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さぁ、ステキなご臨終の話をしよう  作者: カジセイ
第二章 カレンさん①

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3.『死ぬまでにしたい十のこと』、の話(後半)

《人の成仏が懸かってるんだから、ボーッとしないでくださいね。どこまで聞いてました?》

「呪い殺したってところは聞いてた」

《そっから?》

 彼女は呆れたように大きく目を見開いて《ちゃんと聞いてなさいよね》と口を尖らせた。


《『死ぬまでにしたい十のこと』って映画知ってます?》


 知ってる。

 観たことはないが、ひと昔前、話題になった映画だ。

 たしか、余命宣告を受けた主人公が、残りの人生に悔いを残さないためにやりたいことを十個挙げて実践していく、みたいなストーリーのはずだ。

 マネする人が続出しているってテレビで見たことあった。

 テレビで紹介されていたのは、やりたいことを十個に絞り切れずに、百個とか挙げてる主婦だった。

 そりゃ百個もやり切ったら、その人生に悔いなんか残りゃしねえだろう。


 ちなみに作者も映画を観た当時、十個考えてみた記憶がある。

 実際やってみるとわかるのだが、改まって考えると、やりたいことなんてスラスラと出てこなかったりする。

 それでも諦めずに、や、ただ単に暇だっただけかもしれんが、とにかく必死に探してみると、自分ってこういうことがしたかったんだ、なりたかったんだ、忘れてたな、ということが再認識できて、それはそれでなかなかいい経験だったりもした。


 せっかくなんで、これを読んでる皆さんも一度やってみたらどうだろうか。

 まぁ、小説読んでる時点で、少なくとも今は時間があるわけで、しかも読書中は誰にも邪魔されない一人時間だと推察できるわけで。

 いい機会だと思いません?

 単に『死ぬまで~』としちゃうと漠然としすぎて作者の時のようにいつまでも出てこなかったりすると困るので、例えば『今夜0時に死んじゃうとしたら、何をしますか』くらいに質問を変えて。

 数も十個は多いので一つだけ。

 もちろん、地球滅亡とかじゃなくて、死ぬのはあなた一人。

 恋人、友人、家族を残してあなただけが死んでしまう。

 そしたら残された時間で何をするだろうか。

 この際だからバカにしないで真剣に考えてみる。どうせ誰も見てないんだから。

 とは言っても皆さんの大切な読書時間をあまり長くは奪えないので、そうですね、制限時間は十秒で考えてみてください。

 さぁ、少しだけ本を置いて、目を閉じてみましょう。


 いきますよ?


 ――今夜0時、もし死んでしまうとしたら、残された時間で何をしますか?


 十、九、八、七……。


 どうですか?

 『貯金を全ておろして豪遊する。好きな食べ物をたらふく食べる。伝えていない愛の告白をする。思い出の場所に行く。家族を思い切り抱きしめる。子供の無事な成長を願う。親へ感謝の気持ちを伝える。大切な人に電話する』そんなところですかね?

 それが、皆さんのやりたいことです。

 ぜひ、これをキッカケに行動に移してみてください。

 て、さすがにこれは脱線しすぎ。カレンのセリフに話を戻そう。


《私も十個、リスト作ってやってたんだけど、やり終えずに死んじゃったの。だから……》

「それをやり遂げたい、と」

《そう》

「やり遂げれば、この世に未練も無くなる、と」

《そういうこと》

「未練が無くなれば、成仏できる、と」

《名探偵!》


「……いや、ムリでしょ」


《どうして!?》

 身を乗り出してツッコんでくる。

「あの、例えば『地獄少女』って知らない?」

《知らない、そんな怖い女の子》

「自分の地獄行きを交換条件に、憎い人を殺して地獄へ落とす話」

《ヒドい話ね。それが私と何の関係があるの?》

「何か気づかない?」

《全然》

「同じようなことしてきたんですよね?」

《してないわよ》

「呪い殺したんでしょ?」

《……そうよ。じんわりとね》

 ニコッと口の端を上げる。


《ちょっ! 待って。私はあくまでも殺しただけで、地獄には落としてないのよ。そんなことできないもの》


 彼女は両腕で×を作り、無関係を主張する。


 何が違うっつうんだ。そりゃまあ、あくまで『地獄少女』はマンガの設定だけど。


 感覚ズレてるって、こいつ……。天然で片付けるには無理がある。

 またケンちゃんの顔が浮かんできた。

 悪かったよ。でも当時のオレには、どうすることもできなかったんだ。

 もうすぐオレもそっちに行くから、こんなクソみたいな人生終わらせてそっちに行くから、だからとりあえず今はこっちに集中させてくれ。


 で、なんだっけ。

 あ、そうだ。ズレてんだよ。

 やり残したことやり切れば、未練が絶ち切れるとか、それで成仏できるレベルじゃないっつうの。

 呪い殺した時点で、そんなヤツもう成仏できねえだろ。

 どう転んだって地獄行きだろ。


 彼女と目が合った。

「何か間違ったこと言ってる?」とでも言うように無垢な表情をしている。

 こいつ、まともに会話通じんのか?


 オレは長期戦を覚悟して頭を抱えた。

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