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異世界を助けに行ったら草薙の剣と戦艦大和があったので私TUEEEします ~ミサカさまがいく~  作者: wok
プリティームーン結成

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第8話 エルフの村ウッドウインド

王国歴300年2月26日——


「ミサカも飛べたの!?」


ファムが飛行ドローンの窓にへばりついている。


小さな手で、窓をペタペタと叩いた。


「とってもはやい、すごいの!」


羽根をぱたぱたさせて興奮している。


私は微笑んだ。


「気に入ってもらえてよかったです」


眼下には、緑の森が広がっている。


風が木々を揺らし、陽光がきらきらと葉を照らす。


「やはり、空から眺める景色が一番なのじゃ」


カルラが窓の外を見つめていた。


「ミサカさんが来てくれたから、あたしも空から景色を眺められるんだよ」


ヴィヴィが嬉しそうに笑う。


「ミサカさまさまなのさ」


ナターシャが肩を叩いてくる。


「ミサカ大明神にゃ。プリティームーンに入れてよかったにゃ」


ミケケの尻尾が揺れた。


「お姉さまは竜神様だったのじゃ!」


カルラは目を輝かせる。


「ち、違います!」


私は慌てて首を振った。


「私はただの人間です!」


私は窓の外を向いた。


頬が熱い。


ヴィヴィが前方を指差した。


「あ、見えてきたよ!」


緑の森の中に、小さな集落が見える。


木造の家々が並び、中央には大きな木が立っていた。


「あれがウッドウインドなの!」


ファムが嬉しそうに叫ぶ。


私は操縦桿を握る。


「降下します」


◆ ◆ ◆


村の近くに着陸。


ナターシャがドローンに手をかざす。


「黒ノ五式・インビジブル」


薄い霧がドローンを包み込んだ。


認識阻害の魔法だ。


「これで安心なのさ」


ナターシャが微笑む。


私たちは降り立ち、村へと歩き始めた。


木々の間を抜けると——


村の入り口が見えてくる。


木製の門に、二人のエルフの若者が立っていた。


レイピアを腰に下げている。


門番だ。


私たちが近づくと——


「何者だ」


門番の一人が警戒の声を上げる。


レイピアに手をかけた。


「関係のない者を通すわけにはいかん」


「立ち去れ」


鋭い視線。


警戒されている。


当然だ。


村では娘たちが消えている。


よそ者を警戒するのは当たり前。


そのとき——


「この人達は怪しいものではないの!」


ファムが私の肩から飛び立った。


門番の前まで飛んでいく。


「ファムじゃないか!」


門番の表情が変わる。


「ティアが心配していたぞ」


「大丈夫なの!」


ファムが元気よく答える。


「人の都でお願いして来てもらったの!」


門番が私たちを見る。


「この人達はプリティームーンっていうパーティーなの!」


「プリティームーン……?」


門番が目を見開いた。


ファムがくるりと回る。


「ティアを呼んでくるの!」


そう言って、村の中へ飛んでいった。


◆ ◆ ◆


門番が私たちを見つめる。


「風の噂で聞いている」


声が少し震えた。


「プリティームーンというパーティーが古代竜ドルラーガを倒したと……」


もう一人の門番が尋ねる。


「まさか、あんたら本当にプリティームーンなのか?」


カルラが胸を張った。


「そうなのじゃ!」


「うちらはプリティームーンなのじゃ!」


少し間を置き——


「そして、うちも古代竜なのじゃ!」


「古代竜……!?」


門番たちが固まる。


ごくり。


喉が鳴った。


「ぇぇぇぇ!?」

「ひぃぃぃ!?」


二人とも後ずさる。


「カルラ」


私は頭をコツンと叩いた。


「脅かすものではありません」


「カルラは悪い子じゃないんです。ごめんなさい」


カルラが慌てて頭を下げる。


「脅すつもりはなかったのじゃ……」

「ごめんなさいなのじゃ——」


門番たちは、まだ震えている。


そのとき——


「お待たせしたの」


ファムの声が聞こえた。


◆ ◆ ◆


村の中から、一人のエルフが歩いてくる。


金色の長髪。白い肌。


若い女性だ。


目の下に隈ができている。


疲れているのだろう。


「ファムから話は聞きました」


エルフが門番に向き直る。


「この方たちは少女喪失事件解決のため来られたのです」


「通してもらえませんか」


門番たちが顔を見合わせる。


「ティアさんがそう言うのなら……」


レイピアから手を離した。


「ウッドウインド村へようこそ」


「お通りください」


門が開く。


私たちは村の中へ入った。


◆ ◆ ◆


ティアの家。


ティアが深々と頭を下げた。


「あらためて、はじめまして」

「ティートリシア・ウッドストライクと申します」

「ティアとお呼びください」


顔を上げる。


「はじめまして、ティアさん」


私も一礼した。


「私はプリティームーンのリーダー、ミサカと申します」


続いてメンバーもそれぞれ自己紹介をした。


「両親の代わりに私が村長代理をしています」


ティアの表情が少し曇る。


「……差し支えなければ、ご両親のことを教えてもらえませんか?」


私は尋ねた。


「両親は肺病のため、隔離された家にいます」


声が少し震えている。


「ファムから聞いていると思います」


胸の前に両手を組む


「どうか、私の村を助けてください」


そして——


俯いた。


「五人も消えました」


小さな声。


「次は……私かもしれません」


怯えた表情。


若い村長代理が、一人でこの恐怖に耐えていた。


「必ず、助けます」


私は真っ直ぐにティアを見た。


ティアの目——怯えていた瞳が、ぱっと輝いた。


「本当に……!」


初めて見せた、笑顔。


私はファムに向き直る。


「ファムさんは、ティアについていてあげて」


「異常があったらすぐ私たちに知らせてください」


「わかったの!」


ファムが力強く頷いた。


ティアが微笑む。


「ありがとうございます」


「では、みなさんにはあの家を滞在先にお使いください」


ティアは窓の外の家を指さした。


「今は空き家になっています」


私は一礼した。


「わかりました」


「使わせていただきます。ありがとうございます」


◆ ◆ ◆


滞在先の民家。


私たちは荷物を置いた。


「事件が発生するのは夜」


私は一同を見渡す。


「私たちは夜の見回りをします」


「了解なのさ」


ナターシャが頷いた。


他のメンバーも頷く。


夜——


村を見回る。


静かだ。


異常なし。


翌日も——


見回りを続ける。


やはり、異常なし。


◆ ◆ ◆


三日目の深夜——


「……あれは」


ナターシャが囁いた。


一軒の民家。


扉が開く。


中から——


両親とその娘が出てきた。


三人とも、うつろな目。


ゆっくりと、北へ歩いていく。


「明らかに怪しいのさ」


ナターシャが呟く。


私は頷いた。


「後をつけます」


静かに、追跡を開始する。


◆ ◆ ◆


しばらく歩くと——


村の自警団とすれ違った。


自警団が両親に声をかける。


何か話している。


だが——止める気配はない。


そのまま、すれ違っていく。


自警団が私たちの方へ歩いてきた。


私は声をかける。


「あの家族は、どちらへ?」


「星を見に行くと言っていたので問題ない」


自警団が単調に答える。


その目——


うつろで、少し赤く光っている。


「!」


ナターシャが息を呑んだ。


「これは、チャームの魔法かもしれない」


小声で囁く。


「しかも大規模なものさ」


自警団が去っていく。


ナターシャが私を見る。


「とにかく、娘連れの両親をつけるのさ」


「わかりました」


追跡を再開する。


◆ ◆ ◆


村の北——


古い石造りの遺跡が見えてきた。


月明かりに照らされて、不気味に佇んでいる。


両親と娘が、遺跡の前で立ち止まる。


そして——


両親だけが、踵を返した。


娘を一人残して。


ゆっくりと村へと戻っていく。


両親の目も、うつろで赤く光っている。


「間違いない、チャームの魔法さね」


ナターシャが断じる。


「……わかったにゃ」


ミケケが呟く。


「両親は村に帰って鍵を閉めて寝るにゃ」


「そして、両親は夜の記憶がないにゃ」


「だから『密室から消えた』ように見えたにゃ」


少女が、一人で遺跡の前に立っている。


じっと動かない。


しばらくすると——


ガタガタガタ。


遺跡の中から、何かが現れた。


骨だけの人型。


スケルトン、二体だ。


少女に向かって歩いてくる。


「させないのじゃ!」


カルラが前に飛び出した。


◆ ◆ ◆


スケルトンが娘の腕を掴もうとする。


その瞬間——


カルラの拳が、一体目の頭蓋を捉えた。


ガシャン!


骨が砕け散る。


「やった……!」


カルラの目が輝いた。


二体目が襲いかかる。


「もう一撃なのじゃ!」


拳を振る。


ガシャン!


これも粉砕。


カランカラン。


骨が地面に崩れ落ちた。


「やったのじゃ」

「うち、役に立たったのじゃ」


カルラが嬉しそうに振り返る。


「カルラ、いい判断でした」


私はカルラの頭を撫でた。


「お姉さまに褒められたのじゃ」


カルラは顔を赤らめる。


「ナターシャ!」


「あいよ!」


ナターシャが杖を構える。


「黒ノ五式・ブレイク!」


緑光が娘を包む。


少女の目から——赤い光が消えた。


「……え?」


少女が目を瞬かせる。


「わたし……なんで、ここに……?」


混乱している。


私は娘に駆け寄った。


「大丈夫です。もう安全ですよ」


「あなたは……?」


「プリティームーンのミサカです」


少女の目に、涙が浮かんだ。


「ありがとうございます……」


私は微笑む。


「ええ。もう大丈夫です」


少女を抱きかかえる。


そのとき——


遺跡の奥から、禍々しい魔力を感じた。


ゾクリ。


背筋が凍る。


「いるのさ……」


ナターシャが遺跡を睨んだ。


「他の娘たちも、あの中かもしれないのさ」


私は遺跡を見上げる。


石造りの、古い建造物。


入り口の奥は——暗闇だ。


「ミサカさん!」


ヴィヴィが盾を構えた。


「このまま突入する?」


私は少し考える。


「……いえ」


「ちょっと待つのさ」


ナターシャが手を上げた。


「遺跡にはチャームの使い手がいる」


「対策もなしに入るのは危険なのさ」


私は頷いた。


「その通りです」


救出した少女を見る。


「まず、この子の安全を確保します」


「一度、村へ戻りましょう」


◆ ◆ ◆


翌朝——


ティアの家。


救出した少女も同席している。


「ありがとうございます……!」


少女が涙を流した。


「本当に、ありがとうございます……!」


ティアも目を潤ませている。


私は一同を見渡す。


「事件のからくりが分かりました」


ティアが身を乗り出した。


「本当ですか!?」


「ええ」


私は頷く。


「村全体が、チャームの魔法にかけられています」


「チャーム……!?」


ティアが目を見開く。


ナターシャが続ける。


「夜になると発動するように仕組まれているのさ」


「両親が娘を連れて、遺跡の前まで行く」


「そして、両親だけ帰ってくる」


「家の鍵を閉めて、寝る」


ナターシャが指を立てる。


「だから——」


「密室から娘だけが消えているように見えるのさ」


ティアが息を呑んだ。


「そんな……」


「でも、なぜ私は無事だったんですか?」


私は答える。


「ティアさんのご両親は、病気で隔離されていましたね」


「はい……」


「ご両親が、そばにいなかった」


「それで、あなたは無事だったんです」


ティアが俯く。


「両親が隔離されていたから——」


ティアは言葉に詰まる。


「はい」


静寂。


そして——


ティアが顔を上げた。


「他の五人は……?」


私は真っ直ぐに答える。


「おそらく、遺跡の中にいます」


「!」


ティアが立ち上がる。


「すぐに助けに行かないと——!」


「落ち着いてください」


私は手を上げた。


「遺跡の奥には、強力な魔力を感じます」


ティアが息を呑む。


「私たちは今から救出のため準備をします」


「準備しだい、すぐに救出へ向かいます」


「少しだけ、お時間をください」


ナターシャが頷いた。


「まずはチャーム対策だね」


「それは、あたいがするのさ」


ヴィヴィが盾を叩いた。


「あたしは盾の整備をするよ」


カルラが拳を握る。


「うちも頑張るのじゃ!」


ミケケが杖を構える。


「持ち物の再確認をするにゃ」


私は立ち上がる。


「直ちに準備に取りかかります——」


遺跡の方角を見る。


「全員で、遺跡に乗り込みます」


「五人を、必ず助け出します」


ティアが涙を拭った。


「お願いします……!」


「みんなを……助けてください……!」


私は頷いた。


「必ず」


拳を握る。


遺跡の奥——


何かが、待っている。


今日——


決着をつける。



続く

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