のような声を上げた。


 そりゃ当然こういう反応になる。



「なんで? なんで戻ってきたのさ?」


「成仏したんじゃなかったの?」


《ふふふ。ただいま~、お二人さん》



 とりあえず手を振ってみた。

 もう千明ちゃんにもぼくが見えてるみたいね。



「ムリムリムリムリムリ! もうムリよ。これ以上、わたし、何もできないわよ」


「成仏できなかったのか?」


《ううん、成仏はできたんだけどね》


「じゃ、なんで戻ってくんだよ。大人しく天国行っとけよ」


《なに、その言い方。誰のために戻ってきたと思ってるのよ。感謝されてもいいくらいなのに》


「どういうことだよ?」


「ていうか、タダクニ。なんか、一人増えてない?」


《あぁ、この人ね。紹介するほどでもないんだけどね。ギャラリーみたいなものよ。ぼくのやること見届けたら、満足して帰る予定なんだけど》


「だから何しに来たんだよ」


《あ、その前に今何時?》



 枕元の目覚まし時計は、夜の八時二十分を指している。


 こっから一時間ね。



 よーい、スタート。



《面倒なことが起きてるのよ》


「何だよ、面倒って。やっぱり天国へ行けなかったのかよ」


《ううん、違う。ぼくは大丈夫。成仏できたから天国へちゃんと行ける。問題はあなた達二人よ。ちょっと困ったことになったわよ》


「困ったことって何だよ。ハッキリ言え……」


 タダクニが途中で言葉を切った。

 その視線はバンダナ男に向けられている。



「その人、どっかで見たこと……」


 それまで大人しくしていたバンダナ男だったが、タダクニへ不敵に笑みを返した。



「あっ! あの時の……?」


《そう。あの時の通り魔よ。そしてストーカーでもあるわ》


「ストーカー?」


《そう。ホントにいたのよ。千明ちゃんのストーカー》



 タダクニの表情がみるみるうちにこわばっていく。

 説明しなくても理解したみたいね。



「……んなことあるかよ。せっかくヤナギさんを成仏させたってのに……」


「どういうこと?」


 うろたえるタダクニを見て、千明が説明を求めた。


「こいつは千明のストーカーだ。なんで死んだのかは知らないけど、今度はこいつがオレ達を地獄へ落とす契約をしたってことだろ」


《さすがタダクニくん。飲み込みが早いわね。でも今のは半分正解。残りの半分は不正解。地獄に落ちるのはタダクニくん、あなただけよ》


「オレだ……け?」


「えっ?」


 千明ちゃんからも小さな声が漏れた。

 頬が一瞬緩んだように見えたのは気のせいかしら。


《千明ちゃんも喜んでられないわよ。千明ちゃんが天国行っても、このストーカーが付いてくるのよ》


「付いてくるってどういうこと?」


《そのままよ。タダクニくんのいない天国で、千明ちゃんに付きまとうのよ》



 今度は千明の表情がみるみる戦慄をおびていく。

 千明ちゃんも状況を理解したみたいね。



「イヤよ、気持ち悪い」


《だからぼくが戻ってきたんじゃない》


「どうしたらいいんだよ」


《少なくとも二人は仲直りしなさいよ。二人が別れちゃったら、このストーカーの思うつぼじゃない。なのに、なに、別れ話してんのよ》


「別れなければいいの?」


「わ、わかった。オレ達別れない。仲直りしたぞ! なあ、千明」


「え、ええ。別れるなんて、じ、冗談に決まってるじゃない」


「末永く二人で幸せになるぞ!」


「なりましょう!」


「これからもよろしくな」


「こちらこそよろしくね」


「オレは家庭を持ったら、野球チームが作れるくらいの大家族が、い、いいなぁ」


「そ、それは賑やかで楽しそうねえ」



 何をやってんの、この二人は……。

 それで取り繕ってるつもり?

 二人揃ってムカつくくらい大根役者じゃない。



《あんた達、バカにしてんの? 感情が全く入ってない、明らかに口だけじゃない。歯が浮くどころか、飛んでっちゃうわよ。デビュー初日のキャバ嬢だって、もう少しマシな演技するってものよ。もっとマジメにやりなさいよ》


「マジメにってなによ。じゃ、どうすればいいのよ」


《二人の運命が懸かってるのよ。ちゃんと仲直りしなさいよ。ていうか、まあいいわ。時間無いから、本題に行くわよ》


「本題?」


《そう、本題。このバンダナ君はね、取り調べで暴行を受けてたのよ》

 ぼくはバンダナ男の顛末について、掻い摘んで説明した。

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