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この乙女ゲーはバグってる。  作者: 江川ショーコ
10/13

友達作りパーティー余興

「そういや、アレ、どうすんだ?」


 燈也が気を取り直して聞いてきた。


「あれってなんのこと?」


 指してることが分からずに聞き返す。燈也はアレだよ、アレと、名前までは覚えていないようだ。


「全科集会・・・もとい友達作りパーティーでしょ?」


 神二が助け船を出した。それだ!と燈也が言って納得がいったような顔をしている。全科集会とは、各学科ごとの集会だ。芸能科、スポーツ科、進学科、普通科。それぞれ3年から1年までが集まり、さらっと先生の話を聞いてそのあとは普通に帰宅する。


「それなら出ないよ。放送部の仕事があるし。マジで出なくて良かったわ~」


 なぜこんなことを言うのか。理由は学園長が決めた最悪なボッチ殺しルールのせいだ。


『あの集会は帰宅時に必ず、2人以上で玄関を出なきゃいけないんだ。』


 千歌から聞いたときは想像しただけで背筋が凍った。人見知りな私にとって、そのルールは最悪だとしか言いようがない。中にはその時だけ一緒に出て校門で別れる生徒もいるが、私はそもそも話しかけることすらできないので、その方法は使えない。放送部に入り、命拾いをしたのだ。


「あ、出てなかったんだ?そういえばいなかったような・・・」


 律が言う。その頃はまだ律とは仲が良くなかったので、知らないのも無理はない。律はすぐに友達を作り、帰ったんだろうな・・・と私は遠い目をして顔をあげる。するとそこにはいつの間にか現れた学園長が立っていた。


「うおっ!?が、学園長!?」


「色気がないわね。失格。」


 失格になったことは普段通りなのでどうでも良いが、なぜか私のあげた顔の数センチ手前という至近距離に顔があり、驚きと若干の気恥ずかしさで頭が回らない。そんな状態で考えたせいで、


「なぜここに。どこから入ってきて・・・」


「ドアからに決まってるじゃない。」


 そんな分かりきったことを聞いてしまった。学園長が指した先には確かに開いたドアがある。


「ここに来たのはたまたまよ。アンタをちょうど探しててね。放送部はそこに並びなさい!」


 よく見れば、先程お別れした千歌もそこにいた。“放送部は”といっても放送部は2人しかいないので、実質は千歌が私の横に座るだけだ。


「今回の集会はちょっとしたゲームをやるわよ!この校舎全体を使うものにするつもり!詳細は後日送るわ。」


 意外とまともな内容で驚く。目をぱちぱちと瞬かせたのが気に入らなかったのか、


「そのゲームは早く言えば鬼ごっこみたいなものよ。生徒会、放送部が最初に鬼をやるわ。だから、生徒会もまた頼んだわよ。」


 千歌は放送部部長であり、生徒会長だ。なんにせよ行事に関わるのは去年で知っている。


「そういうこと!じゃあね!気を付けて帰るのよ!」


 そう言い残して学園長は出ていった。ここには他の生徒もいるが、そんなことを言って良いのか。すでに運動大好きサッカー部はキラキラと瞳を輝かせている。


「すっげー楽しみ!良いなぁ!俺も鬼やりたかったなぁ!」


 環が何か阿呆なことを言っている。


「鬼が羨ましいってどんだけ運動好きなんだよ!運動苦手だって分かったうえでやられてんのがなんともいただけない。あー!休もっかなー!!」


 もちろん休めない。休めるわけがない。そんなことは分かりきっている。それでも休みたい。運動は苦手だ。特に走る作業は。


「でもまぁ、頑張ろうよ。ね?」


 優しい笑顔で千歌が言ってきた。無理にでも目線を合わそうとし、瞳を凝視するこの人の癖はいつまでたっても慣れず、目をそらせながらはい、と返事をした。集会は1週間後。急な思い付きで何かを始めるあの学園長だ。私は未来で与えられるであろう疲れを想像して肩を落とした。

はい、学園長というか作者が糖度を高くしようと思い、

思い付きイベントを入れました。

彼等が透を好きになった経緯ですが、なかなかにふんわりしてるので、

もう少し見えてから書き始めたいと思います。

あるのはあるんですがね。

あと、皆様の推し(ほぼ喋ってねぇのに推しなんざあるか、とは思います)

が気になっています作者です。

ご意見・ご感想、お待ちしております。

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