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さぁ、ステキなご臨終の話をしよう  作者: カジセイ
第二章 カレンさん①

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5.探偵としてのプライド、の話(後半)

《探偵なんて言うから、もっと派手なの期待してたのに、なんか地味ね》


 次の日。

 百川さんの情報をもとに、『クマちゃん』の消えた周辺を探し回るオレを見て、カレンがツマらなそうに口を尖らせた。


 ちなみに徳之進の昨夜の嫌な気分は、今朝、カレンの顔を見た瞬間に吹き飛んだ。

 徳之進が文句を言ったように美人の笑顔というのが無条件に徳なのか、それとも男という生き物が呆れるほど単純なだけなのか……。


「ペット探し、派手にやってどうすんだよ? 逃げちゃうだろ」

《じゃなくて、謎解きとかしないの?》

「猫なんて好き勝手にどっか行っちゃうだけだろ。どこに謎があるんだよ」

《そうじゃなくて、事件に巻き込まれて謎を解いたり、秘密結社の謎を知って追いかけられたり……。とにかく探偵と言えば『謎と推理とスリリング』がワンセットでしょ》

「テレビの見過ぎ。そんなもんあるわけねえだろ。だいたいどこに秘密結社なんてあんだよ。それに事件に巻き込まれて謎解いたって一銭にもなりゃしないし」

《そういうの一回も無いの?》

「ねえよ」

《ツマんな~い!》

「探偵なんてのはな、ペット探しと浮気調査がメインなんだよ。それにペット探しはけっこういいことあんだよ。ほら! 五百円見つけた」

 徳之助が草むらから得意げに五百円玉を拾い上げた。


《こっちにはいないと思うけど》

「素人は黙ってろって。こっちは一応プロなんだから。猫には猫の行動パターンてものがあってな、まずはそれを辿るのが……」

《いるとしたら、あっちじゃない?》

 カレンが公園の噴水のほうを指さす。

「あんな見晴らしの良いとこにいたら苦労しないっての。だいたい猫は水が嫌いなんだ。噴水なんて――」

 呆れ顔の徳之進の目に、噴水脇のベンチの影から顔を出すペルシャ猫が飛び込んできた。


 ――クマちゃんだ!


 今まで何回も捕まえてきたのだ。写真と見比べなくたってわかる。

 おいおい、うそだろ!?

《あれって、もしかして?》

「そう、クマちゃんだ」

 オレは用意してあった、猫じゃらしとキャットフードを取り出した。


《待って。私に任せて》

 そう言うとカレンは《チョッチョッチョッチョッ……》と唇を鳴らし始めた。


 何やってんだ、こいつ。そんなんで寄ってきたら、誰も探偵に頼まな――。

 ペルシャ猫がカレンに向かって走ってきた。


 トップ・ブリーダーかよ!!?


 クマちゃんは尻尾をピンと立ててカレンの真下をグルグル回っている。

 カレンに足があったら、足元をスリスリしているような感じだろうか。

 二十万があっさりと見つかった。


「猫飼ってたのか?」

《全然。ペット飼ったことない》

「チョッチョッチョッ……て、めっちゃ慣れてる感じだったけど?」

《なんかできそうな気がしたんだよね》

 得意気に口の端を上げてドヤ顔を向けてくる。

「メチャクチャ懐いてるし。走って寄ってくるなんてあり得なくね?」

《知らないわよ。そんなこと。この子、美人が好きなんじゃないの? オスなんでしょ? ねぇ、クマピー?》

 カレンが覗き込むと「ニャ~」、クマちゃんが嬉しそうに鳴いて応える。

 なんとも腑に落ちないが、とりあえず見つかったのだから良しとしよう。


 その帰り道。

 またちょっとした出来事が起こった。


 リードの外れたフレンチブルドッグがカレンに駆け寄ってきたのだ。

 どっかで見たような気がして手帳を見返すと、二か月前に捜索依頼を受けたが見つけることができず、そのまま保留となっていた迷い犬だった。

 たしかこいつの成功報酬は十万だ。


《やだ、何この子? 超ブサイクでカワイくない?》

 フレンチブルドッグが尻尾を振って、カレンの周りでゴロゴロしている。


 こいつ、ペット探しの天才だ。


 いや、探さなくたってペットのほうから寄ってくるじゃねぇか。

 彼女の放つ霊力にペットを引き寄せる何かがあったりして。

 なつく犬を相手にカレンははしゃぎまわっている。

 

 それを徳之進は不思議な目で見つめていた。

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