第6話
「リーダー流石です。お疲れ様でした。転移陣の準備はすでに出来ております。先に本国への帰還をお願いします」
「ご苦労。それでは先に失礼する。お前たちも全員で帰って来い」
地面に掘られた幾何学模様からなんかオーラを感じる。おそらくあれが転移陣とやらだろうか。それにしても、追手が来ないと思ったら彼女の仲間たちが足止めをしていたようだ。ここにいるのが全員なら、わざわざ気合を込めるように「全員で帰って来い」なんて言わないもんな。
俺を連れ去りに来たヨイツ帝国の特殊部隊は、どうやら女性で構成された部隊のようだ。全員女性らしい体型をしているのを、服の上から確認できる。
なんとか助かったぁ~。
「何を言っている。これからお前は隷属の呪文をかけられ、戦争の道具として使われることになるだろう。まぁお前程度の魔力なら肉の壁にもならないがな」
俺にとってはまだその方がいい。弱い魔法と言われていようと魔法が使えるのだ。しかもこの世界で弱いと言われている風は、俺からしたら最強の魔法だ。
俺は担がれている最中、風魔法についてずっと考えていた。イメージこそが魔法発動の条件だというなら、風とは何かを具体的に理解している俺は強い風やかまいたちはおろか、もしかしたら物質も動かせるかもしれない。俺を担ぐ彼女はオーラ漂う転移陣の上に立ち、身体からこれまたオーラを流して魔法を発動させた。行き先はヨイツ帝国の牢獄……だろう。さて、生き残るぞ。何もかもめんどいけど……。
1分間の読書ありがとうございました。
また今日の18時に会えることを願っています。