第75話 王国軍
「なんだあれは!」
「巨大な鉄の塊が向かってくるぞ!」
街道を歩く人達が大和を指さし唖然としている。
私はマイクをとり告げた。
「こちらはリヴィエラ海軍所属の大和です」
「本艦は軍命により南門前に移動中です」
「道を空けてください」
「繰り返します——」
「この声はミサカさまだ」
「今からミサカさまが反乱軍を討伐に行かれるんだわ」
「きゃーミサカさまぁ」
黄色い声援が上がると同時に道が開けた。
大和は南門へ向かって進んだ。
「道を空けてくださりありがとうございます」
私はマイク越しにお辞儀をした。
午前九時半——
定刻通り大和は南門前に到着した。
「ナターシャ、重力魔法解除」
ナターシャは頷くと少しずつ魔力を弱めていく。
大和はゆっくりと地面に着底した。
「おおおおお!」
南門前の市民から歓声があがった。
◆ ◆ ◆
女王クレアはバルコニーから一万人の将兵へ演説をおこなっていた。
彼女のお腹は大きくもういつ産まれても不思議ではない。
「————帝国と結び我が国を破滅させんとするモルグレンは必ず討たねばなりません」
そしてクレアは南門を指さした。
「我らにはリヴィエラを救った船大和があります」
南門の先に大和がゆっくりとその姿を現した。
「おおお——」
「あれが大和か」
「厄災からこの世界を救った船、本当にあったんだ」
将兵からどよめきが走る。
どよめきが収まるのを待ってクレアは続けた。
「この大和ある限り、リヴィエラが負けることはありません!」
クレアは強く言い放った。
そして、剣を抜くと天に掲げた。
「グローリアス、リヴィエラ!」
「グローリアス、リヴィエラ!」「グローリアス、リヴィエラ!」
将兵からも叫び声が上がった。
◆ ◆ ◆
私は大和の前部甲板から王国軍が出陣する様子を見ていた。
先頭にはボンノー宰相とアベルト王国騎士団長が並び、後ろには騎士列が続く。
ボンノーとアベルトは、私を見上げ軽く会釈をしたあと戦地へと向かっていった。
私は出陣していく将兵を最後まで見送っていた。
大和の周りを神殿騎士たちが雑踏警備にあたっている。
大和を一目見ようと群衆たちが外周に溢れている。
リリア教皇の強い意向もあり、神殿騎士団は王都の守りを引き受けてくれた。
大量の荷車が大和に向かってくる。
私は全員に指示を出した。
「今から補給物資を大和に積み込みます」
「ナターシャは重力魔法で荷を大和に積み上げてください」
「他のメンバーは荷を大和の格納庫へ収納してください」
大和からタラップを降ろし、その先に縄梯子を付けた。
私は地上に降り立ち、補給物資のチェックを始めた。
荷車は次から次へとやってくる。
「これは飼葉」「これは乾パン」「これは矢ね…」
大和への積み込み作業は夕方まで続いた。
◆ ◆ ◆
大和第一艦橋——
「ナターシャ、重力魔法を」
ナターシャは頷くとグラビティロッドに魔力を注いだ。
大和が浮上する。
「では、大和も出撃します。針路175。バーミリオ平原へ向かいます」
「了解です。艦長」
大和は南に針路をとるとゆっくりと陸上を移動しはじめた——
続く




