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騎士魂

お読みくださりありがとうございます。


話の区切りを考えた結果、今話は、かなり短くなってしまいました。

あまりにも短いというわけで、おまけで "モーリス家にて” の話を載せています。

モーリス家の話は、赤ちゃん、授乳、シモのネタがありますので、

苦手な方は、読み飛ばしてください。



騎士団の本部、総長室のドアをノックする。


「ハディトン総長、モーリスです。お願いがあり参りました。」

「入れ。」

中から騎士団総長の許可する声があり、間髪入れずドアを開ける。


入室し、騎士団総長が座る執務机の前に行くと、騎士団総長が書類から目を離し、顔を上げた。

「おう、来ると思っていたよ。」


騎士団総長の第一声がその言葉であったので、カイルは驚いた。

「何故、来るとお考えに?」


「さっき、アレクシス殿下からコレが届いた。モーリスをエドワード殿下の護衛として、今度の派遣に同行させるようにと書いてある。」


ああ~アレクシス殿下…流石です、マジで感謝いたします!


「それと、内務大臣からお前の動向を報告するようにとも内密にだが通達が来た…お前、何かしたのか?」


グハッ、ハートフィル侯爵!やはり抜かりがない。


騎士団総長に正直に話しておくべきか?

騎士として男として不甲斐ないが、いや、背に腹は添えられない。


「実は…」

俺は婚約させられそうだという事を一部を除いて掻い摘んで話した。


「そうか、それでお前はどうにかして逃れたいのだな。」

「はい、私はまだ結婚は出来ません。」

カイルはハッキリと気持ちを言い切った。


少し沈黙があったのち騎士団総長は決断した。

「お前には息子の結婚の事で世話になったしな。分かった、お前をエドワード殿下の護衛に入れよう。」

「ありがとうございます、ハディトン総長。」

カイルは嬉しさに心躍った。


そんなカイルとは正反対の顔で、騎士団総長が低い声で切り出す。


「モーリス卿!お前は一つだけ、やるべきことがある。チェスター伯爵家へ行って、お前の気持ちを正直に話して来い。お前がご令嬢と婚約する気持ちが無く、ただ逃げるのであればそれは相手に対して失礼だ。待たせてしまうかもしれない。期待を持たせるかもしれない。そういう事の無いように、向かい合いなさい。話し合いなさい。大丈夫、伯爵はそこまで冷酷な方ではないから。騎士としてやり遂げなさい。」


「はい、話してみます。」


騎士団総長の言葉を強く受け止め、カイルは真剣な顔つきで返事をした。


 騎士の誇りを掛け、騎士道を貫け!









   ====おまけ(ある日のモーリス家)=====


   


↓↓↓



「カイルー?どこに居るの?ちょっとこっちへ来てくれない?」

「姉さん、何の用だ?」


 カイルがマリアの部屋へ行くと、おっぱい丸出しの姉が居た。

 ギョッと驚いたのち、ベットへと猛ダッシュし、シーツを掴んで持っていく。

 そして勢いよく広げて姉に被せた。


「な、何してるんだよ!!」

  カイルが大声で注意する。


「何って、授乳だけど??それより、トムをこっちに連れてきてくれない?そんで、左の乳に当ててよ。もう腕が痺れちゃって。」

「お、お前、そんなの乳母に頼めよ。男の俺に頼むなよ!」


「乳母には今日一日、休みをあげたのよ。こっちに帰って来てるんだし、今日くらい旦那とのんびり家族で過ごしたらって。それに、カイルが男だろうと姉弟なんだから何も問題ないわ。さあ手伝って。双子って想像していたより大変なのよ。乳母が居る時は代わる代わるお乳があげられていたのにいっぺんにあげるとヘトヘトだわ。ほらほら早く、可愛い甥っ子たちの面倒が見られるなんて、カイルも本望でしょう?」


「こんなのは望んでない!!」

 俺は強く否定した。


 リナの出産が近い為、エドワードが領地へ一旦戻るというので、カイルもモーリス家のカントリーハウスに帰省していたのだが、同時期に遊びに来ていた姉によりカイルは終始振り回されていたのだった。


 コンコン。

 入り口の扉の枠を、叩く音がした。

 目をやると、アルムがドア枠に寄り掛かり腕組みをして立っている。


「おい、何度もノックをしたぞ。休みを貰えたから、顔を見に来た。」

「ごめんなさい、アル。今、カイルと話し込んでいたの。」


「ああ、全て聞こえていたよ。やっぱり双子なんだから乳母は2人必要なのではないか?」

 それを言ったアルムは、マリアに睨まれる。

 要らないって事か…。


「あ~それはさておき……なあ、カイル、俺の息子たちの世話ができないとはどういう事だ??トムもリコも、この世の者とは思えないくらい可愛い天使だぞ。」


 そう矛先を俺に変えて、今のうっぷんを晴らそうとそう言ってくるアルムの顔…。

 天使の笑顔……ああ、表情は笑っているのに、目に光が差していない。


 あれ?なんか、背後に黒い獣の影見えてきてない??

 これは…ヤバい!!


「します、しますとも!!いや~お世話したいなぁ。本当、天使!マジ天使だよねー!!」


 カイルは急いで赤子へと駆け寄り、ガラガラを拾うと命がけで振った。


「あ、カイルー。私、プルーン食べたいから、後で山に行って取ってきて頂戴。」

 この空気を、1つも読まずに姉が俺に命令した。


 いや、読んでのこのタイミングなのか…背後に闇のアルムいるしな。


 俺は実家に来ているというのに、なぜ遣い走りをさせられているのか…泣きそうだ。


「カイル、そんなんじゃ、リナの子が産まれてから、上手にお世話が出来ないぞ!小さい子を持つ母親はとても不安なのよ。貴方の助けが必要なの!!母親の望みを叶える方法や赤ちゃんの世話の仕方なら教えてあげられるから、さあ、動くのよ!」


 おお、それは有難いな。

 エドワードはきっと何も出来ないだろうから、これで俺が一歩リードだぞ。


「おう!姉ちゃん、頼む。色々教えてくれ。さあ、何でも言ってくれ!」


 カイルの一言にアルムが下を向いて、笑いを堪えている。


「それじゃあ、双子のオムツを変えてくれる?蒸れて赤くなっていないか、よく見てね。タオルを濡らして軽く絞ってから優しく拭いてあげて。」

「おう、任せておけ。」


 カイルは双子のオムツを替え始める。

 リコが終わり、次はトムだ。


 オムツ布を捲った瞬間、カイルの顔面目掛けて、シャーっとトムの攻撃が炸裂した。

「うわぁぁぁあああ」

 カイルが後ろに尻もちを着いた。


 アルム夫婦が爆笑する。


「男の子は、オムツを捲る時は、そっと開けた方がいいわよ。かけられるから…ブフッグフフ。」


 ……もっと早く言ってよ…最悪だ。


 手洗い用の洗面器のお湯で顔を洗い、タオルで拭く。

 その間にトムのオムツは姉が取り替え終えていた。


「ほら、ちゃんとお世話をして気に入られておかないと。将来、カイルが頑張って出世して爵位を貰ったら、この子達が継ぐかもしれないんだから。どうせ、今だに結婚しないとか言っちゃってるんでしょ?叔父さんは凄い人なのよって、教えてあげられるように必死で頑張んなさい。ねえ、そう思うわよね、私の天使ちゃんたち~。」


「姉さん……ありがとう。」


 俺、姉さんが俺をずっと信じて応援してくれていることが伝わって本当に嬉しいよ。

 メッチャ感動!!

 姉さんと姉弟で良かった。


 俺の感動にアルムが水を差す。

「何言ってるんだ、そんなのダメに決まってるだろう!?天使はやらん。」

 アルムが強く反対する。


 まあ、そうだよね。

 俺の下へなんてやりたくないよね…当たり前か。


「アル、なんでよ!いつもと言っていることが違うじゃない。」

 マリアが言うと、アルムが視線をずらして斜め上を向く。


 え?いつもと違う?いつもはオッケーなの?


「オホン、そうだな。全く可能性は無いとは言わない。カイルが相当、国に貢献し、高位の爵位を得たならば、養子を考えてやらないこともない。」

 と、耳を赤くしてアルムは言い切った。


 俺が高位に爵位を得たならばって…なんだよーお前も素敵かよー。

 こそばゆくなるじゃねーか。


 俺は泣きしそうになった。

 グッと堪えて、“イ”の口で強く力を籠め堪える。

 2人の言葉を噛みしめる。


「2人共……ありがとう。」

 俺は絞り出した。


 2人は顔を合わせて微笑む。

 俺を見て、アルムは肩に手を置いた。


 手を離したのち、いい知らせをくれる。


「そうだ、今朝、エドワードがアレクに呼ばれて、王城に向かったそうだぞ。アレク(あいつ)、国王の呼び出しを断れないのを知っていてやっているからな。弟の心を試すとか愛情表現が歪んでるよ。カイル、リナが一人で不安がるだろうから、明日にでも会いに行ってやれ。ついでに、もし子が生まれたら、自分が父親だと刷り込んで来い。面白いから。」

 アルムは面白がりながら話した。


「それは面白いわね。あら、そう言えば、お義母様は?」

「孫が沢山生まれたし、いい機会だから社交の一線から身を退くことするって前に話していただろう。その挨拶周りの最後の一族の所へ、今言っている最中なんだよ。タイミングが悪い、いやアレクは狙ったのか?」

 マリアの問いにアルムは困った顔をして答えた。


「そっか~今、リナは一人なのね。あっ、ねえねぇ、カイル。もしリナに娘が産まれたら、すぐに婚約者にしてしまおうとかは考えたりしないの?」

 姉が、思わぬ意見を提案する。


 あっ、その手があったか!?

 でも、リナ本人ではないし…しかし似ていたら、どうだ…うーん、う~ん。

 カイルは悩みだす。


「もしかして、その手があったかって考えているの?カイル、嘘でしょう!?」

 姉は自分が言ったに関わらず、同調した弟にドン引いた。


「カイル、大丈夫だ。リナの事もまだワンチャンスはある。今度の大掛かりな闇組織の絶滅作戦、かなり大変だそうじゃないか。その時に、ほらっ、エドワードも運悪く…ね…ザクッて刺されて、コロッとなんてこともあるかもしれないから、そしたら未亡人て事に。」


「まあ、アル!いくらエドワード様のことが今でも気に入らないからって、それは口にしては駄目なやつよ!カイル…も…その手があったかって言う顔をするのを止めなさい!!」


 マリアが大きな声で2人に注意したので、双子が泣き出す。


 皆で慌てる。


「カイルは、リコを抱っこして。」

 姉が言う。


「ああ、うん。リコーほらママは怒ってないよ。笑顔だよ~。」

 俺は慌ててあやす。


 キャッキャキャッキャと笑う双子。

 幸せで穏やかな家族との時間が、俺を包む。


 日頃の疲れを癒してくれるのであった。


 ---おまけ おしまい---




総長、イケオジ!!カッコイイ☆

次回、チェスター家にて……カイルの……


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