第70話 試製
武蔵研究施設——
武蔵の五区画を研究所代わりに使っている。
試料の山、数々の実験器具。
もはや魔女の巣窟と化していた。
(まずはコンクリートからやりましょう)
私はバケツに消石灰と火山灰を混ぜて、そして海水を少しずつ加えた。
グルン、グルン、グルグル
混ぜる。ただひたすら混ぜる。
するとねっとりとした灰色の泥が出来上がった。
そこに石灰石の砕石を入れてさらに混ぜる。
ザクッ、ザクッ、グルグル
出来上がったものを型に注ぎ込み、こてで形を整えた。
(よし、あとは待つだけだわ)
(次はアスファルトね)
数日間、自然乾燥させた重質油は固まっていた。
私はそれを鉄なべに移しIHヒーターで温めた。
ボコッ、ボコッ
粘着状になったところに石灰石の砕石を加えて混ぜた。
黒みがかった灰色の粘り気のある液体ができた。
私はそれを型に注ぎ込み成形した。
(アスファルトのほうが簡単そうね)
「よしっ」
私は声を上げた。
8月3日——
一週間が経過した。
私は型を外してコンクリートを取り出した。
薄灰色の塊が出来ていた。
コンクリートを叩いてみる。
カン、カン
心地の良い音が響く。
コンクリートを下に置いて強く足踏みをしてみる。
タン、タン、タン
(割れないわ!)
次にアスファルトを型から取り出す。
黒みがかった灰色の塊が出来ていた。
指で押してみるとわずかに沈む。
(いい感じね!)
アスファルトを下に置いて足踏みをしてみる。
アスファルトも割れなかった。
「やったわ!」
拳を握った。
(この試製品とレシピをもっていけば、この国のインフラは劇的に改善されるわ)
私は羊皮紙にレシピを書き出していた。
その時————
トタタタタッ
レイナが駆け足にやってきて告げた。
「ミサカさま、王国騎士団の方が緊急の知らせを持って領主館までこられています!」
「わかった、すぐ行きます」
私は急ぎ領主館へ向かった。
領主館——
領主執務室では王国騎士団のザリオが待機していた。
「お久しぶりです、ザリオさん」
「ミサカ卿、ご無沙汰しております」
ザリオは会釈をする。
「で、緊急の知らせとは何でしょうか?」
「単刀直入に申し上げます。反乱が発生しました!」
「なんですって!?————」
続く




