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さぁ、ステキなご臨終の話をしよう  作者: カジセイ
第一章 ヤナギさん①

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6.宇都宮へ向かう新幹線の中で、の話(後半)

《あんた達、亡くなった人の悪口言うなんて、趣味悪すぎるわよ》

「悪口なんて言ってないって」

《似たようなもんでしょう。そのうち罰が当たるんだから》

 ヤナギさんが鼻を鳴らす。


「そういえば、ヤナギさんはどうやって両親に話しかけるつもりなの。両親もタダクニみたいにヤナギさんの姿が見えたり、話ができればいいけど。わたしみたいに何も見えない、声も聞こえないってこともあるわけでしょう。ううん。そっちの可能性のほうが高いと思う。だとしたら、ヤナギさんが何を言ってもムダなんじゃない」

「その時はオレ達が代わりに伝えるしかないよ」

「うまくいくかな。信じればいいけど」

「なんとか信じてもらうしかないじゃん」

「怪しまれて通報されちゃったりしないかな」

《大丈夫よ。なんとかなると思う》

「え。どういうこと?」

「だから。怪しい新興宗教か何かの詐欺だと思われて、通報されなきゃいいけど」

「え。違う、千明。今、ヤナギさんが《なんとかなる》って言うから、それに訊き返したんだよ」

「なあんだ。もう、ややこしいな」

 千明は拗ねた子供のように口を尖らせた。


「で、どういう意味なの、ヤナギさん。何とかなるって」

《うん。なんとなく通じるような気はしてるのよ、親子なんだし》

「うん……で?」


《で? って。それだけよ》


「そんだけ?」


《それだけって……十分じゃない。第六感ってヤツよ。おかまの第六感は当たるのよ》

「なんか、親子だから通じるんじゃないかって言ってる。根拠はおかまの第六感」

 タダクニは呆れ口調で千明に説明した。


「親子だから通じる、かあ。確かに、それってあるかもしれない」

「何言ってんだよ、千明まで」


「だってほら、双子はお互いに考えてることがわかったりするって言うでしょ。双子にそんなことが起きるんだもん。親子にだってそれがあってもおかしくないじゃない。ヤナギさんはそういうこと言ってるんじゃない。ねぇ、ヤナギさんに訊いてみてよ」

 千明が自分の頭上に目送りすると、

《さすが千明ちゃんね! まさにそれよ、ぼくが言いたかったのは》 


 うそこけ!

 さっき、なんとなくって言ってたじゃねえか。

 ったく、調子いいな。


「まさにそれだ、と仰ってますよ」

「ほら、やっぱり」

 千明はふふふっと得意げな表情を浮かべた。


 確かに双子の不思議は聞いたことある。

 お互いの危険がわかるとか、別々に買い物に出掛けたのに同じ洋服を買ってきただとか、謎めいたシンクロニシティがあるのは聞いたことある。

 あるけど、それは双子の話だろ。

 双子の神秘を親子にまで広げるのは強引すぎる。

 少なくともオレは親の危険を感じたことはない。

 洋服だってそうだ。母さんがオレの気に入る服を買ってきたことなんか一度もない。

 夕飯の時、しょう油が欲しいと思いながら黙っていて、取ってもらったこともない。

 つまり親子間にシンクロなんて無いんだ。


《でも、もし通じなかったとしたら……》

「うん」


《その時は、タダクニくんにのりうつらせてもらうわ》 


「のりうつる?」

《テレビでやってるの見たことない? アレをすればいいのよ》

 アレっていうのは、アレか……?

 霊能者とかイタコが霊を憑依させて喋ってる、アレのことか?

 白目をむいて「うう……」とか「ああ……」とか言ってる、あのことか?


「ふざけんな。絶対に嫌だ」

 冗談じゃない! あんな姿、千明に見せられるかよ。


 隣で千明は不思議な表情をこっちへ向けている。

 話を見失っている目だ。

 タダクニは努めて余裕の顔を作って言った。

「何でもない。大丈夫。きっとうまくいく」


 そう。うまくいく。


 いや、うまくやる。


 タダクニは自分に言い聞かせた。

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― 新着の感想 ―
おかまのヤナギさんがタダクニにのりうつっておかまのタダクニになる想像をしてしまいましたw こういう場面で、1人だけ見えてて、1人は見えてない聞こえない場合、会話してても取り残される感じになる気持ちっ…
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