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さぁ、ステキなご臨終の話をしよう  作者: カジセイ
第五章 八月十日

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4.午後1時13分(徳之進)

 イカルミとの会話中に千春が割り込んできた。

 前もそうだったがこいつ等の無神経な態度にはホント、イラッとさせられる。


「念のため訊くんですが、今も月島カレンはここにいるんですね?」

「いますよ、そこに。言ってんじゃないスか」

 キッチンのほうに視線を向ける。

 カレンが困惑した表情で立っている。こんな急展開、誰だって困惑する。


「彼女に先月二十日の夜、どこにいたのか訊いてもらえますか」

《だからやってないって言ってるじゃない》

「やってないって言ってますよ」

「みんな言うんですよ、とりあえずやってないって。だから我々が調べて裏を取るんです。先月の二十日、どこで何してたか訊いてください」


 やれやれ。

 何を言っても無駄そうだ。思わずため息が漏れる。

 カレンも憮然としている。

 犯人扱いされているのだ。そりゃそういう顔にもなるわな。


「先月二十日の夜。何してたって訊いてるけど?」

《はぁ……。覚えてるわけないでしょ、そんなの。手帳もないスマホもない、何も無いのよ? わかるわけないじゃない。逆に訊きたいわ。あんた達は先月二十日に何してたか答えられるわけ?》

「覚えてないって言ってます。逆に自分達は何してたのか答えられるのかって訊いてますけど?」

「ウチ等のことは関係ないんです。何とか思い出せないですかね。些細なことでもいいんですが」

《しつこいわね。テレビのようにはいかないわよ。そんなの覚えるほうがよっぽど怪しいじゃない。それこそ私が犯人ですって白状してるようなものじゃない。ったく。家でハイチュー食べてた、とでも言っといてよ》

「食べてたの?」

《冗談よ》

「じゃぁ、言わねえよ」

「何て言ってるんですか?」

「え? ……いや、何でもないスよ」

「何か言ってるんですよね? そのまま伝えてください」

 千春が食らいついてくる。

「だから、関係ないんですよ」

「それを決めるのは我々です! あなたは伝えるだけでいい」

「聞くだけムダですよ」

「いいから! 彼女は、月島カレンは二十日の夜、何してたと言ってるんだ!!?」

「……ハイチュー」

「はい?」


「ハイチューを食べてたと言ってます!」


「……んなこと訊いてんじゃねえんだよ! ヌァメてんのか!!?」

 金髪のデカい声にイカルミと一緒にいる女性が縮こまる。

《いちいち大きい声出すんじゃないわよ。こういう人、大っ嫌い。僕はバカですって言いふらしてるみたい》

「ケージ。静かにしろ。夏目さん、他には何か言ってませんか?」

「刑事さん達の悪口は言ってますよ」

「そういうのはいいです」

《ったく。ホント腹立つ。そもそもタツヤのことは調べたの? アイツが一番怪しいじゃない》

「タツヤのことは調べたのかって言ってますよ」

「タツヤ? 聞いたことない名前だ」

《そんなこともわからずに捜査してるの? だから日本の警察は無能だって言われるのよ? 元締めよ、元締め》

「元締めだそうです」

「元締め? フルネームは?」

《知らない。どうせタツヤも偽名でしょ》

「知らないそうです。タツヤって名前も偽名じゃないかって」

「そのタツヤにはどこに行けば会えるか、わかるか?」

《それも知らないわ。一度しか会った事ないし。連絡だっていつも向こうからしかこなかった。それにやり取りは基本、ケイコの役目》

「ケイコって?」

《殺された子よ。こないだの写真の子。私達は彼の指示を受けて動いていたに過ぎないわ》

 なんでそんな怪しい事に手を出したんだよ。

 葵の手紙を思い出すと、そのギャップに同じ人物とはとても思えない。

 オレはカレンの言葉をそのまま刑事に伝えていった。

「ちなみに一度会ったのはどこで?」

《横浜。野毛の……『この街』って名前の古い喫茶店よ》

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