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ライラの性格(後半)

お読みくださりありがとうございます

ライラの性格(前半)からの続きです


「チェスター嬢、大丈夫か?」


 カイルが覗き込むように確認すると、彼女は大丈夫と鼻をすすり、小さな声で返事をした。


 ううっ、ごめん。もっと早く駆け付けるべきだった……。


 その時、男装の女性が激しく叫ぶ。

「このエロじじぃー!!人様のケツを触るのはダメだって、いつも言ってるだろうがー!!あとで棍棒でケツ叩きの刑だからな!」

「嫌じゃ~優しくしてくれ~。」

 セクハラ爺さんが悲鳴を上げ、縮こまる。


 男装の女性は我に返り、ライラの方へ目を向けて話し始める。

「本当に、すみませんでした。このエロじじぃーは、好み娘を見つけると尻を触る癖がありまして……いつもは目を光らせて捕まえているのですが、つい先ほど不覚にも巻かれて逃げられてしまったのです。実はコレ、こんなんでも世界的に有名な博士なんです。エルナス・ダルシエ と言います。これでも凄い頭脳の持ち主なんです……世界の宝だと……だから、市中引き回しの刑が出来ないのです。本当に、本当にすみませんでした。」


「エルナス・ダルシエですって!?知っていますわ。古代文字の研究をされている世界的に著名な学者様ですよね。学院の授業で習いましたわ。」

 ライラは知っている有名人に出会えて嬉しかったらしく、元気を取り戻して会話に加わった。


 おい、そこの娘、切り替え早っ!!

ちょっと立ち直りが早過ぎやしないか!?


 カイルは横で驚きを隠せない。


 やっぱり、こいつ変わってんなぁ~。


 彼女達の会話は続いて行く。

「ええ、そうです。残念ながらその人なんですよ。先日こちらの王国内で発見された遺跡の調査で呼ばれまして。ダルシエ先生は、文字学の分野が有名ですが、創生史の分野も研究されているのです。あっ、私はその助手をしております。アガサ・バクレーと申します――――」


 それから、ライラは彼女達とはしばらく会話を交わしたのち、別れた。


  ***


「おい、チェスター嬢。君をここに置いて行くと何をしでかすか分からないから、俺に付いて来い。」


 女の話は長く待ちくたびれると言ったウンザリした目でライラを見て、カイルが言った。


「分かったわよ。大人しくついて行けばいいのでしょう。」

 そうライラは少し不満げに言うと、仕方ないと言った様子で、カイルの後をついて行く。


 言葉や表情とは裏腹に内心では申し訳なく感じているようだ。

 素直について来きた。


 しばらく歩いたのち、後ろでバサバサッと何かが落ちる大きな音がした。


 おいおいおい、今度は何だ??


 カイルが振り向くと、少し離れた位置にライラは居て、先程自分とすれ違った大量の資料を持った研究者とぶつかったようで、謝りながら資料を拾い集めている。


 あれほど言ったのに、なんできちんと俺の後ろをついてきていないんだよ。

 と、カイルは顔に出してイラっとする。


 さらには拾ってくれたお礼に食事でもと、研究者に口説かれ始める始末である。


 まじかよ……どんだけ無防備なんだ……。


カイルは大きく息を吐き、ライラのもとへと向かった。


「おい、彼女は私の連れだが、何をしている?」

 そうカイルが研究者に声を掛けると、研究者は慌てて弁解し逃げて行った。


「あっ、ありがとう。」

強引な誘いに困っていたライラがカイルにお礼を言う。


 ありがとうじゃねーだろう!?

 まずは、誘われないように行動しろよ!気を付けろよ。


彼女の危機感の全くない様子にカイルはさらにイライラし、たまらず発した。


「ありがとうじゃない!これじゃあ前に進めないぞ。お前、俺の目の届くところを歩け!ここか、こっちに来い。直ぐにだ!」

 カイルは自分の横、右側と左側を交互に指さ指示した。


「あっ、はい。」

 それに素直に従い、ライラは左側に立った。


 カイルは歩き出したのだが、悶々することになる。

なぜならば、隣にカイルに遅れそうになり、必死に早歩きを繰り返すライラが居たからだ。


 あああああ、もう!なんなんだ!?


「おい、俺の足が早いなら、そう言えよ!合わせるから。」

 とうとうキレ気味にカイルが声を掛けた。


「でも、急いでいるのではないのですか?私ならば大丈夫ですから、さあ向かいましょう。」

ライラは力を込めて、申し入れを拒否した。


 本当に何だよ!?人が折角気遣って言ってやったのに……クソッ、もういいや。


 彼女は拒否したのだが、その後もかなり必死でついてきているのが丸わかりであった。


 ああああ~イライラする。

 変なところで気を使うなよ。

 気遣うところがズレてんだよ!


 女なら足が痛いとでも、しおらしく言えばいいじゃないか……他の女は皆そうするだろう?

そうじゃなくても、きついと正直に言えばいいだけのに、なぜ言わないのか?


 本当に変わった女だ。対応に困る。


 そんな風に内心思っているものの、カイルは少しずつ速度を落とし、ライラの歩調に合うように歩くのであった。



この2人は、どうなっていくのか?


 カイルは面倒見がよく、優しい人です。

 幼馴染の所為で世話焼きが身に沁みついています。

 騎士の野営での料理の腕も抜群に美味く。

 洗濯、掃除もお手の物。ツンなおかん系男子です。


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