4.お墓参りにいく、の話(前半)
結局、オレはカレンを許すことができなかった。
そもそも閻魔大王の話もホントかどうかわからんし。
彼女は詐欺師なんだ。いざとなったらうまい話の一つや二つポンポン出してくるのはお手のもののはずだ。
それより何より、結婚詐欺師だったことを黙っていたのが許せなかった。
誰かに必要とされている気分に酔いしれていた自分を思い出すと、恥ずかしくて顔が赤くなる。
人生捨てたもんじゃねえかもな、なんて思い始めちゃって、まったくめでてえ。
やっぱりオレの人生なんてこんなもんだ。
カレンの成仏を真剣に手伝ったり、一緒に笑ったり。
全てが彼女の掌の上だったと思うと、情けなくなってくる。
カレンを追い出した今、もはやペット探しを続ける意味も、覇気もなくなっていた。
請け負った依頼だけは一応こなすか、とダラダラと対応しているだけだった。
ただ全然見つからない。
カレンがいないのだ。そう簡単に見つかるわけがない。
その代わりと言っては何だが、幽霊が見えるようになった。
カレンと関わったせいで、霊感が戻ってしまったみたいだ。
ったく。あの時、素直に死ねていれば良かったのに。
カレンのせいで、要らぬ依頼は増えるし、見たくもない幽霊は目に入ってくるし……ロクなことが無い。
じゃぁもう一回自殺を図るか、今度は睡眠薬の量を増やして、とも考えるが、カレンの言っていた地獄行きの話が引っ掛かって、それも気持ち悪い。
――いったん全て忘れたい。
そう思ったオレは、ペット探しで得たお金を一気にキャバクラに使ってみたが、一向に気分は晴れなかった。むしろ虚しさが余計に募るだけだった。
完全に行き詰ったオレは、気分転換も兼ねて、ケンちゃんのお墓参りのため地元名古屋へ足を延ばすことにした。
ケンちゃんのことは、一度思い出してから何度か顔がチラつき、ずっと気になっていたのだ。
名古屋駅までは新幹線、そこから在来線に乗り換えて二十分程度。
更にそこからバスに揺られること三十分。やっと最寄りのバス停に着いた。
バス停には懐かしい見慣れた地縛霊がベンチに座っていた。
――まだいたんだ。
目が合ったような気がしたが無視してバス停をあとにした。
カレンもどこかであんな風になっているのかもしれない。
成仏の目処もなく、動けず、何の当てもなくただただ時間だけを過ごしている。
地獄に落ちなかったとしても、これもまた地獄のようなもんだな。
少しだけ胸が傷む。
が、知ったことか。自業自得じゃねえか。
お墓参りを終え、バス停に戻ると、
《ずいぶんと懐かしい顔だな》
突然、声をかけられた。




