第77話 戦場へ
バーミリオ平原から30km後方に大和は待機していた。
大和・第一艦橋——
静まり返っている。
誰も何もしゃべらなかった。
みんな知っている。今からする事を——
冒険ではない。戦争だ。
夜——
「本営から騎士が本艦に向かってきます」
ヤマトヒメから報告が上がる。
「水晶球に映してください」
私は指示を出す。
「わかりました」
「ザリオにゃ」
ミケケは水晶球の騎士を指さした。
「タラップを降ろしてください」
「了解です。艦長」
「ミケケ、ザリオさんから書類を受け取ってきてもらえないかしら?」
「わかったにゃ」
そう言うとミケケは艦橋から出て行った。
◆ ◆ ◆
ミケケはタラップを降り、その先に吊るしてある縄梯子を使って地上に降りた。
ザリオは軍馬から降りた。鞄を持ちミケケに駆け寄る。
「ザリオ、久しぶりにゃ」
ミケケが手を振った。
「ミケケ、元気だったか?」
「元気にゃ。ザリオも騎士らしくなったにゃ」
「ははは」
ザリオは苦笑いをした。
「ミケケ、この鞄をミサカ卿に渡してほしい」
「わかったにゃ」
ミケケは鞄を受け取る。
「ザリオ、またにゃ」
「おう」
ザリオは拳を突き上げた。そして、軍馬に乗り去っていった。
◆ ◆ ◆
大和・第一艦橋——
ミケケが戻ってきた。
「お帰り、ミケケ」
私は微笑む。
「ミサカ」
ミケケは鞄を差し出した。
私はそれを受け取り鞄をあけた。多数の羊皮紙が入っている。
取り出し確認する。
私は目を見開いた。
そこには、詳細な地図が複数枚入っていた。
地図には、モルグレン公爵などの反乱軍主力の本営情報や帝国軍の位置情報などが克明に記載されていた。
(戦いながら、ここまでの情報を把握できるなんて)
私は驚きを隠せなかった。
私は地図をナターシャとヤマトヒメに見せた。
「戦闘より情報収集にすべての力を割いていたという感じなのさ」
ナターシャは感心している。
「この情報なら精密射撃が可能です。流石は兄様です」
ヤマトヒメは胸を張る。
私はしばし目を閉じる。
(あとは私たちが——人を——————)
私はゆっくりと目を開けた。
一同が私を見つめる。
「これより大和はバーミリオ平原へ向かいます」
「ナターシャ、重力魔法を」
ナターシャは頷く。
「ヤマトヒメ、速力第三戦速。王国軍本営の後方10kmの地点まで航行してください」
「畏まりました。艦長」
大和は再び浮揚し航行を開始した。
夜の暗闇に大和からの照明灯が煌めく。
続く




