【肆拾参】夏の楽しみ
__ある暑い夏の日。
青年は神社へ向かう道中、近所の人から呼び止められて、
よく冷えた大きな氷と、かき氷機。そして、
色とりどりのシロップを譲り受けた。
神様、喜ぶかな。
と考えつつ、汗を拭きつつ参道を登る。
神社に着くと、お狐様は本殿裏の廊下で扇子をぱたぱたと仰ぎながら、ぐったりしていた。
「遅いわよ……もう溶けちゃうかと思った……」
お狐様は廊下に仰向けになりながら、視線だけを青年へ送る。
「大丈夫、今日の目的はこれだ」
青年は持ってきた道具を広げて、せっせと氷を削りはじめる。ゴリゴリと響く音に、お狐様は興味津々で近寄ってきた。
「あっ!かき氷!作るやつ持ってたのね」
「いやいや。近所の人がもう使わないからってくれたんだよ。」
かき氷機から舞い降りる氷雪をお狐様はじっとみて。
境内からの風が優しく吹いて氷の冷気を本殿へと広げる。
できあがったふわふわのかき氷に、赤いイチゴシロップをたっぷりとかけて渡すと、お狐様は目を輝かせながら両手で受け取り、小さく一口。
「……つめたっ! でも……おいしい!」
尻尾をぱたぱたと揺らしながら夢中で食べ進めるお狐様。青年はそれを見ながら、少し笑って自分の分も作りはじめた。
「ずっと食べてみたかったのよね。かき氷。」
「最近はずっと暑かったからな。」
「神様も、熱中症には気をつけてくれよ…。」
「ふふん、こんな冷たい食べ物があるなら、もうちょっと暑くてもいいかも……」
「ねぇ、もう一杯!今度は私がつくるわ!」
「ふふ…はいはい。」
その日、二人は縁側に座って、かき氷を食べながら、蝉の鳴く音に耳を傾けた。夏の神社に、ささやかな笑い声が響く、そんな午後だった。
【神様の夏にやりたいこと】
すいかを食べる! ✓
夜に花火をする! ✓
かき氷を食べたい(できれば2杯) ✓
浴衣を着る(あなたも!)
夏の虫を観察してみたい(できれば遠くから)✓
金魚すくいをやってみたい
夏の星座を教えてもらう ✓
たくさんの人に参拝に来てもらう
夏祭りを開く(神社で!)
あなたと夏の思い出を、たくさん作る!




