表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さぁ、ステキなご臨終の話をしよう  作者: カジセイ
プロローグ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/86

プロローグ (後半)

「僕を救えるのは、この世界に一人しかいないよ!」

――映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー2』より


「四十九日間です。それまでに元の世界に戻って未練を絶ち切ってきてください」

 四十九日。最初からそう言ってくれればいいのに。だったらまだ何とかなりそうね……。


 ただちょっと待って。そもそも未練って何のこと?


《あの……、未練が思い浮かばないんですけど? 無かったら何もしなくていいってこと?》

「この台帳には『未練あり』となってますよ。いいから早く行って。次がつかえてるんですよ」


 未練って何よ? 思い残してきたこと? やり忘れてきたこと?

 何かある?

 家の鍵は閉めてきたし、火元だってちゃんと消したはずよ。そうだ、洗濯物干しっぱなしだ。まさか交通事故に遭うだなんて思ってもなかったし。やだ。勝負パンツ干してきてない? あれは見られたら恥ずかしいかも。って、さすがにパンツ取り込むのが未練なわけないか。


《やっぱり無いんですけど?》


「うるさいな。じゃ、あっちに進んで」

 左側に並んでいる行列を指差した。

《あっちは……?》


「地獄」


《やーよ! 何言ってんの!? 絶対、ここから動かないから!!! ていうか、あなた、閻魔大王?》

「違いますよ。閻魔様は違う場所にいらっしゃる。私は仏。亡くなった人達の行き先をここで捌いています。交通整理みたいなものです」

《仏様ってもっと優しいんじゃないの?》

「それは人間が勝手に作り上げたイメージ。別に普通ですよ」

《そういうものなの? でもとりあえず、未練なんか思い浮かばなくて……》

「残してきた家族、恋人、友人、仕事、お金……。人によって様々ですよ。思い当たる節は? 何かあるでしょ?」


 そんなこと急に言われたって、何があるって言うのよ……。

 仕事は中途半端になっちゃったわね。お金、けっこう貯めたのよね。どうせ死んじゃうんだったら使っちゃえばよかった。恋人は……フラれたばっかだし。アイツ、浮気してたのよ。未練は無いけど呪ってやろうかしら。思い出したら腹立ってきたわ。友達なんているかしら? 仕事の同僚とはまた違うものね。ちょっと浮かばないな。もちろん親友もいないし。あとは家族……親にはずっと会ってないのよね。こんなことなら会いに行っとけばよかった。


「あの、ここで考えるんだったら、あっちでゆっくり考えてきていいですよ」

《あっちって地獄じゃない!?》


「お手軽お試しコース三日間ってのがあるから」


 そんな英会話の体験入学みたいなコースがあるの?

《ちなみに三日って、今までの感覚だと……》


「三千年」


《さ、さんぜ……ッ。ふざけんじゃないわよ。行くわけないでしょ》

 ったく、どこがお手軽なのよ。


「じゃ、どうすんですか? 戻るの? 戻らないの?」

《わかったわよ、戻って未練断ち切ってくればいいんでしょ。行くわよ! 行ってくるわよ!》

「はい、じゃ、あっちに行って」


 強面が地獄の行列とは違う方向を指差す。その先にはピンク色のドアがある。


 あれは……?


「あそこから元の世界に戻れます」


 なんか、どこでもドアみたいね。

 ぼくはそのドアの前まで進み、ゆっくり扉を開けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ