表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/43

【弐拾捌】工作


──数日は勢いを潜めていた雨が、再び降り始める日の昼頃。


「また、降ってきたな。」


青年がぼそっとつぶやいたとき、

お狐様はすでに床に正座し、何やら紙を折り始めていた。


「見てのとおり、今日も屋内ね。ということで……」


ぱん、と手を打ち鳴らす。


「今日は“雨の日工作大会”です!」


「工作?」


「そうよ。紙、糸、木の実、布──

いろんなものを使って、ふたりで“なにか”を作るの。」


「なにかってなんだよ。」


「それは、作ってからのお楽しみ。」


お狐様はにやりと笑って、

古びた葛籠から色とりどりの紙や鈴、布きれ、小さなガラス玉を取り出した。


青年は苦笑しながらも、彼女の横に座る。


「……小学校以来だな、こういうの。」


「わたしは毎年やってるわよ?神社の飾り付けは大事な仕事だから。」


「神様、手作業なんだな……」


「信仰がないと、力が足りないの。」


ふたりは、雨の音を楽しい音楽にしながら、

ていねいに紙を折り、糸を通し、鈴をくくりつけていく。


──そうして出来上がったのは、小さな風鈴の飾り棚だった。


布きれで作った台座に、数本の細い枝を立て、

そこに紙風船やガラス玉、鈴が下がっている。

風はないのに、どこかからふわりと、心地よい音が鳴る。


「……想像より、いいものができたな。」


「雨の日に飾ると、音が響くでしょ。

外は濡れてても、心に風が吹くように。」


青年はしばらく黙って、それを見つめていた。

そして、ふと言った。


「また雨が降っても、悪くないな。」


お狐様は、そっと微笑んだ。


「そうね。あなたがいるなら、どんな雨も、飾りにできるわ。」


雨脚はやや強くなったが、

神社の中には、やわらかく澄んだ鈴の音が響き続けていた。


まるで、ふたりの静かな想いを揺らすように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ