第4話
俺は今、地下牢に寂しく閉じ込められている。何故かと言うと、魔力量がとことん少なく、魔法の適性属性が風オンリーだったからだとか。師匠感がうまくいかなかったおっさんの八つ当たりに近い。俺は何もしてないっていうのに。
この世界の魔法属性で唯一風だけが不遇属性と呼ばれている。風属性が不遇と呼ばれる理由は、魔法を発動するのに必要な発動イメージが物凄くしづらいかららしい。しかも発動できても大抵はそよ風程度しか生み出せず、戦争等の戦いには不向きな属性となっているのだ。これらは俺を見張っている兵士から聞いたこと。
あ~あ、俺一体どうなっちまうんだろ。
「陛下の性格ならまず間違いなく死刑だろうな」
俺のつぶやきに答える見張りの兵士。
理不尽すぎる。勝手に召喚して、使えないからって簡単に死刑だなんて。……うっ……。
「泣い……てるのか?」
だってそうでしょ! こんなのひどすぎるよ! うぅ……っく……。
「……可哀想だが……やはり俺は陛下に従うまで。お前を助けてやることは出来ん」
……ちっ。
涙を流してまでの演技は儚くも無駄に終わった。誰か俺を攫ってくれ。
「敵襲ゥ――ッ!! ぐあっ!」
どこからか聞こえる叫び声。剣戟音が地下に響く。時折地下に光が走りその度に男たちのやられる声が聞こえてくる。その騒々しい音を聞きながらぽけーっとしていると、俺を見張っていた兵士が突如倒れる。代わりに俺の眼の前に立っていたのは目元以外を隠した、若干忍者にも見える女性だった。
「お前を人質にし、もとい誘拐しに来た。潔く連れ去られろ」
その言葉に一縷の望みを見つけた俺は――
はい! 喜んで!
1分間の読書ありがとうございました。
また明日の18時に会えることを願っています。