第1話
1週間ぶりです、坂井です。『面倒くさがりな男子大学生の異世界召喚編』が『500文字前後小説』の2作目として始まります。1作目の『男子高校生の日常編』を読まなくても話はわかります。内容がぜんぜん違うので。
では1話目です。どうぞ。
事実は小説よりも奇なりとはよく言ったものだ。俺の名前は風間遅歩。地球という惑星に存在する日本という国に住んでいた、どこにでもいるような面倒くさがりな大学生だ。
住んでいたと言ったが、それには訳がある。俺が今いる場所は、到底俺の生きていた時代である20XX年の日本……いや、地球とは思えないような場所であるからだ。地球の時代に当てはめるなら、中世ヨーロッパの時代に雰囲気は似ていそうだ。
俺の周囲には数人の甲冑姿の兵士、貫禄のあるマントを羽織った油たぎるデブいおっさんが一人、その隣には薄暗いこの地下のような場所でも輝きを放つ美しいドレスを着た醜い少女が一人いる。その人たちは台座に座っている俺を囲むように立っていた。
「お父様、成功しましたわ! これでヨイツ帝国に勝てますわ!」
「うむ、これでヨイツ帝国を我が領地に出来るというものだ。ほっほっほ」
俺の周囲にある蝋燭の火がゆらりと揺れる。ヨイツ帝国。俺はどうやら異世界に召喚されてしまったようだ。なんて面倒くさいことをしてくれたんだ。
1分間の読書、ありがとうございました。
また今日の18時に会えることを願っています。