3.マイナス500ですと?、の話
《徳之進が中学生の時、あなたの地獄行きが決まったらしいの》
「オレの地獄行きが決まった? 何言ってんだ? 全然意味わかんねえんだけど」
《閻魔様くらい知ってるでしょ?》
「閻魔大王?」
もちろん知ってる。
子供の頃、地獄の絵本で読んだことがある。
たしか、天国行きか地獄行きか、生前の行いが書かれた閻魔帳を基に決める裁判官、とかそんな感じだ。
でも逆に言うと、それ以上は何も知らない。
ホントにいるのかどうか、信じないわけではなかったが、まともに考えたことすらない。
《その閻魔大王から、聞いたのよ。徳之進が中学生の時、自分の天国行きと引替えに、あなたの地獄行きを契約した人がいたんですって》
何だそれ?
そんなバカみたいな話、信じられるか。
中学の時? 契約って何だよ?
そもそも誰がそんな取引きすんだよ。
中学時代の葬式を思い出してみる。名前も知らない親戚のじいさん、それから……一家心中したケンちゃんだけだ。ケンちゃんが? まさか。んなわけない。
オレは頭を横に振って、脳裏に浮かぶケンちゃんの面影を消した。
《だから地獄行きを取り消すためには、私を成仏させるしかないのよ》
「なんでそうなるんだよ!? 全然繋がらねえじゃねぇか」
《ったく、わかんない人ね》
「今のでわかるヤツがいたら、紹介して欲しいわ」
《いい? ちゃんと聞きなさいよ。『人生は修業の場』みたいな話、聞いたことない? その修行の場で得を積んでいるのよ。得=ポイントと考えるとイメージしやすいわね。たとえば100ポイントあれば、死んだ後、天国へ行く。逆に30ポイントしか無ければ地獄に落ちる。大枠はそんな仕組みらしいのよ》
「じゃ、オレは地獄に落ちるって言うなら、30ポイントしか無いってわけか?」
《何言ってんのよ? 30も無いわよ。マイナスよ、マイナス。マイナス500!!》
「なんでだよ!!? もうどうあがいたって天国行くのムリじゃねえか!」
《徳之進の地獄行きを契約した人がいるって言ったでしょ。その人のポイントを徳之進が引き継いでるのよ》
「だから誰だよ、それ!!?」
《たしか『ナガタ』とか言ってたわよ。生前、よっぽど恨み買ってたんじゃない?》
ナガタ?
永田?
長田?
記憶を辿るがまったく思い出せない。
誰だよ、そいつ!!?
100で天国行けるのに、何したらマイナス500になるんだよ。
連続猟奇殺人でもしたのかよ、そいつ?
てか、そんな知り合いいねえし!
《まぁ、誰でもいいわ。そこで、私の出番。私を成仏させれば600ポイント一気に稼げるってわけ》
お前、はぐれメタルかよ!? なんだその反則的な高ポイントは。
「どうしてカレンはそんなにポイント持ってんだよ? 結婚詐欺師のくせに」
《そんなこと知らないわよ》
「普通、気になんねえか?」
《まったく気にならないわ。それよりごちゃごちゃ言って、ポイント減らされたりしたら困るし。ラッキーってそのまま流すわ。それがあの世のルールだって言うんなら、そうなんだって受け入れるわ》
オレはそんなに受け入れ体勢、柔軟じゃねえぞ。
色々、納得できないことが多すぎる。
ですよね。作者もさすがにマイナス500はやりすぎたかってちょっと反省。
一部の徳之進ファンに「何考えてんだ、バカ作者! 可哀想でしょ!? お前こそ連続猟奇殺人の犯人なんじゃねえだろうな」と大炎上されても嫌だし。
というわけで、ここは読者の皆さんに100もらっていただいて、徳之進は実質400ってことにしときますか。
ま、焼け石に目薬一滴くらいにしかなってないけど。
それでもちょっとはね、違うでしょ。だから炎上するのはやめてください。
ま、悲しいことに、徳之進に400に減ったよ~と伝えることはできないんだけど。
ごめん、ちょっと脱線した。カレンにバトンを戻します。
《とにかく! 信じるも信じないも徳之進次第だけど、このままじゃ、どの道地獄へ落ちるのよ》
マジで言ってんのか、こいつ。
どこまで話、信じりゃいい。
プラスとかマイナスとか。
そんな算数みたいな事で、天国か地獄って決まんのか?
混乱しているところへ、更にカレンが詰め寄ってくる。
《さあ、どうするの? 徳之進?》




