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うさぎになったバカ鉄

作者: 綱垣真尋
掲載日:2015/12/24

どうも綱垣ことひなもんじゃです。今回は初の試みとしてなろうでの公開となりました。pixivはなるべく私の運営するサークルのSUNderBIRD(http://sunderbird.crayonsite.net/)関連のものを投稿したいのでこちらでということにしました。内容についてですが、たぶん鉄道単語で鉄じゃない方にはちょっとわからない単語があると思うので、こちらを参照してください。(http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C7%DB%B5%EB%CE%F3%BC%D6 ←配給)(http://matome.naver.jp/odai/2135134080607671001/2135275430174889403 ←激V)(https://www.google.co.jp/search?q=%E7%B7%A8%E6%88%90%E6%9C%AD&ie=utf-8&oe=utf-8&hl=ja#hl=ja&q=%E7%B7%A8%E6%88%90%E6%9C%AD%E3%80%80%E3%81%A8%E3%81%AF 編成札)(http://pchansblog.exblog.jp/1740009/ 白レン)まあ今日はXmasですし今日これを見る方は大体は非リアの方でしょう。(そうであってくれ)こんな日だからこそ、リア充が本能的行動に勤しんでるあいだにわれわれは理性的な行動をするとしましょう。ぜひ一読して思惟してもらえたら幸いでございます。


うさぎになったバカ鉄

 これをつぶやくのはもう何百回目であろうか。いや、実際はつぶやいているのではない。ただただ鼻が動くだけでつぶやきなどしてはいないのだ。その事実を思うだけで倦怠だけが積み重なってゆく。なぜつぶやくのかと言えば、そう、改悛すればもとに戻れるという考えがまだ愚かにも残っている。それもまた倦怠のもとであるというのに、このつぶやきをせずにはいられないのである。なんて阿呆なのだろう。

 そう、うさぎになっていたのだ。あの時、大学のテストをサボって十時三十五分に通過する配給を撮った。新津留美で撮って帰りは京武鉄道の検測車を撮るはずだった。それでただ終わるはずだった。それが終わったらまたいつもの日常が待っているはずだった。その時、自分らしからぬ判断をした―――、そう、愚かにも検測車を駅で撮ろうとした。

 私は何かに引っかかったはずみでホームから線路上に転落し、そこに来た準快急電車に轢かれた。

 その刹那であった。ゲージの中、うすぼんやりとしたまどろみのような視界、平面の世界に移動したのは。何がおきたかわからない、混沌とした意識の中にほうりこまれたようだった。うさぎになったと気付いたのは、遠い昔の知識のおかげだった。腹が減った時、自分は口で本能的に尻をまさぐっていたのである。そう、うさぎは牧草が消化できないので糞を食す。自分は魑魅魍魎の妖怪になっていたと思っていたばかりに、それを思い出したのは不幸中の幸いだった。

 いや、人間の時に既に妖怪になっていたのであろう。自分の悪行を思い返せばそれがよくわかる。編成札の「蒐集」は自分の得意とするところだった。写真の邪魔になる障害物は壊すのは基本だった。下手糞な写真をSNSに投稿しているのを見つけ間隙あらば「批評」をする。「批評」は特に大好きなことだ。為になるのだから私は善い行いをしているのだ。なぜつっけんどんに私に対する非難のリプライを飛ばしてくるのか全く理解できない。世の中は全て実力主義だ。そこから鉄道写真はうまくなっていくのに。阿呆な奴。希少価値のあるネタこそがよい。ん、情報が知りたいなら自分で仕入れればいいのに。私に聞くなんて言語道断、なぜそんなことをする?

 すべては傲慢という妖怪だ。それが答え、アンサー。永い自問自答から導き出されたもの。いつだって自分が可愛いのである。そんなことも知らずに十八年間生きてきたと思うと泣けてくる。ここは牧草の続く激V草原ゲージ地帯、今日も居間のシーリングライトの光は順光である。

 そんな風に気持ちは塞がっていたが、しかし、ここが実家であるというのは唯一の救いだった。うちで飼っていた猫のティーがいたことが何よりの特定材料であったし、それにゲージ越しからよく見ると頭上の方に自分の位牌があったことに気付いたからであった。やはり自分は死んだのだ。やはり、例の「改悛」なんてものは初めから存在しないのである。先述した「糞を食す」ことを死ぬまで続けねばならないことも今日も今日とて憂慮しながら、ゲージ越しの世界を見るのである。狂という文字が頭の中でめぐっていった。


そんな生活が早くも一か月が過ぎさろうとしていた今日、自分は猫のティーと会話できることが分かった。というのもあちらからゲージにきて話しかけてきたからである。

「おい、おい、そこにいる新入りのうさぎよ、お前は夜も朝も関係なく、糞がどうだとか、激Vだとか、独り言が非常にうるさい。なんとかできんのか。」

ティーはそう言ったので、私は、

「私は新入りでも何でもない。そこにある位牌の主が宿ったもの、つまり君の主人であるのだが。………ああ、君も私を下に見るというのか、ただでさえ世界に見放されたというのに!」

と半分八つ当たりのように怒気を含みながら答えた。それに対してティーは、

「よくわからんことをまたぶつぶついっておるな。まあそれはおいといて、もしあんたがご主人だったとしたら、これよりもっといいたいことがある」

「それはなんだ」

「あんたが小さい頃、わしはとってもふつうに過ごしやすかった。というのも、今のようにこの家が風船で張り詰めたような雰囲気になっていなかったからな。でもあんたの身長がそこにあるピアノと同じ大きさくらいになったとき、あんたはあんたの母上と喧嘩したな?それからというものだ、この家は真っ暗な雰囲気につつまれてしまった!あんたは知らないだろうが、われわれ猫というのは周りの人間よりもっと雰囲気で調子が左右される生き物なんだ。あんたが死んだらもっと雰囲気がどんよりしてしまったじゃないか。最近というものはおちおち夜も眠られん。それでまたあんたはつぶやくだろう?最悪だ!」

私はそれを聞いてはっとした。そうだ。高校一年のとき、母親から山岳部の合宿と偽ってもらった二十数万のカネを着服して、長野の臨時電車を撮りに行く遠征代金につかったり白レンを買うのにつかったりしていたことがばれしまって両親と大喧嘩したのであった。それからというものの、両親とも疎遠になってしまって会話は少なくなって、家にかえることすらつらくなってしまっていたのだった。どうしてそこで気付かなかったのだろう。あの時に異常だということに気付いていればこのような事態にはならなかったのかもしれない。

いつだって後悔するというのはどうしようもなくなってしまったときだ。その原因はだいたい自分が盲目になっていて、有頂天で、それでいるか本当にちいさなくだらないことであるのだ。

 特に自分の場合、趣味によって身を破滅してしまったわけだが、破滅させるまでいってしまったらそれはすでに趣味ではない。妖怪にとりつかれているのだ。そう、一回自らを省みなければならなかった。他人を排斥するようなSNSの激しい言動。驕ったような気持ち。様々な人々からみて自分はどう見えるか。そして、身内は私のことをどう思っているのか。体は大丈夫なのか。少し考えればわかることだった。

「………おい、聞いているのか!兎に角、独り言はやめるんだな、そうじゃなければ捕食するからな!」

そうティーはいうと、ゲージから離れていった。私はとてもぼやけた視界からティーがフェードアウトしてゆくのを見ながら、先ほど思ったことを反芻していた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] わあい自業自得もの あかり自業自得もの だあいすき ところどころ滲み出る反省してんだか反省してないんだかな部分がとても良いと思った。 [気になる点] (あくまで個人的な感想です) 猫の意思…
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