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さぁ、ステキなご臨終の話をしよう  作者: カジセイ
第四章 カレンさん②

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7.葵との思い出、の話(前半)

 いつになく暗い表情で俯いている。隣にいるカレンが、である。

 オレ達は秋田へ向かう新幹線に乗っていた。


 昨日、事務所に戻りモノマネパブの愚痴を散々ぶつけられた後、残りの親友との話を聞き出した。

 やはり他のリストとは毛色が違うらしく、その話になると彼女の声色は一気にトーンダウンした。

 昨夜の会話を思い返す。



《葵とはモデル仲間だったの。同じ時期にデビューしたのもあって仲良くなって。でも一番は、育った環境が似ていたってのが大きかったんだと思う》

 カレンが少し間を空けてから続ける。

《葵も私も片親なのね。母子家庭。葵は中学生の時に父親の不倫が原因で両親が離婚したって言ってた。当時はかなりのショックで、事実を受け流せるようになるまでに時間がかかったって話してくれた。で、うちの場合は父親が小さい時に事故で死んじゃったの。というのは表向きの理由。ホントは未婚の母子家庭なのよ。うちの母親って若い頃お水やってたみたいで、その時の愛人か不倫相手との間にできたのが私ってわけ。ベタな昼ドラみたいな話でしょ?》

 カレンがおどけた表情を見せるが、逆に痛々しくて笑えない。


《引かれちゃうかもだけど……そう言う私も不倫してたのよね。しかも一度じゃなくて何度も》

 後ろ髪を掻きながら、今度はバツの悪そうな顔をする。


 別に引いたりしない。血は争えないってことだろ。

 それに、そういう人がいるのはテレビや雑誌からの情報で知っている。

 そういう人というのは、既婚者にばかり魅かれてしまう人。

 相手の男性からは「家庭はもう冷えきってる」「妻とは離婚の話が進んでいる」と言われて、それを鵜呑みにしている。

 かと思えば、ゴールデン・ウィークやクリスマス、年末年始などのイベント事は家庭を優先されてしまう。

 それでも最終的には家庭を捨てて自分のところにやってくると信じ込んでいる女性。

 そして、フラれ方は実にシンプル。

 子供ができたり、「いつになったら奥さんと別れてくれるの?」と迫ってしまったり、男性側が面倒臭く感じたらあっさりフラれてしまう。

 そしてまた別の家庭のある人にハマっていく。

 そういう負のループから抜け出せない人種。

 テレビでは幼い頃のトラウマが原因だとか、育った家庭環境が影響していることが多いと紹介されていた。


 カレンも母子家庭で特殊な環境で育ったんだろう。

 それが原因であるいはイジメを受けたこともあったかもしれない。

 小学生ぐらいなら、どうでもいいことがキッカケで仲間外れになったりもする。


 きっとカレンにも言いたくない過去があるのだろう。

 彼女の心中を慮るとオレは同情すら覚えた。


《毎回、相手の家庭を壊したわ。幸せそうな父親気取ってる人を見ると、つい試したくなっちゃって。その愛ってホンモノなの? って。でもたいていコロッと浮気に走るのよ。結局みんな〝良い父親、優しい夫、理想の家庭〟という幻想に酔いたいだけ。そんな幻想は、目の前に美味しそうな餌がチラつけばあっさりと崩れるの。気がついた時には修正が効かないほど家庭がバラバラになっていて焦る様子を見るとケッサクで。ついつい何件も家庭を壊しちゃったわ》


 訂正する。

 クソヤローだ、コイツは。


 一瞬でも同情しようとしたオレを殴りたい。

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