最恐の幼馴染3
今回はすこし短めです。
急遽自主休校を選択し、我が家へと急行する俺。
息を切らして本来十五分の道程を六分で駆け抜けた俺の目の前に存在したもの、それは…。
「なんだなんだよ、これは…」
巨大な魔方陣ぽい幾何学文様の刻まれた我が家だった。
白い樹脂のようなもので細かな文字の刻まれた魔方陣が、幾重にも重ね書きしてある。その範囲は本城の家を中心に半径五十メートル近くに広がっている。どうやら我が家もその範囲に巻き込まれたようだ。
それを踏みつけながら、その中心である本城の家を目指す。
家の中に入ると、朝とは違いトラップではなく用途不明の謎の機械群が出迎えてくれた。一度くらいはかわいいメイドさんとかが迎えてくれてもいいのではと思うが、妄想の域に入りそうなので自重する。
機械から伸びる配線は、朝俺が必死の思いでたどり着いた奴の寝室兼研究室に繋がっている。
そのままその部屋へと突撃する。
「おい本城!学校さぼったあげく俺の家があんなことになっているのは一体どういうことだ!」
「なっ!なんで夏樹がここにいるの!?」
珍しく本気で慌てて反応する本城。こういうときは普通にかわいい女の子なのだが…、いかんいかん。まずは状況の確認が最優先だ。
「何を慌てている?さっさと状況を説明しろ」
「あっ…えっと…!」
まだ立ち直れない本城。
その時、本城の指が傍らのスイッチを押した。
この瞬間の『やっちまった!』という表情を、俺は生涯忘れないだろう。もちろん、恨みの対象として。
次の瞬間、スイッチから伸びる無数のコードに青白い光が走った。
同時に家中に張り巡らされた配線と機械類にも同様の光が走り、そのまま外の魔方陣へと伝播していく。
一つ光ると次の一つという風に、連鎖的に光る魔方陣は増殖していく。
そして、その光がほとんどの魔方陣へと伝わった時、異変は起きた。
夏樹が踏みつけた魔方陣、その一部。
僅かにかすれた文字が奇妙に明滅を繰り返す。
しばらく点滅していたそれだが、次の瞬間一際大きな光の波が押し寄せ強引に先に進んでいく。
そして、次の瞬間。
本城の家は、中にいた俺と本城、そしてただの御近所である我が家まで巻き込んでこの世界から姿を消した。
次回は第一話の続きを書きますです!