霧の木
大きな木が、私のすぐ目の前に立っている。
辺りは霧に覆われていて、まるで夢の中のようだ。
「水をくれ」 木がしゃべった。
私は水を探すことにした。
この近くに自販機はないだろうか。
ミネラルウォーターを買って、木にあげようと思った。
けれど、お金を使うのはもったいない。
私は川を探すことにした。
私はとても貧乏なので、水を買うことすらためらってしまう。
「早く!水をくれ!」
木は急かす。
私は川を探して歩き出した。
1キロほど歩いた。疲れた。 川も、自販機も見つからなかった。
私はまた1キロ歩いて、大きな木のある場所へ戻った。
「水は!?」
木は怒っていた。
「ありませんでした。見つかりませんでした」
私は正直に答えた。
「ないじゃすまされないんだよ!」
木は怒りをあらわにする。
「わかりました」
私はそう言って、木に唾をかけた。
「このやろう!」
木は激怒した。
すると、木の前に人影が現れた。
それは、私がかつて好きだった人だった。
「来て」
彼は言った。私は彼に近づく。
そして、私は木の一部となった。