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第2話 鈴本さんとの初会話

 僕の席は、ここか。


 教室の真ん中、1番後ろの席だった。席に座ると、僕は真っ先に鈴本さんの席がどこなのかを確認する。


 あれ?


 周りを見渡し、何度も彼女の席を探す。しかし、なかなか見つからない。見逃しているのかと思い、もう1度自分の席の近くを確認した。その瞬間、思わず声が漏れた。


「え?」


 あまりの衝撃に、つい声を出してしまった。


 そう、彼女の席は――まさかの隣だったのだ。


 彼女の隣になれた嬉しさと、ちゃんと話せるのかという不安が混ざり合う。複雑な気持ちになったが、もう不安になっている場合ではない。こんなに彼女と関わりやすい環境を作ってくれた先生方には感謝しなければならない。


 そんなことを考えながら彼女のことを待っていると、突然男の声が聞こえた。


「何ニヤニヤしてるの? 気持ち悪っ」


 声のした方を見ると、そこには友達の内村健が立っていた。


「別にニヤニヤなんてしてねーし」


「いや、してたよ。まぁいいや。今年もよろしくな」


「そんなことよりって……まぁいいや。よろしく」


 この男とは1年の頃からずっと同じクラスで、その頃から仲が良かった。どうせ今年も同じクラスなんだろうなと思っていたら、案の定その予想は的中した。


 内村は陰キャというほどではないが、特別目立つタイプでもない。友達は普通にいるし、僕と似たような感じのやつだ。


「そういえば瑛太、昨日のドラマ見た?」


「まだ見てないわ。だからネタバレだけはするなよ!」


「分かってるよ。それでねー、昨日のドラマは――」


「だからネタバレしようとするな!」


「わかったよ、ごめんな」


 僕たちはくだらないことで笑い合った。こういう何気ない時間が、僕は結構好きだった。


 そんなふうに健と雑談していると、隣の席の人が教室に入ってきた。


 鈴本さんだ。


 彼女を見た瞬間、思わず「好きです!」という言葉が口から出そうになった。慌ててその言葉を飲み込み、僕は深呼吸をする。


 今までの僕とは違うんだ。今度こそ、話しかける。


 彼女が席に座る。


 今だ。


 もう1度深呼吸をして、僕はついに声をかけた。


「初めまして。鈴本さん、だよね? 一年間よろしく!」


 勇気を振り絞って言葉を出す。心臓が張り裂けそうなくらいバクバクしていた。


「そう! 鈴本だよ。一年間よろしくね! えっと……」


「高村だよ!」


「高村さんか! よろしくね!」


 名前を覚えてもらえた。それだけで今は十分だった。僕は心の中で小さくガッツポーズをする。


 これから一年、鈴本さんとどんな関わりが増えていくのだろうか。


 そんなことを考えるだけで、胸の高鳴りが止まらなかった。


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