幕間2~山田太郎の閃き~
とうとうお気に入りが四十件を超えて、とっても嬉しいのです!
今回は短めですが、この後明日も投稿するです!
「中身は全部プラレールだな」
読者のみんな、俺の事を覚えていてくれたか!工藤みたいなリア充野郎とも友達づきあいが出来る、やさしい心の持ち主、山田太郎だ!…えっ、お前もだろ?何を馬鹿な。俺は生まれてから今まで、彼女なんて一人もいないぜ!……(はぁ…)
そんな俺だが、今日突然風間様(さんづけなんておこがましぜ!)に呼び出された。学年一の美少女(俺的には本城さんよりこのみだ)に呼び出されて浮かれる俺の目の前に現れたのは、ぎっしりプラレールの詰まった大量の段ボール箱だった。
場所は風間様の御自宅(風間様を生んでくれなかったら、このブルジョワめ!と罵倒するところだ)の駐車場。そこを埋め尽くすようにして置かれていた。
「しかも送り主が本城さんか…」
本城さんが夏樹の奴と一緒に家ごと行方不明になるという怪事から、すでに一カ月。馬鹿でかいクレーターが出来ているのに、なぜかマスコミにも取り上げられない不気味さもあって、クラスメイト達は意識的にそれを無視している。
「後ね、この紙も一緒に入ってたの」
風間様が懐から取り出したのは、一枚の設計図のようなもの。どうもプラレールの敷き方のようだ。
「でもね、この建物が分からなくて…」
確かに、この見取り図だけでどこの建物なのか調べるのは難しい。
だが、
「ん…?これって夏樹のところの廃工場じゃないか?」
俺はなんとなく見覚えがあった。
以前何かで本城さんと夏樹に連れられてそこに行った事がある気がする。確かそこで…。
…不自然に記憶が途切れている。一瞬のブラックアウトの後なぜか倒れている俺を、ひきつった顔の夏樹と満足げな本城さんがのぞきこんでいた。
…なんだか怖いので、これ以上考えない。そうさ、俺は何も覚えていない。覚えてないったら覚えていない!
「…それよりも、風間さんはこれを組み立てるつもりなの?」
「うんっ!もしかしたら、二人の行方が分かるかもしれないし」
…正直、プラレールを組み立てて、二人の行方不明者が見つかるとは思えないのだが、風間様は本気の様だ。
「だったら、何人か応援呼ばないとなー」
この設計図と目の前の段ボールの山を見るに、作られるプラレールの規模はどう考えてもギネスブックに挑戦するとしか思えないものだ。二人でやったらどれだけ時間がかかるか分からない。二人で長時間一緒…。
クソッ!それも捨てがたいが、風間様の貴重な時間を無駄にすることはできない!
「…わかったわ。よろしくね、山田くん!」
感謝する風間様。
…あれ?今一瞬、不機嫌そうに見えたのは気のせいか。
「よし。そうと決まれば始めるか!」
…というか本城さん、出来ればこの荷物、半分くらいは工場の方に送ってもらいたかったんですが。
運ぶのどうしよう…。