エイリアンの仕業
僕が物を無くすのは、僕のせいじゃない。
それは宇宙から来たエイリアンの仕業だ。
そう、先日買った鍵入れも。テレビのリモコンも。しっかり側に置いといたのに、いつの間にか無くなっている。僕が見ていない隙に、空気が裂けて、そこからエイリアンの手が実験と研究の為に使う、物質を調達しているのだ。
さっき、無くしたシャツを探す時に置いておいた携帯電話を無くした。エイリアンの仕業だ。
狂った声がして、頭の中がざわついた。
僕が物を無くすのは、僕のせいじゃない。
それは宇宙から来たエイリアンの仕業だ。
そう、先日買った最新のゲームソフトも。あの子への恋心も。しっかり覚えていたはずなのに、いつの間にか忘れてしまっている。
だから責めなくていい。物を無くしたくらいで。
自分が終わるような感覚は、覚えなくていい。
それはその時には大事だったけれど、いつかは必要なくなるもの。
子どもの頃に知った、残酷な好奇心のように。